☆はじめに
数日前のサーボ・打撲さんのTwitter上の呟きや、大石智晴さんの記事(http://redrum.diarynote.jp/201510171120185111/ これはデッキ構築に関する記事だけど)に触発されたので自分が考えてる事をつらつらと。


☆『戦略』の定義
この記事ではEDHの『戦略』について書こうと思います。
ここで書く『戦略』っていうのは、デッキ全体が目指す勝ち筋の方向性の事。

普通のマジックで言ったら、「クリーチャーと火力で素早く対戦相手を倒す」「相手の攻撃をいなしながらアドバンテージを取ってゲームをコントロールし切る」「高速で即死コンボを叩きこむ」みたいな感じ。




☆戦略各種解説
・即死コンボ
40点×3人のライフを真面目に削ってられない、そんな事するくらいなら20点1人を倒すのと同じ手間で勝てる即死コンボでまとめて3人倒してしまえばいい、みたいな考えのもとに成り立っている。

ただし、厳密には通常のマジックと同じくらいに楽にコンボを決められる訳ではない。
99枚ハイランダー構築であるため、唯一無二のコンボパーツもそれを探すサーチもデッキに1枚しか入れられないし、そもそもデッキが1.5倍くらい分厚いのでドローで掘り進めて探すのも困難だ。
ただ、それでも普段の6倍のライフを削るよりも楽なのは確実なので、有効な戦略として考えられている。



・チェインコンボ
成立理論は上に書いた即死コンボと同じなのだが、デッキの動きが違うので分ける。
少数のカードの組み合わせで即死を狙う即死コンボに対して、こちらはデッキ全体が勝利に向かうように組まれている。
「ドロー⇔マナ加速」とリソース変換しながらリソースの絶対量を増やしていけるような作りになっていて、その末に対処不能な物量で押しつぶしたり、即死コンボに移行したりする戦略だ。

利点は即死コンボと違って止めにくい事。
即死コンボは止めるべきカードがはっきりしているのだが、チェインコンボはあらゆるカードがそこそこに危険でありながら致命的ではない。そのため、対戦相手としては妨害が難しい。
しかし反面、デッキ全体で勝利に向かう構築になる関係上、デッキの遊びの部分は少なくなりがち。また、戦略上シナジー全開なデッキ構成であるため、カード単体のパワーのぶつけ合いになると弱い。



・ビートダウン
上で書いた通り「ライフを削るのはとても大変だ」という環境に抗うかのような天邪鬼な戦略。
40点のライフ、あるいは21点の統率者ダメージで対戦相手を倒す事を目的としている。

利点としては、唯一無二のカードに頼るコンボと違って同じ方向性の攻撃的なパーツ(アタッカー生物・教科用カードなど)を複数積み込めるため、安定性が高い事。
しかしながら、安定した補助があってなお、40点か特定のクリーチャーで21点削り切るのは難しい。

また、これは番外試合的な話になるが、大会ルールなどで1人を倒すだけでも勝利点が入るシステムで行われている場所もあり、その場合はコンボよりも手軽に勝利点を稼げる利点が増える。



・コントロール
相手の有効打をひたすら止め続け、自分の有利な状況を継続する事を目的とした戦略。
これまたビートダウン並みに修羅の道な戦略。なにしろ1人で3人の対戦相手の行動を管理しようというのだから難しい。

この戦略を上手く成立させるには、大量のアドバンテージ源を準備して3人分の脅威に十分対処できる状況を作る必要がある。
単体では現実的な運用が厳しい、他の戦略と複合的に組み合わせやすい戦略であるため、他戦略と組み合わせて用いられる事が多い。



・ロック
マナコスト増加、マナベース全体破壊などによって相手の行動を制限する戦略。ロック・マスデス戦略と言った方が正確か。
「コントロール」と似たような目的を持った戦略なのだが、アプローチがより能動的。
何も考えずにあらゆるマナベースを全体破壊していると自分も動けなくなるので、多くの場合抜け道となるマナベース(土地やアーティファクトが一般的)がある。
そうして、対戦相手にそこを突かれないための対策として、多少非効率的だが一方的にそれらを破壊できるカードも投入されている事が多い。

自分の盤面にも派手に触ってしまうため、この戦略を中心に据えている場合、「コントロール」と違って他戦略との親和性は高くない。
必然的にデッキはロック・マスデスに特化し、使い減りしないジェネラルを中心としたカードパワーで押し切る勝ち筋になりがち。





☆強い戦略
◎まず結論から言ってしまうと、「即死コンボ」「チェインコンボ」が強い。
「ビートダウン」「コントロール」「ロック」は、平均的な速度で考えるとどうしても「即死コンボ」「チェインコンボ」に追いつけない。

対戦相手の状況や妨害を考慮せず好き放題に動けるとして、EDHで「即死コンボ」「チェインコンボ」の勝ちが決まるのが大体3~6ターンくらい。
「ビートダウン」が40点×3のライフを6ターンで削り切るのは、かなり難易度が高い。
それこそ、コンボ以上に特定のカードを手札に揃えてようやく、といったくらいだ。それならその枚数で即死コンボを揃えた方が手っ取り早い。

「ロック」も、上手く速攻で縛り上げれば相手の動きを鈍らせる事が出来るのだが、早いターンに相手を抑えるのは特定のカードに頼っているので引きに左右されやすいし、さらにはその試みが成功した状況でも突然死の可能性はずっと付きまとう展開になりがちだ。

先に書いた通り「コントロール」は前提として1対3でゲームコントロールしようというのだから戦略自体に無茶がある。

結局、「ロック」や「コントロール」や「ビートダウン」するための最も効率的なパーツを揃える手間を考えるなら、その手間で即死コンボを完成させてしまった方が手っ取り早い。
これら三戦略は、あくまで速度に劣る弱いジェネラルが活路を見出すために存在していて、決してもっとも強力な戦略にはなり得ないと自分は考える。



◎だが、それでもEDHはコンボデッキの速度競争”だけ”には成り得ない。

特定のカード1枚をキーとする「即死コンボ」には、コンボパーツをピンポイントで止める「コントロール」要素が有効だ。
シナジーというエンジンによって大きなパワーを発揮する「チェインコンボ」には、シナジーを作るパーマネントを根こそぎしてシナジーを壊してしまう「ロック」のマスデス要素が有効だ。

そうして、「即死コンボ」や「チェインコンボ」には、少量ならば「コントロール」や「ロック」の要素を入れるだけの余裕がある。
コンボパーツをサーチするカードが、それら少量仕込まれたカードを必要な時に持って来れるという点でも

なので、「即死コンボ」「チェインコンボ」よりもさらに強い戦略とは、それらに「コントロール」「ロック」の要素が”デッキの邪魔にならない範囲で”入っているデッキ、となる。



◎その中でさらに、と言うのなら
「コントロール」「ロック」要素入りコンボデッキが一番強い戦略と結論付けたのだが、その中でも「即死コンボ」と「チェインコンボ」に分かれる。

そのどちらが強いか、となると、自分としては「即死コンボ」の方を推したい。
「即死コンボ」は少量のカードパッケージのみで勝ち筋を準備出来るため、「チェインコンボ」に比べて枠を開けやすい。
つまり自分より早かった相手を咎める「コントロール」「ロック」要素を十分に入れる事が出来るのだ。

なので自分は、「即死コンボ」デッキをメイン戦略として、そこに「コントロール」「ロック」戦略を足したものが最も有意であると考える。





以上。


◎……なんだけど
上に書いたのはあくまで戦略そのものの話。
実際のデッキは必ず初手にあって複数回キャストも可能なジェネラルありきだったりする。

現状、「即死コンボ」戦略と最も相性のいいジェネラルでも、「チェインコンボ」戦略と最も相性のいいジェネラルほど相性が良いとは言えない状況なのである。

そのため、現在の実質としては、《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》や《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》といったチェインコンボ系ジェネラルがジェネラル全体としては優位に立っている、と言わざるを得ない。

EDHてむずかしい。
世の中がDig禁止とか万力解禁とかでワイワイしてる中、ようやく来た。

http://www.mtgsalvation.com/forums/the-game/commander-edh/636796-september-28-ban-list-update


☆取りあえず禁止・解禁はなし。


☆BFZ以降のマリガンについても触れていて、

部分パリ式マリガンはいいツールだけど、いつも同じ動きになりやすい欠点があった。バンクーバー・マリガンがパリ式のいい所を維持しつつ、その欠点を埋める可能性があるかもしれないと考えている。テストして次のサイクルで切り替えるかどうかの最終的な意思決定を発表するよ』


的な事を書いている。
自分の弱い英語力で読み取るに、

・次のサイクル(BFZブロックの次のブロック(つまり次の次のエキスパンション発売時))の禁止改訂時にマリガンについて発表。

・つまりそれまで現状の部分パリ式マリガンを維持。

と読み取れる。
「次のサイクル」が「次のエキスパンション」的な意味で言ってる可能性もあるのでちょっと怪しいが。


カードショップセラさんでタイトルみたいな感じのコラムが書かれていたのだけど、ちょっと面白かったのでそれについて。
http://cardshop-serra.com/material/column/5926

☆コラムで上げられていた20ジェネラルは以下の通り。

《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》
《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》
《帰還した探検者、セルヴァラ/Selvala, Explorer Returned》
《背教の主導者、エズーリ/Ezuri, Renegade Leader》
《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》
《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》
《結界師ズアー/Zur the Enchanter》
《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》
《老いざる苦行者、アローロ/Oloro, Ageless Ascetic》
《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》
《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》
《艦長シッセイ/Captain Sisay》
《数多のラフィーク/Rafiq of the Many》
《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》
《巨大なるカーリア/Kaalia of the Vast》
《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》
《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》
《擬態の原形質/The Mimeoplasm》
《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》


個人的に、ここのコラムを読んでいるとデッキ構築とか環境理解とかの感覚がだいぶ違うなぁと思う事が多いんだけど、これに関しては半分くらいは同意できそうで、ある意味ちょっと意外に思ったw

自分が20傑選ぶなら、

Out
《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》
《背教の主導者、エズーリ/Ezuri, Renegade Leader》
《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》
《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》
《艦長シッセイ/Captain Sisay》
《数多のラフィーク/Rafiq of the Many》
《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》
《巨大なるカーリア/Kaalia of the Vast》
《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》

して、

《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》
《帰還した探検者、セルヴァラ/Selvala, Explorer Returned》
《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》
《結界師ズアー/Zur the Enchanter》
《老いざる苦行者、アローロ/Oloro, Ageless Ascetic》
《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》
《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》
《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》
《擬態の原形質/The Mimeoplasm》
《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》

に加え、

In
《スリヴァーの首領/Sliver Overlord》
《野生の意志、マラス/Marath, Will of the Wild》
《クローサの庇護者シートン/Seton, Krosan Protector》
《ネファリアの災い、ジェリーヴァ/Jeleva, Nephalia’s Scourge》
《時間の大魔道士、テフェリー/Teferi, Temporal Archmage》
《アンデッドの大臣、シディシ/Sidisi, Undead Vizier》

と、以下から3つ

《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》
《奪い取り屋、サーダ・アデール/Thada Adel, Acquisitor》
《迷える探求者、梓/Azusa, Lost but Seeking》
《永遠王、ブレイゴ/Brago, King Eternal》
《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost》

かなぁ。
ブレイゴはリストだけで対戦した事がないのと、サーダ・アナフェンザが自分の贔屓目かも知れない事(特にアナフェンザは本人が軽量妨害でオース・むかつきが本体という裏道デッキだし)が不安なのと、梓・汁婆は対戦回数が少ないのではっきりした事が言えない。
その上で、経験少ない組はリストや少ない対戦回数だけでは確かに強い・強そうだけど、明らかな爆発力や異様な強さを感じられる事がなかったので。

この辺まで来ると、大渦、あざみや三日月あたりとそう大差ない感もある。ただ、大渦は重さと不安定性、あざみは重さが、三日月は単体だとアドばらまくのが致命的なので評価が落ちた。



☆とりあえず暫定という事でこれを自分の20傑としよう。贔屓目でない事を信じたいw

《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》
《帰還した探検者、セルヴァラ/Selvala, Explorer Returned》
《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》
《結界師ズアー/Zur the Enchanter》
《老いざる苦行者、アローロ/Oloro, Ageless Ascetic》
《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》
《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》
《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》
《擬態の原形質/The Mimeoplasm》
《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》
《スリヴァーの首領/Sliver Overlord》
《野生の意志、マラス/Marath, Will of the Wild》
《クローサの庇護者シートン/Seton, Krosan Protector》
《ネファリアの災い、ジェリーヴァ/Jeleva, Nephalia’s Scourge》
《時間の大魔道士、テフェリー/Teferi, Temporal Archmage》
《アンデッドの大臣、シディシ/Sidisi, Undead Vizier》
《奪い取り屋、サーダ・アデール/Thada Adel, Acquisitor》
《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost》
《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》

他の人も書いてくれると楽しそう。
乗ってくれる人いるかな?
新しいデッキを組んでいて思い付いた事。
タイトルの通り、初手にコンボパーツが揃っている時のキープ基準の話。



☆初手で完成していたら、残すコンボ・残さないコンボ
むしろそれをキープする事がデッキの本分になる《隠遁ドルイド/Hermit Druid》《むかつき/Ad Nauseam》みたいな1枚で完結している軽いコンボならば、コンボそのものやコンボに繋がる《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》などでキープするのは当然。

逆に1枚コンボだけれども重すぎてキープ基準足りえないもの(《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》ジェネラルの《知恵の蛇の眼/Ophidian Eye》とか)は、初手からのマナ加速ではキャストまで間に合うはずがないのでキープされる事なくマリガンとなるだろう。

ならば、初手に揃い得るマナベースでキャストが可能な、そこそこの軽さの2枚コンボが揃いそうな初手が来た場合、ハンドに残すのが正解か否か? というのが今回の話題。



☆具体例
代表的なのが『《生き埋め/Buried Alive》+《再活性/Reanimate》』のウーズコンボ。

2枚、合計4マナでそのまま勝ちに行けるコンボパーツなのだが、例えば、初手の7枚の中にコンボパーツの2枚、あるいは片方+《神秘の教示者/Mystical Tutor》のような軽量チューターが来た場合、これらを残すかどうかを考えてみよう。


「序盤は手早くマナを展開→4マナ揃い次第コンボ」と行きたいのだが、コンボパーツ2枚はフィニッシュまで完全に不要牌。つまり、7枚のうち、残り5枚の手札で4マナまで伸ばす必要がある。
また、3ターン目にもなれば妨害が飛び交い始めるので、遅くとも3ターン目にはコンボスタートしたい。一般的な回り方をしたデッキも、4ターン目辺りに仕掛けてくるし、妨害なしの4マナで即ぶっぱするならその辺りがタイムリミットだろう。


◎そのために必要なのは、
・最低1枚の普通のマナ加速(印鑑とか)+土地3枚
その後の通常ドローに期待するにしても、印鑑などマナ加速をキャスト出来る土地2枚は欲しい。

・1枚で2マナ以上出すマナ加速+土地2枚
《Mana Crypt》《暗黒の儀式/Dark Ritual》《古えの墳墓/Ancient Tomb》みたいなカードがあれば、上のパターンに比べて合計必要枚数が減る。

のどっちか。合計枚数は3~4枚。
初手にあるコンボをそのまま残す場合、上記枚数を、初手の残り5枚をベースにしたマリガンで揃える必要がある。



◎《生き埋め/Buried Alive》コンボを残す初手・残さない初手
《Mana Crypt》などの2マナ以上出せるマナ加速が初手にあるなら狙って行っていい。
一般的な構築なら、4枚の手札+マリガンで黒マナが出る土地やマナファクト2枚を探すのはそこまで難しくないはずだ。

タリスマン・印鑑などの場合も同様。
特印鑑等で色マナが1つ確保できている場合、色拘束のハードルが下がるので、最低ラインの土地2枚の難易度は上例より下がる。

《精神石/Mind Stone》など色の確保が出来ないマナ加速の場合はどうか。
初手で黒黒が確保できているのならともかく、わずか4枚の自由の効くハンドから、初手にあった色の噛み合わない土地をパリマリで埋めてまでダブルシンボルを探しに行くのは事故につながる確率が高い。
シンボルが確保できていない場合、コンボによる速攻は諦めた方が良さそうだ。基本土地多めの黒単色の場合は別だろうけれど。

シンボルは確保できているがマナ加速が無い場合はどうか。
コンボパーツ2枚と最低ラインの土地2枚を残すと残りは3枚。構築にもよるが、それをパリマリし続けて3ドロー以内にマナ加速を引き当てられる可能性は低そうだ。
こちらもコンボによる速攻は諦めた方がいいだろう。



☆結論
つまり、例え非常に軽い2枚コンボであっても、初手に残して攻めに行くには『コンボパーツ2枚+マナ加速1枚(+ある程度の土地)』という整ったハンドが必要で、コンボパーツがそれを整えるのためのマリガンを圧迫してしまうため、かなり整った手札でない限りはプランを捨ててマリガンしてしまった方が良いと考えられる。

実際、アドバンテージ的にジリ貧にならないようなデッキ(ある程度のドローソースやアドに繋がるマナフラ防止ジェネラルの採用)をちゃんと組んでさえいれば、マナ加速を中心としたハンドからスタートする初手でも、スムーズに「マナを展開→アドバンテージを確保→そのままフィニッシュor妨害を交えながら中長期戦へ」という動きが出来る。

ぶっちゃけ、EDHは序盤の3ターン目くらいまでの動きが非常に重要で、そこで転ぶとその後の展開も後手後手に回って厳しいゲームになる事が多い。
いくら序盤戦でそのまま対戦相手を斬って捨てるプランが見えているとはいえ、無理にフィニッシュ直前まで無駄牌になるカードを2枚も抱えて大事な序盤戦の速度を鈍らせるよりは、大量展開・大量ドローで盤面を押し切る準備を整えた方が良い結果をもたらす事が多くなるだろう。
強引な高速コンボ狙いは1枚の妨害だけでゲームから脱落してしまう展開も発生しうるのだし。



☆まとめ
初手にコンボパーツが揃っていても、それ以外の手札がよっぽど整っていない限りはマリガンしてしまった方がいい。
3ターン目までの加速・アドバンテージ確保を最重要視したハンドの方が安定するし強い。

きっかけはTwitterでフォローさせて貰っている、ナオキングさん(@Naokingmsz010 )の発言。

俺の中で理想のEDH構築という物があって、多少の汎用パーツはありつつも、そのジェネラルでしか使えないようなクソカードの寄せ集めみたいな尖ったリストを目指してる。


これには同意する所が大きかったし、「マイナーなカードを活かして強い動きするの気持ちいい」って自己満足以上に現実的なデッキポテンシャルの上昇に影響すると思ったので、その事についてDNの方でも記事にしようかと。
では早速。



☆安定して動くデッキとは
EDHはハイランダーで99枚デッキであるため、通常のMTGのデッキ(60枚4枚制限)に比べるとどうしても安定性は落ちる。
初手に《Mana Crypt》があれば爆速スタートできるけど、その確率は、例えば60枚デッキに4枚入っている《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》を引く確率よりもずっと低い。コンボパーツだって1枚ずつしか入っていないのでサーチ無しに揃えるのは一苦労だし、そのサーチカードすらも1枚制限だ。

なので、デッキを構築する際にはその安定性を上げるため、多くのデッキでは同じ役割を持つ別カードを複数枚入れ、疑似的にいつでも同じような動きが出来るような構築が望ましい。
例えば、高確率で3ターン目に4マナまで加速できるように、各種タリスマン、印鑑、《友なる石/Fellwar Stone》や《精神石/Mind Stone》なんかをフル投入した3色デッキなんかは、多くの構築で見かける最たる例だ。

60枚構築のように「土地20 印鑑2種8枚」のような構築は不可能でも、「土地30枚 2マナ以下のマナ加速12枚」とデッキを組み上げ、60枚構築同様の安定性を出す事は、十全なカードプールがあればそう難しい事ではないのである。



☆安定性をさらに上げる
先ほど説明したように、マナ加速は十分な種類のカードがあるので、60枚構築のような動きを実現する事は不可能ではない。
だが、それはあくまで「十分なカードプール」があるパーツの話。例えばコンボパーツは多くの場合唯一無二だし、それを補うサーチカードだって構築に耐えうる一線級となると十分な数を準備するのは難しい。

◎それを補うデッキ構築時のテクニックは、主に下記の2パターンで、

・ドロー(特に軽めの所)を入れてデッキを圧縮、疑似的にデッキ枚数を減らす
・ジェネラルキャストで勝ちまでの動きが概ね完結するデッキにする


◎そして、後者はさらに

・ジェネラルが1人で全部どうにかしてくれるタイプ
(例:出して殴ればゲームが決まる《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》、そもそもキャスト大体仕事が完了している《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》など)

・デッキ内の大量に入った「特殊なカード群」とシナジーが発生するジェネラルの働きにより、通常のデッキを圧倒するパワーを発揮するタイプ

の2つに分かれる。
どちらも結局は似たような構築理論になるのだが、今回特に書きたいのは後者の話。

このタイプは、「マナ加速カード」を複数入れる事で安定して加速できる構築と同じように、ジェネラルとシナジーする事により強力な効果を発揮する「特殊なカード群」を複数入れる事により、安定してジェネラルキャスト後にデッキパワーが高まった状態を発揮出来る。



☆「特殊なカード群」入りデッキ
このタイプのデッキは極端な話、通常のデッキが

「土地30 マナ加速20 勝ち手段・サーチ10 ドロー20 その他補助20」

みたいな形になっていてデッキがとっ散らかってしまっている(理想は土地・マナ加速・勝ち手段だけで完結したい。そっちのが手っ取り早いし)のを、

「土地30 マナ加速20 勝ち手段・サーチ10  ジェネラルと一緒に悪さをしてデッキを圧縮する有象無象30 その他補助10」

みたいな形にして、疑似的に通常のデッキ以上の理想的な構築を実現しよう、というプランを持ったデッキである。


☆具体例
◎《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》
自身のタップで、アーティファクト・クリーチャーを生け贄にし、非生物アーティファクトをデッキから戦場に出す効果を起動出来るジェネラル。

単純な話、十分なアーティファクト・クリーチャーがいるのなら、3回起動すれば3枚で勝ちを決定するコンボを揃える事が出来る。
それ以外にも、ピンチを救う妨害カードや、足りない手札や手数(アーカムの起動の種になるアーティファクトクリーチャーや、アーカムの起動回数を増やせるアンタップカードすらも、だ)を補うカードだって持って来れる。

つまり、ジェネラルがいる状態なら、全てのアーティファクト・クリーチャーは一巡毎に1回の制限が付いただけの《修繕/Tinker》になる。
アーカムがジェネラルのデッキでは、大量のアーティファクトクリーチャーをデッキに入れる事は、EDHで禁止のカードを山ほど入れているのと同様の意味になるのだ。

なので《真鍮人間/Brass Man》は1マナの《修繕/Tinker》もどきだから当然デッキに入るし、《マイアの種父/Myr Sire》は2マナでフラッシュバック付きの《修繕/Tinker》もどきだからとても強いカードとしてデッキに採用される事となる。



◎《クローサの庇護者シートン/Seton, Krosan Protector》
自分のコントロールするドルイドをタップして、緑マナを出す能力を持ったジェネラル。
これはタップ能力ではないため、召喚酔いに影響される事がない。

つまり、ジェネラルがいる状態なら、全ての1マナドルイドは速攻付きの《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》になる、という訳である。
という事は、1マナのドルイドは、自身のキャストのために使われた緑1マナを即座に生み出せるため、一切のテンポ損なく展開できるカードに変わる。

これだけだと超高速マナ加速(ただし息切れが酷い)止まりなのだが、ここに、緑にそれぞれ複数種類ある
・クリーチャーの枚数を参照するドロー・クリーチャーキャストやETBで誘発するドロー
・《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》などの盤面の緑のクリーチャーを参照してマナが増える要素・《動員/Mobilize》などのマナクリーチャーをまとめてアンタップするカード
が加わる事により、1マナのドルイドは疑似的に「《エルフの神秘家/Elvish Mystic》内臓の、キャストでマナが増えるカード」に化ける事となる。

ここまで来ると、「1マナドルイドをキャストするたび手札は減らない(あるいは増える)しマナは減らない(あるいは増える)」となり、チェインコンボのような動きが始まる。
マナは増えるは手札は増えるはで偉い事ですよ?
そうなればデッキに仕込んである何らかの勝ち手段に辿り着いたも同然で、そのままチェインを続けた末のフィニッシュと相成る訳だ。


なので、《確約の神主/Promised Kannushi》だろうが《森林地帯のドルイド/Woodland Druid》だろうが、1マナのドルイドでさえあるのなら、序盤のマナ加速を支え、チェインを繋ぐ重要カードとしてデッキに喜んで投入されるのである。



☆「特殊なカード群」入りデッキの欠点

・まず、当然ながらジェネラルがなんらかの「特殊なカード群」を活かせるカードでなければならないという事。
つまり構築段階で、ジェネラルによってはこの方向性のデッキを絶対に組めない。

・次に、「特殊なカード群」のパワーはジェネラルに頼っているため、ジェネラルを丁寧に処理されると途端にどうしようもなくなる事が多い。
なにしろEDHはえせヴィンテージ、1/2バニラのドルイドとか、長ったらしいテキスト(ただし全部フレイバーテキスト)の0マナ0/3クリーチャーとかが、単体で何か仕事を出来るような平和な環境ではないのだ。

なのでデッキ構築段階で、ある程度は(ジェネラルがいるとより輝くという前提で)ジェネラルに頼らずとも戦えるようにしておいた方が賢明である。
アーカムならば《Transmute Artifact》などの単体で使えるサーチを仕込んで普通にコンボに行けるようにする、シートンならばジェネラル不在だとしても初速を落としながらもチェインを組める構成にする、などだ。


☆楽しいゴミカードデッキを組むにあたっての諸注意
マイナーかつ弱いカードを大活躍させて対戦相手を負かすのは気持ちいいだろう。
《森林地帯のドルイド/Woodland Druid》や《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》にカウンターを撃たせるのは快感だろう。

ただ、それも彼らが十分なパワーを持つ事が出来るような構築ベースあってこそだ。
ゴミカードの入れすぎで、デッキが救いようのない紙束になってしまっては本末転倒。
「特殊なカード群」となるゴミカードのデッキ採用枚数は、上手くバランスを取って組むべきである。

最後に、ナオキングさんの別の呟きを2つばかり引用させて貰ってこの記事を締めさせていただきます。
ゴミカードが沢山入っているリストが偉いのではない、そのゴミカードが真に機能し、効果を発揮した時が偉いのだ

このゴミ俺のジェネラルと合わさると強い!入れ得!って入れまくってもダブついたら本当にただのゴミだしね

ソース
英語版
http://magic.wizards.com/articles/archive/news/new-mulligan-rule-starting-battle-zendikar-prereleases-2015-08-20

日本語版
http://mtg-jp.com/publicity/0015530/#

なんか戦乱のゼンディカープレリリース以降、新マリガンルール(マリガンの結果6枚以下の手札になっている場合、占術1を行ってからゲームを開始する)が採用されるらしいですよ?

それに先駆ける形で、8月末に行われる世界選手権でも新マリガンルールが正式採用されるそうな。


非公式フォーマットだけど、これに合わせてEDHも
「手札から好きな枚数追放してそれマイナス1枚を引くパリマリを好きなだけ行う
→手札に満足したら追放したカード混ぜてシャッフル
→占術1」
という形がオーソドックスになると予想される。

ゲームが早いターンで決まる、コンボデッキの優勢な、初手の強さが大事なフォーマットなので、これからはよりブンブンして速攻ゲームが終了する事案が増えそうである。

今までだとやむを得ない気分で行っていた、ほぼ満足な初手に入ってきた《生き埋め/Buried Alive》デッキの《Phyrexian Devourer》や、《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》や、《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》とセットで来た《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》なんかのカードを1枚だけ戻してパリマリする行為がいい具合に肯定される事になったのは、ストレスが減ってよろしい感。
さらにはファーストドローでそれら埋めたカードを引かない事を(ほぼ)担保されるので、序盤の動きの安定度はかなり上がりそう。


こういう大きなルール変更は賛否両論だろうけど、個人的にはワクワクする。
ダメージスタックの採用と廃止や、マナバーンの廃止時を思い出すね。
http://wpn.wizards.com/ja/products/%E3%80%8E%E7%B5%B1%E7%8E%87%E8%80%85%EF%BC%882015%E5%B9%B4%E7%89%88%EF%BC%89%E3%80%8F

今回は対抗色のセット。
新規カードは各デッキ15枚の計55枚。

発売日は11月13日。


楽しみ楽しみ。
統率者セットも完全に定期的に出る形で落ち着いたみたいだし、フォーマットとしても定着したようでとても嬉しい。
さっき晩御飯を食べながらcozaくんと話してた事。

「数年前にあった話題でジェネラル4強(確か、ズアー、シャルム、あざみ、始祖ドラ)ってあったけど、今だとどの辺かな?」って話をしていて、真っ先に出て来たのが、エドリックとナーセット。
そこから今の強いジェネラル、デッキ構造の話に発展してごちゃごちゃ話してたんだけど、それが結構楽しかったので、まとめ。
まとめとか言いつつ会話を回想したり思いつきを足したりしてるのでふわっとした文になるかも。




☆勝ち筋の必要枚数は可能な限り少なく。
対戦相手全員分、40×3点のライフを削る事を考えると、勝ち筋としてはコンボが効率的となる。
一般的に、コンボは複数枚のカードの組み合わせなのだが、EDHはハイランダーであるためにこれを揃えるのが難しい。なので、一般的に必要な枚数が少ないコンボほど強いと言われている。

サーチのしやすさや軽さを抜きにして、あくまで素引きによる揃えやすさのみ考えた場合、3枚コンボである《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》《ブライトハースの指輪/Rings of Brighthearth》《ゴブリンの大砲/Goblin Cannon》よりも2枚コンボである《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》の方が強いし、さらに言うなら、キキジキジェネラルの《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts》なら実質1枚コンボなのでより強い。

◎そういった基準でエドリックやナーセットを考える。
エドリックの勝ち筋は、「クリーチャーで大量ドロー⇔追加ターン、展開」のループ。
ナーセットの勝ち筋は、「ジェネラルパンチ⇔追加ターン、追加戦闘」のループ。
これは嵌れば止まることなく120点のライフを削り切れるもので、また、デッキ構築によりそれなりの安定性を有する。

つまり、これらのジェネラルのデッキに必要な勝ち筋となるカードは、ジェネラル自身のみ。デッキから引いてくる必要のあるカードは0枚となる。




☆勝ち筋必要枚数基準で見た場合の他の強ジェネラルは?
ここを起点に、0枚コンボは無理にしても1枚以下のコンボとして見られるデッキを上げていく流れとなった。必然的に強ジェネラルの候補となるはずである。
cozaくんとの話題のみならず、自分の思いつきとかも足す。
項目の名前にしている枚数は感覚なんで参考程度に。


・0.5枚
《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》
ただし勝ち筋であるジェネラルを叩きつけても勝ちではなく、安定性が著しく低いため大きく減点。実質1枚コンボ以下。

《ネファリアの災い、ジェリーヴァ/Jeleva, Nephalia’s Scourge》
キャスト時の捲れ方に頼るため非常に不安定だが、ジェネラルキャストのみでシャレにならないアド差(場合によっては他プレイヤーにターンが2度と来ないレベル)を発生し、他3人をねじ伏せられるパターンもある。
その上で教示者からの《無限への突入/Enter the Infinite》1枚コンボもあるため実質この辺り。

《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》
大量の0~1マナのアーティファクトクリーチャーである程度の安定性を確保しているが、勝ちに到達するためにはドロー強化もない状態で複数回の起動を必要とおり、「ターンを回す、あるいは複数枚の茶生物の確保」が必要となるため、0枚と呼ぶには安定性が足りない。

《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》
動きは大体エドリック。……なのだが、ドロー枚数がエドリック程ぶっ壊れに達しないため繋ぎが安定しない。追加ターンが無くてもワンショットコンボ完成させる事により補えはするものの、安定性などで劣る。


《むかつき/Ad Nauseam》特化
1枚コンボだが、大量サーチで運用の安定性を確保している。隠遁ドルイドと比べると利点と欠点がある。

《隠遁ドルイド/Hermit Druid》特化
1枚コンボだが、大量サーチで運用の安定性を確保している。むかつきと比べると利点と欠点がある。




・1枚
《ドルイドの誓い/Oath of Druids》
1枚コンボだが、大量サーチで運用の安定性を確保している。……のだが、ターンを跨ぐ必要性がある上に安定性に難ありなのでこの位置程度の扱い


その他大量の1枚コンボジェネラル
(身内のデッキだと、《時間の大魔道士、テフェリー/Teferi, Temporal Archmage》《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》《擬態の原形質/The Mimeoplasm》など)
後程上げる条件を加味してもかなり沢山いる。


となった。



☆勝ち筋に必要なマナの量
強ジェネラルに必要な条件は、上記の枚数条件に加え、勝ち筋に必要なマナの量もある。
例えば《歯と爪/Tooth and Nail》は1枚コンボだが、9マナと非常に重いため、9マナ到達までのマナ加速や延命カードもほとんどコンボパーツ同然として枠を食ってしまい、上記1枚コンボ程の強力さを確保できない。
上で《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》を低評価にしているのは、この点の影響も大きい。

cozaくんと話していて出た基準が、「とりあえず到達すれば勝利ムーブがスタート出来るようになる」だけのマナが5~6マナ以下と言った所。
エドリックなら追加ターンを撃ってくる辺りだし、ナーセットなら戦場に出てくる。《むかつき/Ad Nauseam》も撃てるし、《隠遁ドルイド/Hermit Druid》もキャスト出来る。

これなら「初手+数枚」の手札を元手にした開始数ターンで到達を期待出来る程度のマナ量であり、速度的にも3~4キルを視野に入れる事が出来る。


◎ただ、これはあくまで大雑把な基準程度の話で、細かくジェネラルを見ていくと結構緩くなったりする。

例えば《擬態の原形質/The Mimeoplasm》は《生き埋め/Buried Alive》との1枚コンボが8マナと高めだが、《再活性/Reanimate》等軽量の2枚コンボに繋がる流れがあるから評価は低くならない。

《時間の大魔道士、テフェリー/Teferi, Temporal Archmage》は相方となる《鎖のヴェール/The Chain Veil》がキャスト+起動で8マナ必要と重いのだが、ジェネラル自身がマナを増やせるので到達マナは6で事足りる。

《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》などは、実際5、6マナしかない状態で勝ちまで繋がる運用はかなりギリギリなのだが、そこまで行かずとも得られるハンドアドバンテージとカウンター等妨害手段によってゲームを引き延ばしたり妨害を弾いたり事が可能なため、より安定的な運用が出来るので評価が上がる。



こんな感じで見ていくと、
《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》

あたりが頭一つ抜けていて、その後に有象無象の0枚コンボまではいかない1枚以下コンボ持ちが続く感じの結論となった。

3位以下は速度とか安定性とか対妨害能力とかのバランスで結論は付けにくそう。




予告通りふわっとした文章になってしまったw
0~1枚コンボジェネラルによる、5~7マナくらいでスタートする3、4キルが条件となるとは、EDHの強ジェネラルも随分進化したもんだ、って話でした。

「旧4強の中で、色も強けりゃテキストも強い《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》でさえ、そろそろ一線級ジェネラルからは落ちてしまうんじゃない?」的な会話が印象的だった。
今回は禁止・解禁の変更はなし。


しかしながら、ルールに変更が。
http://mtgcommander.net/Forum/viewtopic.php?f=1&t=17560

☆今までは、統率者が

1・いずれかの領域から墓地に置かれる代わりに
2・いずれかの領域から追放領域に移動する代わりに

統率者領域に統率者を置く事を選ぶ事が出来たのだけれど、
これからはそれに加えて、

3・いずれかの領域から手札に移動する代わりに
4・いずれかの領域からライブラリーに移動する代わりに

統率者領域に置けるようになったそうな。

以下、そのルール変更の理由の大雑把訳
今回のルール変更を決定したのは、大きな理由が1つあったのではなく、細かな要因が重なっての事にある。それは、

1・プレイヤーにストレスを与えるのを好まない。なので主役たるジェネラルはいつでも使えるようにしたい。

2・サーチカードでライブラリーからジェネラルを戻す事が出来るのだが、そんな方法のためにサーチを積み、頻繁に使うのは自分たちの望むゲームではない。

3・今までのルールが強力なジェネラルの抑止力になっていて、それはほとんど青と白の得意技だった。プレイヤーは青白を使う必要があるように誤認してしまう。なので多様性のため、他の色と平等になってもらう。

4・ジェネラルが非公開領域に存在する状況が発生する事により、ルール上でちょっとぎこちなくなってしまう部分があったため、それを調整する。

といったものだ。



このルール変更によって、面倒なジェネラルに対処する方法として有力だった、《終末/Terminus》《混沌のねじれ/Chaos Warp》をキャストしたり、バウンスと《Timetwister》の組み合わせでジェネラルをライブラリーに混ぜて利用を防ぐ、といった方法が使えなくなった。
今後、(特に軽い)ジェネラルに関しては、ひたすらしつこく除去を重ねる他に対策はなくなってしまう訳である。

軽量かつ《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》擁する色で、さらにはそれを有効活用できる構成であるため何度でもキャストされてくる《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》、統率者領域からならわずか4マナで何度でも戦場に出せる《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》辺りは、はっきり強化されたと言っていいだろう。
一度でも《太陽の指輪/Sol Ring》持ちを殴れれば次のキャストのマナを確保出来る《奪い取り屋、サーダ・アデール/Thada Adel, Acquisitor》なんかも強くなった部類。
ジェネラル個別を見るとこんな感じ。

逆に、相対的に弱体化したと言えるのはコントロール要素を持つ青と白のデッキ全般。
ジェネラルをライブラリーに封印しておけなくなったので、しつこく現れるジェネラルに対処する方法が「アドを失いながら除去を撃ち続ける」という非常に非効率的な方法しかなくなってしまった。
最強色だった青はともかく、汎用的なカードだと《悟りの教示者/Enlightened Tutor》《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《流刑への道/Path to Exile》以外だと《終末/Terminus》くらいしか取り柄がないと評判だった白は……。



これからは、現状でも有用とされている軽量なジェネラルがより猛威を振るいそうである。

禁止改訂

2015年1月20日 EDH環境考察
☆統率者戦
ノーチェンジ

☆モダン
《宝船の巡航/Treasure Cruise》《時を越えた探索/Dig Through Time》《出産の殻/Birthing Pod》禁止
《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》解禁


☆レガシー
《宝船の巡航/Treasure Cruise》禁止
《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》解禁


☆ヴィンテージ
《宝船の巡航/Treasure Cruise》制限
《けちな贈り物/Gifts Ungiven》制限解除


他の環境はこんなに激しく動いたというのに統率者戦は……w


これまたこの前北上で遊んだ時に出た話。

これは個人的な論となるが、一般的なEDHのデッキは「土地+マナ加速」で50枚弱くらいがちょうどいいと思っている。
世に出回っているレシピも、特殊なものを除けば45~50枚くらいでまとまっているものが多いように見える。

でも、その比率は? と聞くと、2つのタイプに方向性が分かれる。



☆土地多め派
ひとつは、「土地は30~33枚くらい。29枚未満にはしたくない」というタイプ。

このタイプの意図は、「ある程度のターンの間、土地を切らさず毎ターンセットする」事にある。
また、この『ある程度のターンの間』は、『そこそこの枚数引けるドロースペルで手札を引き増すタイミングまで』である事が多く、つまりそのドローによって新たな土地を確保出来る可能性が高い=そこから先も土地セットが途切れない事が計算の内に入っている。


このタイプは、身内だとcozaくんが代表的。
「(特に置物の)マナ加速カードは、土地をセットした上でキャストしているからこそ(土地+マナ加速の2マナ分伸びる)マナ加速になっているのであって、土地を置かずにキャストしてると土地セットと同じ分しかマナが伸びず、テンポ損になっているだけ」という話は彼が良く話している事。





☆土地少な目派
もうひとつは、「土地は25~28枚くらい。30は多過ぎる」というタイプ。

このタイプの意図は、「十分なマナソースをデッキに確保しつつ、《Timetwister》のような手札リセット時に余分な土地を引かずに済むようにしたい」という事にある。

このタイプは、意識的にかどうかは分からないが、先程上に書いたような『土地セット+マナ加速を同時に行って初めてマナ加速になる』という理論を『1ターンに2マナ加速して初めてマナ加速になる』と読み替えている部分がある。
つまり、「土地を置けないターンがあっても、タリスマン2枚置けば2マナ加速してるのは一緒じゃない!」という考え方だ。


このタイプは、身内だとkuroeが代表的。





☆それぞれのタイプの特長
・土地多め派
初手に土地が無くて必死にパリマリして大きくアド損しながら土地を探す、みたいな流れが発生しにくい。つまり特に序盤のマナスクリューが起きにくく、安定性が高い。

期待値通りのドローが進めば、ドローカードも相まってマナ加速カードを途切れず適度に引けるようになっており、毎ターン平均2マナ弱の加速を期待出来る。(「弱」が付いているのは、期待値通りに引けた時でも、場合によってはドローか加速の時点でマナを使い切ってしまったり、他のアクション(サーチ・勝ち筋・妨害など)で加速が止まる事が予想されるため)



・土地少な目派
特に大量ドローキャスト時、手札に余分な土地がだぶつく事を防げる。
例えば土地セット後に《Timetwister》を撃って、手札に土地が4枚入ってくれば、そこから2ターン程の間の実質有効牌は、手札が7枚もあるにも拘わらず3~4枚しかなくなってしまう。
また、そんな手札の中にドローカード、特に手札リセットがあった場合、最大効率で使用できるのは4、5ターン後で、手札回転の効率が悪くなってしまう。
デッキの土地枚数を減らして代わりにマナ加速を投入する事で、手早く手札をダンプし、次の手札リセットやドローを最大効率で手早く利用出来る。

前者のタイプに比べて爆発力が高くなる傾向がある。
なぜなら、後者のタイプはデッキ内のマナ加速の量が多いので、「土地セット+マナ加速2枚」という3マナ加速の動きが発生する確率が前者に比べて高いためである。



☆それぞれのタイプの欠点
・土地多め派
特に目立った弱点はない。序盤から終盤まで安定してる。
あえて言うならば、逆説的に異常なブン回りをする確率は低い。また、「比較的安定している」だけで「絶対に事故らない」訳ではない。

◎具体例
・マナ加速が少なめである事が祟り、「数ターン土地セットだけ」「マナ加速を探してパリマリ繰り返してアド損」の二択が発生する。
・「安定して」毎回中途半端な速度の加速を行うため、自分より一段早いデッキに毎回付いていけない=負けがこむ。




・土地少な目派
特に序盤のマナスクリューの可能性が高い。
土地の代わりにマナ加速で代用する動きが発生し得る。しかしマナ加速カードの場合は、0マナノーリスクでセット出来る土地に比べ、テンポかアド面で損が発生する。

◎具体例
・手札リセットがドローの多くを占めているデッキはこのタイプに向いているのだが、ハイランダーのEDHで安定して手札リセットを連打するのは難しいため、土地を置けないテンポ損が頻繁に表出するパターン。
・初手において、「手札に沢山ある印鑑を置きたいけど2枚目の土地が引けない」となるパターン。
・土地とマナ加速を吐き出して手札リセットを撃ったはいいが、その手札に土地がなく、必要以上にテンポ損が発生するパターン。




総論として、土地多めタイプはローリスクローリターン、土地少な目タイプはハイリスクハイリターンなデッキ構成になっていると言える。




☆どっちが優れている?
結論から言うと、これはデッキ内のカードの細かなバランスによって変わるため、どちらが優れていると簡単に言えるものではない。と自分は考えている。

ここは、加速以外の部分をよく見て方向性を決めたい。
デッキにどれだけ軽量大量ドローが入れられるか・デッキの最終到達目標点は何マナか・それは平均何ターン目か・絶対にジェネラルをキャストしたいデッキならば、そのジェネラルを何ターン目にキャストしたいのか、などなど。


この前北上でcozaくんが「もうケアヴェクは駄目だー。苦労して出してもすぐ除去される」って心折れてたのを受けて。

必ず初手にいるジェネラルというカードがあるEDHのシステム上、多くの場合、プレイヤーはクリーチャーを使う事になる。
そのため、対戦する側も構築段階でクリーチャーを除去する事はある程度視野に入ってくる。

いくら手札の消費なくキャスト出来るからと言って、マナを払ってせっかく出したクリーチャーをむざむざ除去されるのはつまらない。
そんな時、あるとありがたいのがクリーチャーの除去耐性だ。
呪禁・被覆・プロテクション・破壊不能・黒である・アーティファクトである・マナコスト4以上・高タフネスなどさまざまあるが、ことEDHにおいては、それら基本的なもの以外の隠れた除去耐性というものがあると自分は考えている。

そんな訳で、その隠れた除去耐性の具体例をいくつか挙げていく。



☆隠れた除去耐性
・小さなアドをコントローラーに与え続ける能力
ぱっと見そこまで目立たず、対戦相手に害を与えない方向性のアドバンテージ能力は、比較的お目こぼしを受けやすい。
例えば他にウィザードのいない《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》でゆっくりカードを引き増していく動き。例えば他に供のいない《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》で、1体、2体と小さなゴブリンを増やしていく動き。
これらは危険度が低く、それゆえにプレイヤーは「もっと危険なカードが来る可能性を考えて除去を温存しよう」と考えるため、急いで除去される事が少ない。

しかし、これはあまり長く継続する除去耐性ではない。
他プレイヤーとの手札の枚数差が2枚3枚と積み重なっていったり、トークンが一気に5体も6体も出てくるような状況になってくると、温存される事無く除去が飛んで来る事になるだろう。


・自分には迷惑を与えない能力
例えば、青くないデッキから見た《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress》は他の青デッキを牽制してくれるカードなので、ラワンのプレイヤーがよっぽど突出して複数名で対処しなければならない状況でもない限りは、非青プレイヤーは放置するだろう。
つまりラワンは、「青くないジェネラルのプレイヤーの除去を受け付けない」除去耐性を持っていると言える。対戦相手3人中2人が青いデッキなら、受ける除去は2/3に減少している。


・仕事を終えたカード
《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》のような、CIP能力が目玉であるジェネラルは、戦場に出た時点で仕事を半ば終えている。
それどころか、下手に除去すると再キャストによりCIP能力を使いまわされる危険性すらある。
それゆえに、そういったキャストした時点で仕事を終えるクリーチャーは、戦場に出てしまえば除去を免れる可能性が高い。

ただ、戦場に出れば仕事完了となっているがゆえに、戦場に出る前の除去=キャスト段階のカウンターのマークは多少きつくなっている事は意識すべきだろう。


・仕事の内容が不確定なカード
《ネファリアの災い、ジェリーヴァ/Jeleva, Nephalia’s Scourge》は、戦場に出るまで一体どのようなスペルをただ撃ち出来るようになるか分からない。教示者などで積み込んででもいない限り、その危険度が分かりにくい。
それゆえに、キャスト段階で無理してまでカウンターされる事は少ない。いわゆる「はずれ」なスペルしか捲れなかったら放置する事が正解になるので、戦場に出て、危険かどうか判断してから除去した方が効率的だからだ。
上に書いたCIP能力とは対になるような除去耐性と言える。



これらが働く理由は、「EDHが多人数戦である」という事を前提に起因する。
1対1では対戦してが出して来た脅威はそのまま自分に牙を剥くのだが、複数の対戦相手がいる多人数戦ではそうとは限らない。「他の人が除去してくれるかもしれないから除去を温存しよう」という考えが発生し得るため、即座の除去を免れる事が起こり得るのである。




そうして、それゆえに「逆の除去耐性」、除去されやすくなる要素も存在する。


☆逆除去耐性
・大きなアドを一気にとっていく能力
上の除去耐性で出したのと同じカードではあるが、例えば戦場にゴブリンが5体も6体もいる状況でキャストされた《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》や、大量のウィザードを供に引き連れた《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》は、一気に二桁の軍勢を作り出したり大量ドローを発生させる危険なカードとなり、除去を率先して撃たれる候補になり得る。
余りに目立つような利益を得る行動は、それだけ周囲から目の敵にされやすい。


・周りに迷惑を振り撒く能力
《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》は、戦場に存在するだけで対戦相手全員の動きが制限される。
当然、すべての対戦相手は「出来れば戦場からいなくなって欲しい」と考えるし、自分が好きなように動くためにアウグスティンに率先して除去を撃ったりもする。


・即座に仕事をする訳ではない、有名な強ジェネラル
《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》《結界師ズアー/Zur the Enchanter》《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》などといった、ジェネラルを中心とした非常に強い動きが実際に存在し、また、それが有名になっているジェネラルは除去の的となりやすい。
それが、通常仕事をするのにタイムラグが必要となるならばなおさらだ。
しかしそのジェネラルが強いのもまた事実なので、その辺は有名税だと思って諦めるのが賢明だろう。



これらの能力は、対戦相手が除去を温存する選択肢を自ら潰していく性質をもっているため、出した端から対戦相手全員の手札にある除去が飛んでくる事が多い。


☆また、上記の逆除去耐性と関連した疫病神的能力として、周囲のリソースを削る能力持ちというものがある。

例えば、対戦相手に、あまり戦闘を行わないタイプのコンボデッキなジェネラルと、クリーチャーでガンガン殴っていく事を奨励するタイプのジェネラルがいたとしよう。
今、あるプレイヤーが、自分以外にクリーチャーをコントロールしているプレイヤーはおらず、クリーチャーで攻撃する余裕が出来た。
そんな時、そのプレイヤーが攻撃するであろう相手は(色やペイライフカードの要素を抜きにするのなら)ビートダウン寄りジェネラルの側となるだろう。
自分以外のプレイヤーのライフが減る事は、ビートダウンデッキの勝利条件を助ける事にもつながるし、結論他プレイヤーが敗北に近付くという事は、自分が狙われる要因にもなる。
他プレイヤーのライフは、対ビートダウンを考えた場合、時として自分を守る肉の壁になるので、わざわざ意味もなく削らないという選択肢が発生する。
たまらないのはビートダウン側で、自分の勝利が近づく事もなく、それどころかライフが減って敗北が近づく羽目になる。

これは、ジェネラルの性質が「他プレイヤーのライフリソースを削る」というものであるがゆえに、「自分のライフリソースが削られやすくなっている」と言える。




☆で、《無慈悲なる者ケアヴェク/Kaervek the Merciless》は?

・他人のリソースを削る火力発生能力(クリーチャー除去能力・ライフ削り能力)
・火力が飛んでくるせいで、呪文のキャストに制限がかかる迷惑な能力
・大きなアド(場合によっては毎ターン5点6点のライフ)を失わせる能力

といった、逆除去耐性を持っていると言える。
おまけにデッキは必然的にその火力能力と相性のいいライフ勝ち狙い(それも極端な!)になりがちで、他人の攻撃が自分に集中しやすい。
それゆえに、ケアヴェクは7マナという非常に重いマナコストに見合った活躍をする前に除去されがちで、ジェネラル中心の戦略を立てても頓挫しやすくなっている、と自分は考えている。


まあアレだ。
赤黒とかいう決して強い色組み合わせではないくせに、存在そのものが全力で対戦相手全員に喧嘩を売りに行って1対3を推奨している能力だから、コイツはもう諦めた方がいいw

前にデッキ構築の記事(http://kakkokari.diarynote.jp/201409191206361698/)を書いたんだけど、なんぼなんでも長文すぎるので簡略化しようと思いたったので。

ここでは、色んな部分を省略したり簡略化したりしつつも、記事通りに組んでいけばある程度はちゃんと戦えるEDHデッキにするのが目的。

簡略化と言いつつ、それでもそこそこ長い記事になるとは思うけど、1回の記事には納めるように努力したい。
そんな訳でさっそくいってみよー。




☆1・ジェネラルを選ぶ
デッキのカードプールを決定し、毎回初手にいて、コストはかかるが複数回キャストも可能な唯一のカードなので、デッキの中心になれるようなカードを選ぶのが基本。

・色
最低限、青黒緑は触っておきたい。赤白に比べると爆発力とか防御力とか全体的に勝っている。
出来れば強色の青が含まれているとありがたい。それだけで一応は万遍なく出来るようになる。
また、カウンターとバウンスである程度補える青以外の単色だと、得手不得手がはっきりして脆いので、出来れば2~3色が望ましい。


・ジェネラルの仕事
アドを取る、カードをサーチする、(コスト踏み倒し含めた)マナ加速になる、コンボパーツになる。
減らすべきライフが多い統率者戦なので、コンボで一撃死や、ライフを削っていくにしても長期戦になりがちである。そのため、可能ならばこの3つの内どれかが可能なジェネラルにしたい。

また、前者2つは継続して使用する事も視野に入るため、使い勝手を考えると起動のマナが2マナ以程度であるのが望ましい。正直2マナでもちょっと重いくらいだ。
一線級になるなら攻撃誘発や「戦場に出た時の効果」のような実質0マナ起動ではあって欲しい。


・マナコスト
基本的に4マナ以下で、3マナ以下だと優秀といっていい。
5マナ以上ならば、戦場に出た時の効果が仕事だったり、速攻をもっていたりでキャストで即なんらかの影響を盤面に与えうる効果を持っていて欲しい。
それであってすら、7マナ以上になるとちょっと厳しい。《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》のように複数枚のアド+踏み倒しくらいの莫大な利益をもたらすレベルでないと採用は難しいだろう。


この辺りを基準にしてジェネラルを選ぶ。




☆2・勝ち筋の選定
・勝ち筋の方向性の選択
ライフ40の多人数戦なので、勝ち筋は無限コンボを準備した方が手っ取り早い。加えて、ハイランダー構築なので勝ち筋はサーチを併用しないと揃えにくい。
色によってサーチの得手不得手があるので、そのカードタイプを中心としたコンボを選ぶのがいい。

各色の得意サーチは以下の通り。
白:エンチャント
青:アーティファクト
緑:クリーチャー
加えて、黒は何でもサーチ出来る



・理想のコンボ
勝ち筋となるコンボは、可能ならば2枚以下のコンボが望ましい。
3枚コンボならば、パーツが単体で十分役立つ性能を持っている、ジェネラルがパーツなので実質枚数を1枚減らせる、カードタイプが揃っていたり複数枚同型パーツがあるおかげでサーチが異様に楽、などの要素が欲しい。

リムーブ1枚で詰むのは望ましくないので、コンボの種類は2種類くらいは積んでおきたい。

コンボパーツは基本的に揃うまで役立たずなものが多いので、パーツすべて含めても10枚以下程度に抑えたい。

コンボに使う総支払いマナの量は、全部で6~8くらいで収めたい。それ以上に重いコンボの場合は、分割でキャストしていけるパーマネントのパーツの方が扱いやすくてよいだろう。
(例:《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》《ブライトハースの指輪/Rings of Brighthearth》《ゴブリンの大砲/Goblin Cannon》は、手札から一度に始動するなら8マナ必要だが、それぞれ3~4マナ程度で先置きしていける)
そのため、カード1枚の必要な支払いマナが異常に高いコンボは、《歯と爪/Tooth and Nail》レベルの1枚コンボ以外は排除したい。



具体的な勝ち筋の例は、カードリストとにらめっこしたり、「EDH コンボ」で検索したりして見つけて欲しい。

この辺りを基準にして勝ち筋を選ぶ。




☆その他のカードとデッキバランス
枚数は独断と偏見で

◎土地
28~34くらい。
全体のマナコストや、デッキ内の《Timetwister》のような軽量大量ドローや《Mana Crypt》のような高額0マナ加速の量を考慮して枚数を調整したい。
1~2マナ使って加速するマナ加速が大半なお安いデッキだの場合、ある程度のターン数は安定して土地を置いておきたいので31~34枚くらいの方が安定するだろう。


◎マナ加速
デッキに16~22枚程度は入れたい。
マナがなければどんなに強いカードもキャスト出来ないので、土地とマナ加速は非常に大切。特にマナ加速は、使いたいカードを使えるターンを1ターン2ターンと早くしてくれるので地味ながらも非常に重要。
序盤の動きが安定し、重いカードが手札に滞る事もなくなるので、その内の80%程度は2マナ以下のものを選択したい。


◎ドロー
デッキに15~20枚程度入れたい。
ドローといっても、色によっては中々まともに揃わない。ルーティングや、《巻物棚/Scroll Rack》のような手札も増えないしサーチでもないライブラリー操作含めたドロー補助関連はすべて含めてしまって構わない。

土地セットとマナ加速を順調に繰り返せていると、その時点で複数枚のカードを消費しているので手札が減っていく。そこでさらにそのマナを活かしてパワーカードをキャストすると、その辺で手札が尽きて息切れを起こしてしてしまう。
そこを補うようなタイミングで手札にドローが入ってくるくらいのバランスが望ましい。


◎サーチ
~8枚くらい。
その場その場で必要な、勝ち筋や妨害やドローなどを運んで来てくれる、デッキの動きを安定させてくれる重要要素。
ライブラリートップに置くなどのアド損要素があるものは2マナ以下、手札に加えるものでも3マナ以下が及第点レベル。
出来れば多めに入れたいが、そもそも及第点レベルのサーチカードの枚数が少ないので難しい。
ただしサーチばっかり引いてもアド損だったりマナを使うせいでテンポ損が激しかったりするので、通常のデッキなら10枚超える程はいらないだろう。


◎インスタント妨害
6~15枚程度。
自分より早い勝ち筋を持っているデッキの勝ちを遅らせたり、自分にとって致命的なカードを止めたりするカード。
特にこのゲームはコンボ戦になりがちなので、「1枚のカードを止める=複数枚のカードとそのキャストに使われたマナが無駄になる」という事もよくあるので効率がいい。

コンボを止めるのが主目的である事、多人数戦なのでギリギリまで待てば他の人が先に対処してくれる可能性がある事から、

・後出しできるインスタント
・さまざまな勝ち筋を止められるよう手広く触れるもの
・重くても3マナ以下

くらいの条件は満たしたい。
特に唯一ソーサリー・インスタントに触れるカウンターは、ピッチを含めて軽いものも複数あり、偉い。


◎その他
0~5枚程度。

・明確な仕事はないものの、様々な盤面でなんとなく高水準で役に立ち、デッキの動きを強化してくれるユーティリティーカード(例:《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》)

・単体では役に立たず、組み合わせても勝ち筋と呼べるレベルまでにはいかないものの、確実に初手にいるジェネラルと組み合わせる事で能力を補助し、大きな効果を発揮してくれるパワーカード(例:《結界師ズアー/Zur the Enchanter》ジェネラルの《稲妻のすね当て/Lightning Greaves》)

・自分が苦手なデッキや、自分より早いデッキを咎める置物妨害(例:《血染めの月/Blood Moon》《呪われたトーテム像/Cursed Totem》など)

絶対に必要な分類ではないが、デッキの隙間を埋めたり、同程度のアド取りをしているデッキ相手の競り合いを制したりする要素となってくれる。




これくらいのバランスで、コンボパーツを突っ込んだ残りの90枚程度を埋めれば完成である。



☆おまけ
最後に、資産ごとのデッキバランス例

◎資産制限なしデッキ
・土地 30
・マナ加速 19
・ドロー 17
・サーチ 8
・妨害 12
・コンボパーツ 9
・その他 5


◎お手頃価格デッキ
・土地 32
・マナ加速 21
・ドロー 16
・サーチ 6
・妨害 15
・コンボパーツ 9
・その他 1

資産無制限に比べ、予算や自分より高速なデッキが増加する影響で、

◎0マナの高額マナ加速が十分に使えないため、マナベースはしっかりと
◎どうしても遅くなりがちで、生き延びる必要があるために妨害多めに
◎予算の関係上、高額になりがちなサーチが減少
◎遊びを作る余裕がないので便利カード、パワーカードの枠が減る



おしまい。
結局大分長くなったな……
いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事、のおまけ。

実際に、ある程度単価低めで組んだ構築例を挙げてみるおまけコーナー。
5桁だと縛りも薄いし、実際手が出にくい人も多いであろうと思われたので、単価5000円以内、なおかつ絞れる部分に関しては絞った構成。



☆デッキレシピ
カード名の右側は晴れる屋さんの通販価格。左側はカードの枚数。(基本土地)
販売しているものに関しては販売しているものの中で最安、売り切れているものに関しては売り切れの中で最安の価格を記入している。
また、「1000円の壁」「3000円の壁」を超えているカードは分けて記入してある。より安価な構築をする際の参考に。
ただし、このデッキにおける1000円以上のカードは、「切り捨てるとデッキパワーが大きく落ちると思われる」パーツばかりなので、コンセプトの「ガチデッキとある程度以上戦える」というコンセプトは難しいかも知れない。



ジェネラル
《擬態の原形質/The Mimeoplasm》1800



コンボ 11
《生き埋め/Buried Alive》350
《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》400
《Phyrexian Devourer》500
《トリスケリオン/Triskelion》200
《生+死/Life+Death》50
《動く死体/Animate Dead》450
《研究室の偏執狂/Laboratory Maniac》350
《Demonic Consultation》500
《不浄なる者、ミケウス/Mikaeus, the Unhallowed》800

《再活性/Reanimate》1100
《歯と爪/Tooth and Nail》1000



サーチ 8
《神秘の教示者/Mystical Tutor》450
《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》200
《粗石の魔道士/Trinket Mage》80
《魔性の教示者/Diabolic Tutor》20

《親身の教示者/Personal Tutor》2700
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》2800
《適者生存/Survival of the Fittest》2800

《Demonic Tutor》3100



ドロー 16
《渦まく知識/Brainstorm》250
《Mystic Remora》200
《入念な研究/Careful Study》450
《夜の囁き/Night’s Whisper》350
《知識の渇望/Thirst for Knowledge》500
《強迫的な研究/Compulsive Research》30
《大あわての捜索/Frantic Search》250
《意外な授かり物/Windfall》350
《ジェイスの文書管理人/Jace’s Archivist》50
《意思切る者/Architects of Will》80
《入念な考慮/Careful Consideration》50
《囁く狂気/Whispering Madness》50
《通りの悪霊/Street Wraith》120
《クローサの大牙獣/Krosan Tusker》20

《時のらせん/Time Spiral》2300

《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》3300



妨害 13
《精神的つまづき/Mental Misstep》180
《払拭/Dispel》40
《白鳥の歌/Swan Song》300
《秘儀の否定/Arcane Denial》300
《遅延/Delay》250
《誤った指図/Misdirection》800
《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》300
《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》300
《残響する真実/Echoing Truth》100
《四肢切断/Dismember》450
《フェアリーの忌み者/Faerie Macabre》40
《概念泥棒/Notion Thief》160

《否定の契約/Pact of Negation》1700



その他 1
《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》600



マナ加速 19
《Jeweled Amulet》200
《水蓮の花びら/Lotus Petal》800
《太陽の指輪/Sol Ring》300
《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》40
《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》30
《桜族の斥候/Sakura-Tribe Scout》100
《花の絨毯/Carpet of Flowers》400
《暗黒の儀式/Dark Ritual》250
《威圧のタリスマン/Talisman of Dominance》600
《ディミーアの印鑑/Dimir Signet》250
《シミックの印鑑/Simic Signet》50
《ゴルガリの印鑑/Golgari Signet》30
《友なる石/Fellwar Stone》180
《Elvish Spirit Guide》900
《夜明けの反射/Dawn’s Reflection》70

《魔力の櫃/Mana Vault》1000
《極楽鳥/Birds of Paradise》1000

《金属モックス/Chrome Mox》3300
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》3900



土地 31
4《島/Island》10
2《沼/Swamp》10
3《森/Forest》10
《統率の塔/Command Tower》180
《真鍮の都/City of Brass》350
《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》400
《色あせた城塞/Tarnished Citadel》250
《反射池/Reflecting Pool》700
《ダークウォーターの地下墓地/Darkwater Catacombs》300
《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》800
《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》550
《地底の大河/Underground River》350
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》900
《内陸の湾港/Hinterland Harbor》500

《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》1100
《繁殖池/Breeding Pool》1600
《湿った墓/Watery Grave》2000
《草むした墓/Overgrown Tomb》1600
《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》2400
《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》2400
《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》2300
《マナの合流点/Mana Confluence》2700
《古えの墳墓/Ancient Tomb》2800

《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》3000
《汚染された三角州/Polluted Delta》3200


比較的安価、かつ強力なコンボである生き埋めウーズと偏執狂を主軸に据えた擬態の原形質デッキ。マナコスト増量目的+サブコンボとして、歯と爪からのミケウストリスケコンボも入っている。
ウーズコンボの都合でマナコストを大きくする必要があるのだが、安いカードほど重い事が多いので微妙に都合がいいw
《Mana Crypt》が使えない分、気持ち土地が多め。0マナで2マナ出せるカードの有無により、手札リセットやドローによって次の土地を確保する動きが最大2ターン遅れる事になるので土地を地道にセットする必要がある。




☆妥協できなかったポイント
高速環境にある対戦相手に勝つためには、その速度に負けないだけの速さで自分も勝ち手段を叩きつける必要がある。そのために、

・後れを取らない早い勝ち手段
・勝ち手段を安定して手早く手札に引き込むサーチ
・早いターンで勝ち手段や妨害を安定してキャストするためのマナベース

には可能な限り妥協しないようにした。
特にマナベースは重要で、上2つがいくら優秀でもそれをキャストするためのマナの数と色が揃わない事には意味がないので最も力を入れた。
実際、1000円以上の高額カードの大半がマナベースである。





☆重要カード
では、実際に1000円以上の重要カードの具体例を上げていきたい。

・フェッチランド各種、ショックランド各種
序盤の安定した色マナの確保のため、多少無理をしてでもデッキに組み込んでおきたい。
これらがないと、色が安定しない不安定なマナベースにするか、タップインランドを多用したテンポの悪いデッキの二択になってしまう。

・《古えの墳墓/Ancient Tomb》
3000円以下でありつつ、「マナコストの低いカード1枚から2マナ出せる」という貴重なカード。
これや《太陽の指輪/Sol Ring》、2番手以降の《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》が初手にあった時は、序盤の速度が目に見えて変わる。指輪や洞窟は安価でもあるため、この辺りは大事にしたい。

・《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》《金属モックス/Chrome Mox》
3000円を超える非常に高額なカードだが、戦場に残り続けながらも1ターン目に2マナ以上出し得るカードとなると他になくなってくる。高速環境についていくためには止むを得ず、と投入された。
キャストでアドを失うわ1マナしか増えないわで使っていても強さの実感は薄いかも知れない。しかしその「毎ターン+1マナ余計に使える」効果は着実に展開力を底上げしてくれるので非常に重要。

・《魔力の櫃/Mana Vault》
どの色でも使える、置きっぱなしに出来る《暗黒の儀式/Dark Ritual》。
なんだかんだで重いスペルを使うEDHにおいて、大量の不特定マナは使い道に困らない。場合によっては3ターンも早く重いスペルをキャスト出来る権利を与えてくれるこのカードの爆発力は非常に重要。

・《吸血の教示者/Vampiric Tutor》《Demonic Tutor》などの軽量サーチカード
《神秘の教示者/Mystical Tutor》《俗世の教示者/Worldly Tutor》あたりなら1000円以下なのだが、十分な数の軽量サーチをデッキに入れようと思うとどうしても1000円越えのカードが数枚は欲しくなってくる。
サーチカードは、「サーチ→サーチしたカードのキャスト」という動きになるため、どうしてもマナの総量が必要になってくる。その時の負担を抑えるのが、サーチカードの軽さだ。
重いサーチは1ターンの遅れをもたらすのだが、その1ターンはEDHでは致命的である事が多い。多人数戦かつ高速環境であるため、1ターンで盤面が大きく変わってしまい、サーチしたカードが役立たずになったり、自分のターンが来る前にゲームが終わったりしてしまう事すらある。
サーチしたカードは、可能な限りサーチしたターンで使いたい。



この辺りさえ押さえれば、あとは安価な下位互換を使っても比較的どうにかなる事が多い。
カードプールにある選択肢が非常に多いため、ドロー・サーチ・妨害は、安価かつ軽量、強力なカードが十分にあるからだ。



大体こんな所で。
実際にデッキを組む時の参考にしてもらえれば幸いです。
これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です。
第9回は、「デッキバランス」について。


目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
4:デッキのマナ・ベース http://kakkokari.diarynote.jp/201407172044061306/
5:デッキのサーチカード http://kakkokari.diarynote.jp/201407300109416387/
5.5:サーチカード具体例 http://kakkokari.diarynote.jp/201407301504143624/
6:デッキのドローカード http://kakkokari.diarynote.jp/201408052246596657/
7:除去、妨害 http://kakkokari.diarynote.jp/201408211256548253/
8:その他のカード http://kakkokari.diarynote.jp/201409031752566977/



という訳でようやく最終回。
これまで各カードの役割と選定基準を中心に書いてきたので、最後はそれらをどれくらいの枚数、どう組み合わせるかのお話で。



☆マナベース
・土地
EDHはカードプールが広く、100枚ハイランダーとは言え1マナ以下の優秀な加速カードをそれなりの枚数投入する事が出来る。
土地以外のマナベースによる加速力で言えば、《金属モックス/Chrome Mox》や《炎の儀式/Rite of Flame》などが禁止されているモダン以上は確実にあると言える。
また、ドローに関してもレガシー以下準拠の強さはある上、ゲームの性質上ほとんどのデッキがドローカードにある程度は頼る構成になるのでカードの引き増しも期待しやすい。
おまけにマリガンが部分式パリマリガンであるため、初手の土地事故はかなり発生しにくい。多少無茶なマナバランスでも、初手に限ればある程度動く初手に持って行く事は可能なのである。

そのため、加速要素を適切に入れていれば土地の比率はスタンダードやモダン辺り(通常40%ほど)と比べれば少なめでも十分動く。30~35%もあれば十分だろう。
構築時は31、2枚くらいから始めて、3ターン目まで安定して土地が置けなかったり、土地が手札で滞りがちになると調整しやすいかも知れない。


・土地以外のマナソース
カードプールの広さのおかげで軽量、重量双方ともに優秀な加速が多く、また、ハイランダーの関係上100枚すべてを軽量スペルでまとめるのは難しいために重いパワーカードも使われがちなのがEDHという環境。
そのため、加速カードの重要性は非常に高い。
《金粉の水蓮/Gilded Lotus》のような重い加速カードは、重量級カードのキャストを助ける加速になるだけではなく、実質的にアドになる(例えば例に挙げた金粉の水連だとカード1枚で土地3枚分)のだが、それ自身がキャストにマナ加速の助けが欲しくなる重量級であるため、こちらを中心にすえるのは事故を招く。
基本的に、2マナ以下の加速(可能ならば1マナ以下を重視)を中心にデッキに投入する事を勧める。

枚数的には、マリガン含みで初手に1~2枚を期待出来る15~20枚くらいが適正だろう。


・全体のバランス
マナベースは大体デッキの半分くらい。多めに見えるが、重い強力カードを早めに叩きつけられるようになる事が肝要なゲームであるし、《Wheel of Fortune》のような法外な手札補充手段もあるし、なによりジェネラルという余ったマナの吐き出し口もある。
他のレギュレーションに比べれば、はるかにマナフラッドは起こりにくいと言えるだろう。



☆勝ち筋
揃えばそのまま勝ちであるコンボ(ビートダウンデッキの《憎悪/Hatred》《生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton》なども含む)は、逆に言うと単体だと仕事が微妙になる事が多い。
「どれかのコンボが揃えば勝ちだから」と山ほどコンボを投入しても戦場でニートしてたり手札で滞っていたりするゴミの山になる。

これらの勝ち筋は、種類を2~3種類程度に絞り、総枚数も多くとも10枚以下にまとめたい。
また、単体で仕事をするものを中心にし、可能な限り負担を減らしたい。




☆ドローカード
デッキの安定性を高め、息切れを防ぐのがドローカードの仕事。
マナベースの項で書いた通り、マナ加速要素がデッキの約半分を占めるため、EDHでは高速で手札をダンプしてしまう動きが多くなりがちだ。
ドローカードはその息切れを防ぐ必要があるため、投入枚数としては「手札が尽きかけた頃に1枚引く」くらいのバランスが望ましい。少ないと息切れするし、多過ぎると手札でドローが滞る事になる。

投入枚数は、デッキに入っているドローカードのドロー可能枚数によっても変わる。例えばデッキに入っているドローが全部《予言/Divination》だったら引いてもすぐに手札がなくなるので次の予言が欲しくなるが、全部《連絡/Tidings》だったら単純計算で1回撃てば予言の倍のターン次のドローは撃たなくてもよくなる。
もちろん予言は軽いが連絡は重い。連絡を打てば、そのターンに他のアクションはやりにくいだろう。この辺りのマナバランスも考慮したい。

実際にデッキに入る枚数としては、高効率ドローの種類数が色によって変わるため広くはなるが、3マナ以下の軽量ドローが5~13枚程度、4マナ以上の重量級ドローが3~8枚程度になるだろうか?
合計で10~15枚程度は入れたい。




☆サーチカード
ハイランダーなのでサーチは非常に強い。この種類のカードは安定性、爆発力双方に貢献するため本当に重要。
だが、こればっかりは色による影響が大きい。ほとんどまともなサーチのない赤と、万能サーチが大量にある黒では現実的に投入可能な枚数に大きな差が出てしまう。

可能なら、という程度の基準として、5~10枚程度をサーチの枠として作りたい。



☆除去・妨害など
自分より早いデッキ相手に生き延びる、自分の勝ち筋を守る、相手の勝ち筋を先出しで潰す、と攻防両面で重要な除去・妨害要素。
しかし多過ぎても自分の勝ち筋には直接的に貢献しないため、バランスが肝要である。

コンボを止めたり自分のパーツを守ったりに使えるインスタント除去やカウンターは5~10枚程度、先出しで安全を確保したり他人の動きを阻害する妨害系は3~5枚程度入れるのが平均的だろう。

全体としては、10枚前後入れるのが邪魔にもなり過ぎず危険を前に棒立ちになる事も少なくなるのでいいバランスだろう。




☆その他のカード
・ジェネラル依存カード
ジェネラル依存・デッキ依存が大きいものは、デッキによって変わるが、0~8枚くらいが適正だろう。
ジェネラル依存が強いカードを入れ過ぎると、ジェネラルに対処されるだけで無駄牌が大量発生してしまうため、4枚以上にする場合には、その数だけ「単体でも十分な仕事を期待出来る」カードを投入するようにしたい。


・柔軟性カード
明確な役割がある訳ではないが、色んなタイミングで強い「柔軟性カード」は、良いものがあるなら2、3枚入れるとデッキが粘り強くなる。
ただ、こちらも入れ過ぎるとデッキの方向性、ひいては勝ち筋へ向かう動きが散漫になる。
ジェネラル依存カードと違い、これ自体は非常に強いのでデメリットが分かりにくいので特に注意が必要だ。




☆まとめ
上に書いてきた基準はあくまで「平均的なデッキ」を想定している。
ジェネラルやコンセプトが極端なデッキはこれらから大きく外れる事になるので、そういったデッキを調整する場合は独自に詰めていってデッキを育てていく必要がある。

とは言え、適度に妨害しながらパーマネントを展開し、ドローし、勝ち筋を叩きつけるような「平均的なデッキ」なら、これらのバランスで「頻繁に土地事故を起こす」「すぐにジリ貧になる」などの大きな間違いは起こらないと思う。




とりあえずこんな所で全編終了。
酷い長文でしたが、くじけず最後まで読んでくれた方には感謝の意を送りたいと思います。

あとは最後におまけを1つ2つ(忙しい人向けの箇条書き・1枚MAX5000円以下構築具体例、あたり)書くかもしれないので、その時はよろしくw


http://forum.mtgcommander.net/EDH_Forum/viewtopic.php?f=1&t=17210

大幅に変わった感。


《陰謀団の先手ブレイズ/Braids, Cabal Minion》
《ラノワールの使者ロフェロス/Rofellos, Llanowar Emissary》
《上位の空民、エラヨウ/Erayo, Soratami Ascendant》

が禁止に、

《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》
《金属細工師/Metalworker》

が解禁に。


以下コメントを簡単に解説。

金属細工師以外の禁止・解禁は、「統率者にする事を禁止する」という項目を削除する目的があったため、との事。
んで、危険かどうかで言ったら3枚とも(エラヨウには異論はあったが)危険だから禁止。黒瘴は安全と判断された模様。まあ当然っちゃ当然か。

金属細工師は、今までも解禁の議論が繰り返されていたが、今回、「爆発力はあるけど安定性に乏しいしリスクもある」と判断されて解禁。


持ってないので、メインデッキとサブデッキ用に金属細工師2枚買わなきゃなー。

これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です。
第8回は、「その他のカード」について。


目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
4:デッキのマナ・ベース http://kakkokari.diarynote.jp/201407172044061306/
5:デッキのサーチカード http://kakkokari.diarynote.jp/201407300109416387/
5.5:サーチカード具体例 http://kakkokari.diarynote.jp/201407301504143624/
6:デッキのドローカード http://kakkokari.diarynote.jp/201408052246596657/
7:除去、妨害 http://kakkokari.diarynote.jp/201408211256548253/



前回まででデッキに必要なパーツに関する説明が大体終わりました。
しかし、実際のデッキにはこれら分類に当てはまらないようなカードが入る事があり、その上でその存在がデッキ強化に繋がっている事もあります。
今回はそんなカードについてちょこちょこと。

☆2種類の「その他」のカード

◎ジェネラルとのシナジーを持つカード
EDHにおいて唯一初手に入ってくるカードであるジェネラル。言い換えれば、マナさえ揃えば毎ゲームキャストしゲームに影響を与える事が出来るカードという事。
なので、ジェネラルとのシナジーを持つが、ジェネラルがないと水準以下となってしまうようなカードはデッキに入れると「必ず相方がくるので高確率で十全にその力を発揮する事を期待出来るカード」という事になる。

それは一部のアドバンテージカードだったり(例:1/1トークンを沢山出すジェネラルデッキの《弱者の師/Mentor of the Meek》《頭蓋骨絞め/Skullclamp》など)、マナ加速だったり(軽量3色ジェネラルの《花を手入れする者/Bloom Tender》など)する場合もあるが、純粋に「ジェネラルがいると破壊力が大幅に上がるからカードパワーで押し切れる」という分類しにくい位置付けのカードもある。

例えばならず者ジェネラルの《知識の搾取/Knowledge Exploitation》、《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》《ネファリアの災い、ジェリーヴァ/Jeleva, Nephalia’s Scourge》のようなマナコスト踏み倒し系ジェネラルの《精神の願望/Mind’s Desire》などだ。
これらは、単体では重すぎたりして使い勝手が悪い要素の方が多く出るのだが、特定のジェネラルで使う事でマイナス点を無視出来、強力なカードパワーの恩恵だけを受ける事が出来る。

こういったカードの存在は他のジェネラルとの差別化を可能とする。
純粋に便利で強い「コスト相応」なカードで固められた同じ色のデッキを、そのカードパワーで踏みつぶす事を期待出来るからだ。
なので、こういったカードを入れられる、自然とデッキパワーが他の一段上になるようなジェネラルの評価は少し高めに付けた方がいいだろう。



◎用途の広い『柔軟性カード』
代表的な所では《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》のようなクローン系。
相手の重たいパワーカードを安価で手に入れたり、マナ加速に化けて中盤戦へとマナベースを伸ばしたり、デッキに1枚しか入れられないカードを擬似的に使いまわしたり、といった幅広い活躍が期待出来る。
昔ならばこれに加え、「相手ジェネラルの除去」なんて役割も持てた。

こういったカードは、手札にあると非常に幅広い状況で幅広い仕事をしてくれるので、デッキに柔軟性を与えてくれる。
柔軟性カードは、不利な盤面でデッキの構造上苦手なものへの対処を可能にしつつ、有利な盤面で自軍の攻勢を後押ししてくれるため、非常に無駄になりにくくい。

効果として近いのは《吸血の教示者/Vampiric Tutor》などのサーチカードと様々な用途のカードをデッキに仕込むシルバーバレット戦術といえる。
しかしこちらの場合は「サーチを挟む必要がないので軽め」「銀弾をデッキに仕込む必要がないので引きムラが少ない」といった利点がある。
(もちろん、シルバーバレット戦術にも「適切なカードを素引きする可能性」「ピンポイントカードなので柔軟性カードより効果が圧倒的に強力」などの利点はあるのだが)

こういった、水準以上で複数の枠割を期待出来る柔軟性のあるカードは、ある程度デッキに入れておくとよいだろう。
デッキは粘り強く、それでいて攻勢時に手が緩む事がなくなる。




☆投入枚数
破壊力で他デッキに差を付けるジェネラル専用パワーカード、用途の広さで多くの状況に対応する柔軟性カードは確かに便利なのだが、こういったカードが十分な力を発揮するためには、デッキの根幹となる部分がしっかりしている必要がある。

大味なカードは単体で使わざるを得ない時にちゃんと役立てられるように十分なマナベース構築を必要とする。
あらゆる状況に対応出来るが強さはいつでも「平均程度」にしかなれない柔軟性カードだけでは爆発力が足りなくなるので、対戦相手に対して有利に立つためにはデッキに「強みを押し付けられる尖った部分」を仕込んでいく必要がある。

そういう面もあり、基本的にはデッキに5枚以下にしておいた方がいい。
特にジェネラル前提のパワーカードは、ジェネラルが封殺されるとそのまま無駄牌に代わりかねないので注意が必要だ。



☆もしもパワーカードを増やしたいなら
特に、ジェネラルに頼った重たく偏ったパワーカードが大量に入っている場合に、それを死に札にしない方法として、「デッキ全体がそれをサポートするからジェネラルいなくてもある程度大丈夫」にする、というものがある。

代表例は《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》や《アニマのメイエル/Mayael the Anima》など。
これらは、ジェネラル本人以外のマナコスト踏み倒しエンジンを搭載したり、そもそもマナベースを異常に厚くして重カードを扱えるようにしたりといった方法で、ジェネラルが封殺されてもある程度のデッキパワーを担保している。

とはいえこれらは次善の策。
結局は「マナしか引かない」「重いカードしか引かない」という引きの偏りを起こすリスクを背負う事になるので、どうしても安定性では通常の構築のデッキに劣る事になってしまうだろう。






☆次回予告
これでデッキに入るカードの説明は終了。
次回は多分最終回、「デッキのカードバランス」について書こうと思う。

これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です。
第7回は、「除去。妨害」について。


目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
4:デッキのマナ・ベース http://kakkokari.diarynote.jp/201407172044061306/
5:デッキのサーチカード http://kakkokari.diarynote.jp/201407300109416387/
5.5:サーチカード具体例 http://kakkokari.diarynote.jp/201407301504143624/
6:デッキのドローカード http://kakkokari.diarynote.jp/201408052246596657/


前回の予告だと「ドローカードの具体例」って話だったけど、第6回で書いた事に当てはまるドローカードを並べるだけになりそうだったから中止しましたw

という訳で、今回はこれまで書いてきた、直接的に勝利へと向かうカードジャンルである「ジェネラル」「コンボパーツ」「サーチ」「ドロー」「マナベース」以外のカードである、「除去・妨害」について解説していきたいと思います。






☆除去・カウンター・置物妨害
デッキに据えた「勝ち手段の軽さ」や、「サーチの量」「ドローの量」の違いにより、そのデッキによって平均的な勝利ターンはそれぞれ変わってくる。
当然ながら、勝ちパターンに必要なマナが軽く、必要なカードが少なく、サーチ・ドローが多ければ、それだけ平均勝利ターンは短くなる。
では、勝利ターンが遅いデッキでは、勝利ターンが早いデッキに勝てないかというと、決してそういう訳ではない。
自分より早いデッキを妨害し、減速させたり機能不全に陥らせる事により、自分の方が先に勝利条件を満たすという事が可能だからである。
そのために重要なのが、「除去やカウンター」と「置物妨害」だ。




◎除去・カウンター
例えばむかつきデッキは、5マナと《むかつき/Ad Nauseam》1枚から勝てる、大量のサーチとマナ加速を備えたデッキである。
単純に考えてそれに勝とうとするのなら、むかつき以上のサーチやマナ加速を加えればいい。
しかし、同じ速度で勝てるようにマナ加速やサーチを加えて行くのは難しい。すでに水準以上のマナ加速やサーチが入っているデッキに、水準以下のそれらを入れても安定性は損なわれるし、その上で「5マナのカード1枚」で勝つむかつきの速度に追いつく事は難しいからだ。

だが、それより重く遅いコンボに勝ち目がないかというとそういう訳ではない。
極論、1T目に《むかつき/Ad Nauseam》を《摘出/Extract》してしまえば大きく機能不全に陥るし、アドを失いながら手札に加えてマナを揃えてキャストした《むかつき/Ad Nauseam》を打ち消せば、実質1対多交換しつつテンポと勝ちの目を奪う事が期待出来る。

つまり、数枚のキーカードに頼った高速デッキの、そのキーカードを抑え込む事により、潜在的なアドバンテージとテンポを奪い、自分と同水準かそれ以下の速度まで引き摺り下ろす事が出来る。
相手が減速する事により、除去やカウンターは、擬似的に「(土地セットやマナ加速出来る時間が増えるので)相対的に加速した」「(時間が得られる分余計にカードが引けるので)相対的にドロー力が上がった」のと同様の効果を期待出来る。
これこそが、除去やカウンターの利点なのである。

では、早速だがその除去の判断基準について解説していきたい。



・軽さ
除去は、水準以下のマナ加速やサーチ・ドローの代わりに入るのである。それが水準以下の重さでは本末転倒だ。「全力でマナを使って除去を撃って相手を1ターン減速」とやっていては、事実上自分も1ターン勝利へ向かう動きが止まっているのでほとんど意味がない。(厳密には、土地セットやドローステップのドローがあるので完全に無意味という訳ではない)
他のマナ加速・ドロー・サーチの合間に相手を減速させる事が出来るのが望ましい。

1対1交換するものなら、2マナ以下、重い代わりに高性能なものを選ぶにしても3マナ以下が望ましい。
また、アドバンテージを失う代替コストを持つものを含め、0マナでキャスト出来るものは非常に望ましい。アドバンテージ面では損があるが、自分の展開を一切阻害しないため、大きくテンポを取る事が出来る。

1対多交換するものなら(当然軽ければ軽いに越した事はないのだが)それより多少重くても投入を検討してもいいだろう。
ただし、それは「その重いカードをキャストできる状況になるまで軽量の除去で繋いでいく事が出来る」「それでも手札で滞る状況が多いので枚数は1~2枚程度に控える」という条件を満たした場合のみである。



・キャスト出来るタイミング
除去を撃つのに最適な、決定的なタイミングは、基本的に対戦相手のターンに訪れる。多くのカードタイプが自分のターンにしかキャスト出来ないので、ある意味それは自明と言える。
また、多人数戦であるEDHでは、危険なカードを他の対戦相手が除去してくれる可能性もある。

なので、最適なタイミングで除去を撃てるように、また、他の対戦相手が除去を撃ってくれる状況で無駄にカードを使わずに済むように、除去カードはインスタントのものが望ましい。
特に1対1交換するような除去はアドバンテージが取りにくく、タイミングが重要なのでインスタントで固める事が望まれる。



・範囲
キャスト出来るマナが十分に余っている事を前提として、クリーチャーしか除去出来ない《殺害/Murder》よりも、エンチャントも破壊できる《屈辱/Mortify》の方が、当然ながら有効なタイミングは多い。
同じクリーチャー除去でも、《燻し/Smother》と《最後の喘ぎ/Last Gasp》と《破滅の刃/Doom Blade》ではそれぞれ有効な範囲が違う。

有効範囲が広い除去程便利なのは当然である。
しかし、除去カードの重さと有効範囲はトレードオフな事が多い。だが、一部デメリットを背負う代わりに軽さを確保してくれている除去もある。
デメリットの重さを見極め、実質的に「得られるメリット>背負うデメリット」となるカードを探し、可能な限り有効範囲が広いカードを選んでいきたい。
分かりやすい所だと、バウンススペルが代表的な所だろうか。(相手の手札に戻すだけなので再キャスト出来るが、範囲が広く軽い)





◎置物妨害
その性質上、基本的にはパーマネントであり、また、ソーサリータイミングでキャストする事が多くなる。
その効果は、対戦相手のある種類のカードの使用を禁じたり、機能不全い陥らせたりするものである。

つまり置物妨害とは、カードを先出しする事によって除去の前払いをしているようなものなので、テンポ面では必ず損をする事になる。
そのため、通常の除去以上に「強烈に複数枚のカードを封じ込めて潜在的アドバンテージを大きく得られる事」「ターゲットとなるカードを相手にキャストされる前に先出し出来る軽さ」が重要となっている。

特に前者が重要で、「対処したいデッキは何で、そのデッキは何を封じられると機能不全に陥るか」「それは複数の対戦相手に影響を与える事を期待出来るか」「自分が失うもの(カード1枚分のアドとテンポ、そのカード自体が自分に与える悪影響)に見合っている効果か」という点をしっかり考える必要がある。
範囲がピンポイントゆえに、「そのカードが影響しないゲームが発生し、完全な無駄牌になるリスクを背負っている」という事も覚悟しなければならない。

さらには、多人数戦である関係上、ある種のカードを封じるにとどまる置物妨害は、あくまで減速効果しか期待出来ず、それだけでロックしきる事は難しいという事を覚えておく必要がある。
その性質を理解するのにはレガシーのデスタクが分かりやすい。置物妨害で相手を遅らせている内に、細いクロック(EDHで言うなら遅い勝ち手段)を間に合わせて勝利出来て初めて、置物妨害が意味を成す。

それゆえに、置物妨害の選択は難しい。
はっきりとした仮想敵の姿が見えていないうちは、「みんなこれ強いって言って使ってるしこの置物を入れておこう」というのは控え、インスタント除去を厚くした方が無難だろう。


・代表的な置物妨害
どうしてもカード毎に「~出来ない」の範囲が限定される種類のものなので、する側もされる側もある程度は覚えておいた方がいいと思い、ある程度は見そうだなーと個人的に思う所を簡単に羅列。

《冬の宝珠/Winter Orb》《無のロッド/Null Rod》《呪われたトーテム像/Cursed Totem》
マナロックをかける類。《呪われたトーテム像/Cursed Totem》は一部クリーチャーコンボも封じてくる。

《月の大魔術師/Magus of the Moon》《血染めの月/Blood Moon》《汚染/Contamination》
色マナにロックをかける類。《汚染/Contamination》は上手く使うのに一工夫必要。

《エイヴンの思考検閲者/Aven Mindcensor》《締め付け/Stranglehold》
サーチにロックをかける類。《締め付け/Stranglehold》は追加ターン封じも兼ねる。

《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
墓地にロックをかける。《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》は使い切りの起動型能力だが、置いておく事で事実上牽制できるので実質置物妨害になる。

《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress》
青いクリーチャーにロックをかける類。コイツ自身が青いクリーチャーなので同型だと先出し有利。

《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg》《翻弄する魔道士/Meddling Mage》
呪文キャストにロックをかける類。最近あんまり見てない気がする。


他にも色々あるけれど書いてくとキリないのでこの辺りで。



☆次回予告
今回はこんな所で。
次回は「その他のカード」について書いていこうと思う。短そう。
これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です。
第6回は、「デッキのドローカード」剪定の具体例。


目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
4:デッキのマナ・ベース http://kakkokari.diarynote.jp/201407172044061306/
5:デッキのサーチカード http://kakkokari.diarynote.jp/201407300109416387/
5.5:サーチカード具体例 http://kakkokari.diarynote.jp/201407301504143624/





☆ドローカードの価値

◎カードを引く
手札の数は選択肢の数。
手札が2枚になれば、どんなに質の高い手札であろうとも1枚の手札では絶対に出来ない事も出来るようになる。(例:勝ち手段を叩きつけつつそれをカウンターで守る)
そうしてそれは対戦相手の状況に影響されないし、対戦相手の人数が増えても効果が減少する事もない。
そんな単純さゆえに、多人数戦であり、他人への干渉でアドバンテージを得にくいEDHにおいて、手札を増やす事が、対戦相手に対して有利を作るもっとも簡単な方法のひとつとなっている。

そうしてこのアドバンテージの積み重ねが、自分の勝ち筋に多少の妨害では崩れない太さと、他人の勝ち筋を潰すリソースを与えてくれる。



◎手札の質を上げる
例えばカードを10枚引いても、基本土地ばかり10枚引いていては盤面に大きな影響を与える事は難しい。
カードを引くデッキが同じである以上、カードを1枚引いた時に必要なカードを引ける確率はいつも同じだが、ライブラリートップを入れ替えたり、引いた無駄牌を別のカードに変換する事でその手札の質を上げる事は出来る。
例えば、前者であれば《思案/Ponder》だったり、後者であれば《信仰無き物あさり/Faithless Looting》だったり。

こういった効果の究極形が「好きなカードを引ける」「好きなカードと手札を交換する」サーチカードである。分かりやすい例だと《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》の効果がそれそのものである。
つまり、こういったライブラリー操作・手札入れ替えカードは、非常に効果の穏やかなサーチカードのようなものである。

EDHはハイランダーゆえに十分なサーチを入れられない。こういった手札入れ替えカードは、それをある程度補う効果を期待出来るのである。




これらの理由から、「手札を増やす」「手札に質を上げる」ドローカードは重要だ。デッキのガソリンとなり活発な動きを可能とし、デッキの潤滑油となり動きをスムーズにする。
そしてこれらは対戦相手の状況に影響を受けにくいので、ほとんどいつでも安定して有効な仕事をしてくれる。
それゆえに、ドローカードはデッキには十分な枚数を投入しておきたい。




☆求められるドローの質

◎手札引き増し
単純なスペルなら「総マナコスト-1=ドロー枚数」が最低限の期待値。
少ないデメリットでそれ以上のドローを実現する事が期待出来たり、手札交換効果付きなどの有効なメリットを持っているものが『強いドロー』と呼ばれるカードとなる。



◎ライブラリー操作・手札交換
ライブラリー操作は、その後のドローを多少強力にしても、手札が減っていては総合的に見た手札の点数が上がらないために「手札を減らさない」事が最低条件。
手札交換の方は、手札の低い点数のカードを入れ替えるという効果であるがゆえに、構造的に手札が減っても手札の総合点を下げずに済む事が可能なので多少条件が緩く、「手札が1枚減る」くらいが最低条件となるだろう。(もちろん手札が減らないに越した事はないが)



◎総合
・軽さ
当然ながら軽ければ軽いほど良い。
ドローを撃って手札を増やしても、マナを使い切ってしまって使えるのが次のターンとなってはスムーズな動きが出来なくなる。
一般的には、引き増しの場合は4マナくらいから、手札操作系は3マナくらいからが重めのドロー扱いとなるだろう。


・タイミング
ドロースペルがインスタントなら、ギリギリまで構える事によって隙を最低限にする事が出来る。さらに《吸血の教示者/Vampiric Tutor》のようなチューターと組み合わせる事により、必要な時に必要なカードを手に入れる事を可能にする。
特に妨害要素が強めのデッキの場合、インスタントのドローの価値は上がる。


・継続性
継続的なドローは、一時的なドローと違って「引き過ぎてしまったのでクリンナップステップに手札を捨てなければならない」というアド損状況を極端におこしにくい。安定していつでも潤沢な手札がある、という状況を作り出してくれるのである。
また、特に置物系のドローが持つ性質として、初期投資が必要な代わり、それ以降は非常に軽い負担でドローを可能とする、というものがある。
つまり初期投資(とカードによってはターン経過)さえクリアすれば、1番目に書いていた条件「軽さ」を非常に高いレベルで実現できるドローとなるのである。



カード引き増し、手札・ライブラリー操作に関する話はこんな所で。
デッキにドローカードを入れる際の参考になれば。



☆次回予告
次回は6.5回としてドローカードの具体例を挙げていこうかと思う。



これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です。
第5.5回は、「デッキのサーチカード」剪定の具体例。


目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
4:デッキのマナ・ベース http://kakkokari.diarynote.jp/201407172044061306/
5:デッキのサーチカード http://kakkokari.diarynote.jp/201407300109416387/






☆有用なサーチカードとは

◎サーチ先
有力な勝ち筋のパーツとして投入される比率が多いのは、クリーチャーなので、クリーチャーサーチはパーツサーチとしての価値を高めに見ていいだろう。
次点で評価が高いのはアーティファクト。《ブライトハースの指輪/Rings of Brighthearth》絡みのコンボは、少々重いがそこそこの枚数とマナコスト、かつどの色でも投入出来る勝ち筋である。

また、全体を見ても早い部類に入るコンボは《生き埋め/Buried Alive》《再活性/Reanimate》《むかつき/Ad Nauseam》などのスペルを含むものが多く、さらにはドローや他種類のサーチ、妨害など他の用途に変換しやすいものが多いという特長がある。

そして最も需要が高いのは、当然というべきだがサーチに制限のないカード。
上で書いたクリーチャー・アーティファクトサーチとスペルサーチのいいトコ取りであるばかりではなく、他の種類のパーツや妨害カードもサーチ出来る、サーチしたカードを見せずに済むものが多い、など多くの利点を持っている。

総合的に見ると、一般的な使い勝手としては
万能>スペル>クリーチャー>アーティファクト>その他
くらいの順位だろうか?



◎サーチ後の状況とコストの重さ
・ライブラリートップに置く
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》をはじめとするカード群。
マナコストが軽めでインスタントも多いため、非常に扱いやすい。手札に入る訳ではないのでアドバンテージも失うし、1ドローを挟まなければサーチしたカードを使えない欠点はあるが、十分強くデッキの主力に出来る。
1~2マナ程度が望ましい。3マナ以下が許容範囲となるだろう。


・手札に入れる
《Demonic Tutor》など。
上のものに比べればより強力であるが、より重い。アドバンテージを失わない、サーチしたその場で使える、といった利点はあるが、重さゆえに小回りが利かない。
「サーチのマナコスト+サーチしたカードのマナコスト」がかかるせいで、せっかく手札に入ってくるのにサーチしたカードをその場で使えない状況になってしまう事も。それゆえマナコストが低い事への価値が、ライブラリートップに置く者より高くなっている。
3マナ以下が望ましい。


・戦場に出す
《戦争門/Wargate》など。
上の手札に加えるサーチの欠点である、「サーチ+キャストでマナがかかり過ぎてその場で戦場に出せない」という事が起こり得ない。……というのはマナコストを見ないと言えない話。こういう類のカードは基本的に非常に重いので、ある意味本末転倒なマナコストになっている。
逆に言うと「分割払いできない手札に入る系サーチ」とも言える。
また、当然ながら性質上スペルはサーチ出来ない。
分割払いできないゆえ、手札に入る系よりさらにマナコストの低さが大切になる。「サーチ先のマナコスト+2マナ」程度が望ましい。許容範囲は「サーチ先のマナコスト+2マナ」だろう。





☆具体例
上の話を下敷きにして、各種サーチカードでも使いやすいものを挙げていく。(ただし、デッキによっては有効でも採用率の低そうなもの、現時点でショップ価格5000円を超えているカードは除く)
とりあえずざかざか書いていくけど、見落としとかあったらごめんね。


・エンチャント
《悟りの教示者/Enlightened Tutor》《牧歌的な教示者/Idyllic Tutor》《真の木立ち/Sterling Grove》《アカデミーの学長/Academy Rector》

・アーティファクト
《加工/Fabricate》《Transmute Artifact》《作り直し/Reshape》《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
※ 制限あり《粗石の魔道士/Trinket Mage》《鋼打ちの贈り物/Steelshaper’s Gift》《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》

・クリーチャー
《俗世の教示者/Worldly Tutor》《森の教示者/Sylvan Tutor》《エラダムリーの呼び声/Eladamri’s Call》《召喚の調べ/Chord of Calling》《歯と爪/Tooth and Nail》
※ 制限あり《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》《自然の秩序/Natural Order》《激情の共感者/Fierce Empath》《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》《ゴブリンの女看守/Goblin Matron》《モグ捕り人/Moggcatcher》

・スペル
《神秘の教示者/Mystical Tutor》《親身の教示者/Personal Tutor》

・土地
《輪作/Crop Rotation》《森の占術/Sylvan Scrying》《探検の地図/Expedition Map》

・墓地
《納墓/Entomb》
※ 制限あり《生き埋め/Buried Alive》《直観/Intuition》

・万能
《吸血の教示者/Vampiric Tutor》《Demonic Tutor》《残酷な教示者/Cruel Tutor》《Lim-Dul’s Vault》《ギャンブル/Gamble》
※ 制限あり《戦争門/Wargate》《トレイリア西部/Tolaria West》などの変成カード


比較的工夫しなくとも使いやすい部類に限定するなら、この辺りになるだろうか。参考にして欲しい。



☆次回予告
次回は「デッキのドローカード」についての予定。
サーチ同様、そこまで長くはならないと思う。

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