これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です。
第9回は、「デッキバランス」について。


目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
4:デッキのマナ・ベース http://kakkokari.diarynote.jp/201407172044061306/
5:デッキのサーチカード http://kakkokari.diarynote.jp/201407300109416387/
5.5:サーチカード具体例 http://kakkokari.diarynote.jp/201407301504143624/
6:デッキのドローカード http://kakkokari.diarynote.jp/201408052246596657/
7:除去、妨害 http://kakkokari.diarynote.jp/201408211256548253/
8:その他のカード http://kakkokari.diarynote.jp/201409031752566977/



という訳でようやく最終回。
これまで各カードの役割と選定基準を中心に書いてきたので、最後はそれらをどれくらいの枚数、どう組み合わせるかのお話で。



☆マナベース
・土地
EDHはカードプールが広く、100枚ハイランダーとは言え1マナ以下の優秀な加速カードをそれなりの枚数投入する事が出来る。
土地以外のマナベースによる加速力で言えば、《金属モックス/Chrome Mox》や《炎の儀式/Rite of Flame》などが禁止されているモダン以上は確実にあると言える。
また、ドローに関してもレガシー以下準拠の強さはある上、ゲームの性質上ほとんどのデッキがドローカードにある程度は頼る構成になるのでカードの引き増しも期待しやすい。
おまけにマリガンが部分式パリマリガンであるため、初手の土地事故はかなり発生しにくい。多少無茶なマナバランスでも、初手に限ればある程度動く初手に持って行く事は可能なのである。

そのため、加速要素を適切に入れていれば土地の比率はスタンダードやモダン辺り(通常40%ほど)と比べれば少なめでも十分動く。30~35%もあれば十分だろう。
構築時は31、2枚くらいから始めて、3ターン目まで安定して土地が置けなかったり、土地が手札で滞りがちになると調整しやすいかも知れない。


・土地以外のマナソース
カードプールの広さのおかげで軽量、重量双方ともに優秀な加速が多く、また、ハイランダーの関係上100枚すべてを軽量スペルでまとめるのは難しいために重いパワーカードも使われがちなのがEDHという環境。
そのため、加速カードの重要性は非常に高い。
《金粉の水蓮/Gilded Lotus》のような重い加速カードは、重量級カードのキャストを助ける加速になるだけではなく、実質的にアドになる(例えば例に挙げた金粉の水連だとカード1枚で土地3枚分)のだが、それ自身がキャストにマナ加速の助けが欲しくなる重量級であるため、こちらを中心にすえるのは事故を招く。
基本的に、2マナ以下の加速(可能ならば1マナ以下を重視)を中心にデッキに投入する事を勧める。

枚数的には、マリガン含みで初手に1~2枚を期待出来る15~20枚くらいが適正だろう。


・全体のバランス
マナベースは大体デッキの半分くらい。多めに見えるが、重い強力カードを早めに叩きつけられるようになる事が肝要なゲームであるし、《Wheel of Fortune》のような法外な手札補充手段もあるし、なによりジェネラルという余ったマナの吐き出し口もある。
他のレギュレーションに比べれば、はるかにマナフラッドは起こりにくいと言えるだろう。



☆勝ち筋
揃えばそのまま勝ちであるコンボ(ビートダウンデッキの《憎悪/Hatred》《生体融合外骨格/Grafted Exoskeleton》なども含む)は、逆に言うと単体だと仕事が微妙になる事が多い。
「どれかのコンボが揃えば勝ちだから」と山ほどコンボを投入しても戦場でニートしてたり手札で滞っていたりするゴミの山になる。

これらの勝ち筋は、種類を2~3種類程度に絞り、総枚数も多くとも10枚以下にまとめたい。
また、単体で仕事をするものを中心にし、可能な限り負担を減らしたい。




☆ドローカード
デッキの安定性を高め、息切れを防ぐのがドローカードの仕事。
マナベースの項で書いた通り、マナ加速要素がデッキの約半分を占めるため、EDHでは高速で手札をダンプしてしまう動きが多くなりがちだ。
ドローカードはその息切れを防ぐ必要があるため、投入枚数としては「手札が尽きかけた頃に1枚引く」くらいのバランスが望ましい。少ないと息切れするし、多過ぎると手札でドローが滞る事になる。

投入枚数は、デッキに入っているドローカードのドロー可能枚数によっても変わる。例えばデッキに入っているドローが全部《予言/Divination》だったら引いてもすぐに手札がなくなるので次の予言が欲しくなるが、全部《連絡/Tidings》だったら単純計算で1回撃てば予言の倍のターン次のドローは撃たなくてもよくなる。
もちろん予言は軽いが連絡は重い。連絡を打てば、そのターンに他のアクションはやりにくいだろう。この辺りのマナバランスも考慮したい。

実際にデッキに入る枚数としては、高効率ドローの種類数が色によって変わるため広くはなるが、3マナ以下の軽量ドローが5~13枚程度、4マナ以上の重量級ドローが3~8枚程度になるだろうか?
合計で10~15枚程度は入れたい。




☆サーチカード
ハイランダーなのでサーチは非常に強い。この種類のカードは安定性、爆発力双方に貢献するため本当に重要。
だが、こればっかりは色による影響が大きい。ほとんどまともなサーチのない赤と、万能サーチが大量にある黒では現実的に投入可能な枚数に大きな差が出てしまう。

可能なら、という程度の基準として、5~10枚程度をサーチの枠として作りたい。



☆除去・妨害など
自分より早いデッキ相手に生き延びる、自分の勝ち筋を守る、相手の勝ち筋を先出しで潰す、と攻防両面で重要な除去・妨害要素。
しかし多過ぎても自分の勝ち筋には直接的に貢献しないため、バランスが肝要である。

コンボを止めたり自分のパーツを守ったりに使えるインスタント除去やカウンターは5~10枚程度、先出しで安全を確保したり他人の動きを阻害する妨害系は3~5枚程度入れるのが平均的だろう。

全体としては、10枚前後入れるのが邪魔にもなり過ぎず危険を前に棒立ちになる事も少なくなるのでいいバランスだろう。




☆その他のカード
・ジェネラル依存カード
ジェネラル依存・デッキ依存が大きいものは、デッキによって変わるが、0~8枚くらいが適正だろう。
ジェネラル依存が強いカードを入れ過ぎると、ジェネラルに対処されるだけで無駄牌が大量発生してしまうため、4枚以上にする場合には、その数だけ「単体でも十分な仕事を期待出来る」カードを投入するようにしたい。


・柔軟性カード
明確な役割がある訳ではないが、色んなタイミングで強い「柔軟性カード」は、良いものがあるなら2、3枚入れるとデッキが粘り強くなる。
ただ、こちらも入れ過ぎるとデッキの方向性、ひいては勝ち筋へ向かう動きが散漫になる。
ジェネラル依存カードと違い、これ自体は非常に強いのでデメリットが分かりにくいので特に注意が必要だ。




☆まとめ
上に書いてきた基準はあくまで「平均的なデッキ」を想定している。
ジェネラルやコンセプトが極端なデッキはこれらから大きく外れる事になるので、そういったデッキを調整する場合は独自に詰めていってデッキを育てていく必要がある。

とは言え、適度に妨害しながらパーマネントを展開し、ドローし、勝ち筋を叩きつけるような「平均的なデッキ」なら、これらのバランスで「頻繁に土地事故を起こす」「すぐにジリ貧になる」などの大きな間違いは起こらないと思う。




とりあえずこんな所で全編終了。
酷い長文でしたが、くじけず最後まで読んでくれた方には感謝の意を送りたいと思います。

あとは最後におまけを1つ2つ(忙しい人向けの箇条書き・1枚MAX5000円以下構築具体例、あたり)書くかもしれないので、その時はよろしくw


コメント

hiro
2014年9月20日10:41

おつかれさまです。
EDHの構築でまとまった記事が無いので非常に助ってます。

構築例、期待してます!EDHらしいユニークなものだと嬉しいです!

かっこかり
2014年9月20日19:44

>hiroさん
ありがとうございます。コメント励みになります。
ここからは書くにしても本当におまけなので、ゆっくり書いていこうと思います。のんびりお待ちいただけると嬉しいです。
出来る限りご期待に沿えるよう頑張りますw

testament
2014年9月22日18:37

お疲れ様です。周りの人にEDHを勧めるのに、とても助かりそうな記事です!

よくEDHを知っている側が、逆に資産を制限してどこまでのデッキが作れるかというのはかなり挑戦しがいのありそうなテーマですね。期待しています!

かっこかり
2014年9月22日19:26

>testamentさん
ありがとうございます。
期待してもらえて嬉しいです。他のレギュレーションであまり使われない安い所で悪い勝ち方出来そうなの、となるので結構身も蓋もないデッキになりそうですがw

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