最近EDH人口が増えていると聞いて 4
2014年7月17日 EDH環境考察 コメント (4)これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価(カード1枚が5桁いかない程度)なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です。
第4回は、「デッキのマナベース」について。
目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
前回までで、ジェネラルと、デッキが目指すべき勝ち筋が決まった。
という訳で、今回から実際にデッキ構築を行う際のカード選択について書いていく事にする。
予定では「サーチ・ドロー・マナ加速」についてであったが、全部まとめるとまた異常に長い記事になってしまうので、数回に分割する。
まずはデッキの背骨である「マナベース・マナ加速」について。
☆土地
◎枚数
土地の枚数は30~35枚程度がオススメ。
良く見る「ガチデッキ」に比べると2~3枚程度多い水準である。
これは、価格の関係で0マナの強力な加速である《Mana Crypt》を投入できない事が理由で、「絶対に《Mana Crypt》を引けない」だけではなく、「サーチで《Mana Crypt》を持ってくる選択肢が存在しない」ので、毎ターンの土地セットでしっかり加速していく事の重要性が高いためだ。
《Mana Crypt》が手に入ったのなら、28~33枚程度まで土地を減らしてもマナスクリューの頻度はそれほど変わらないだろう。
◎カード選択
平均で見ても4~5ターン目程度で勝ち筋をめぐる大きな攻防戦が始まるEDH。
1ターンの価値は非常に大きいので、1ターンの遅れを持つタップインランドは出来る限り排除したい。沢山の色を出せるタップインよりも、色が少なくてもアンタップインの土地を優先する事。
同じような理由で、2マナを一度に出せる土地は実質1ターン縮めただけの効果があるので強い。使いにくい所が揃うが、《古えの墳墓/Ancient Tomb》はどの色でもかなり使い勝手がよいのでオススメ。
また、特に3色以上の場合、基本土地の価値は高めに見ておくといい。
強力な妨害として良く見かける《血染めの月/Blood Moon》や《基本に帰れ/Back to Basics》で機能不全になる事を防げるのは意外と大きい。
単色でも、特殊地形を増やし過ぎるとこれらの妨害に引っかかる可能性があるので、色に余裕があるからと色々な能力を持つ特殊地形を大量投入する事はお勧めできない。
◎具体例
3色デッキだから、色の合う所でフェッチとデュアルランドとショックランドを全部詰めて……ってやって枠の半分が埋まるのは予算に余裕がある場合の話。
これまたコンセプトの関係で、デュアルランド・フェッチランドの一部高額なカードが投入できないため、一般のガチデッキとは少々異なってくる。
・フェッチランド、ショックランド
青がらみでなければ5000円前後で購入出来るのでそれらを投入。ショックランドは2000円程度なのでフル投入。フォーマット的に、デュアランと比べた時の2ライフがレガシーなどと比べて非常に軽いのはありがたい。
フェッチランドは、どの色でも使える優秀ドローカード《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》《巻物棚/Scroll Rack》と相性がいいばかりではなく、ショックランドとの組み合わせにより、単体で使っても「最初の1回は確実に望む色の出せる土地」的に扱える。
ただ、価格的にデュアルランドがまともに使えないのでフェッチとショックの引きによっては「その色の2枚目が欲しい」が通らない場合があるのは注意。
上記の通り、独楽や巻物棚、一部のドロースペルと相性がいいので、単色でも可能ならばフェッチランドの投入をお勧めする。どちらにしろ最大4枚しか入れられないので、特殊地形対策の影響も小さい。
・5色土地
2色土地よりもデメリットの大きい5色土地。しかしアンタップインならば、例え2色デッキでも下手なタップイン2色土地よりも優秀だ。
《統率の塔/Command Tower》《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》《真鍮の都/City of Brass》《マナの合流点/Mana Confluence》《反射池/Reflecting Pool》辺りは取りあえず突っ込んでおくだけでも色安定においてデメリット以上のメリットを提供してくれるだろう。
もしもダブルシンボル多めの3色デッキなど、色安定が不安なデッキなら、それに加えて《宝石鉱山/Gemstone Mine》《色あせた城塞/Tarnished Citadel》などの選択肢もある。
他にも条件付きの多色土地(《空僻地/Glimmervoid》《風変わりな果樹園/Exotic Orchard》など)もあるので、デッキ相性などを見ながら検討したい。
・2色土地
ダメージランド、M10ランド、ハイブリッドランドなどが、どの色組み合わせにも存在する代表的な所。
また、フィルターランド、ミラ傷ランドは友好色にしか存在しないが中々いい仕事をする。特にフィルターランドは無色を有色に変換出来る点で非常に優秀である。
あとは未来予知の独自土地(《雨雲の迷路/Nimbus Maze》など)、トーメンとの”汚れた”ランドなど、便利な土地が色ごとにいくつかある。それらも可能ならば投入したい。
・多マナ土地
1枚の土地で複数マナを出す事は、テンポ面で有利を取ると共に実質的なアドバンテージにもつながるので、デッキコンセプトに合うのなら、是非とも投入したい。
癖のない《古えの墳墓/Ancient Tomb》、確実性に欠けテンポ面でしか有利は取れないが嵌ると序盤戦が大きく有利になる《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》あたりは何も考えずに投入してもそれなりの仕事をする。
安定したマナ提供に条件がある《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》《セラの聖域/Serra’s Sanctum》《裏切り者の都/City of Traitors》、タップインという大きなリスクを背負ったマスクスの枯渇ランドなども、デッキ相性によっては十分な強さを発揮してくれるだろう。
・基本土地
カード選択の項でも書いたが、基本土地はそれだけで色々な特典がある。
アンタップインで有色マナを発生させる事が出来、基本土地参照のメリットを持つカードが多く存在し、特殊地形を狙い撃ちにするカードの悪影響を躱す事が出来る、とメリット揃いだ。
欠点は「1色のマナしか出せないので多色だと事故の可能性がある」という事くらい。2色以下なら基本地形を中心にデッキを組んだ方がいいくらい。
無茶な色拘束のカードを投入しないなら、単色なら8~9割程、2色なら半分程を基本土地にしても十分デッキは回る。
・無色土地
無色土地は、基本的に「無色しか生み出せない代わり、有用な特殊能力を持つ」土地だ。
しかし上で説明した通り、基本土地が強いので色に余裕があるからと言って便利そうなものを次々突っ込んでいってもマイナス面の方が大きい。
デッキが明確に苦手とするカードに対抗する目的がある・可能な限り枠を潰さずにデッキに増やしたい要素がある場合に限り、0~3枚程度に抑えるのが無難だろう。
《家路/Homeward Path》《山賊の頭の間/Hall of the Bandit Lord》《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》《露天鉱床/Strip Mine》《高級市場/High Market》《さびれた寺院/Deserted Temple》辺りが代表例だろうか。
他の土地と同じくタップインは大きなデメリットなので、《山賊の頭の間/Hall of the Bandit Lord》などを投入する際にはその辺も鑑みたい。
(とは言え頭の間が入るデッキはジェネラルに速攻を付与したいものがほとんどで、そういうデッキの速攻にはタップインによる1ターンの遅れ以上の価値があるのだが)
☆マナ加速
◎枚数
土地以外のマナ加速要素は、(当然デッキ内の他のカードの重さによって変わるが)15~20枚程度がオススメ。
これくらいあれば、序盤戦である1~3ターン目に高確率で手札に入ってくるはず。序盤の加速は特に重要なので、これくらいは欲しい。
◎カード選択
・アーティファクト
ゲームの佳境が4~6ターン目くらいにある点から、序盤の加速を重要視したいので、マナ加速のほとんどは2マナ以下の物にするのが望ましい。
また、召喚酔いに影響されないアーティファクトの場合、アンタップインである事が望ましい。アンタップインなら、キャストしたターンに使えるマナの減少量を抑える事が出来る。(例:土地2枚タップで《精神石/Mind Stone》キャストなら1マナ使えるのでマイナス1マナ。《星のコンパス/Star Compass》だとマナが使えないのでマイナス2マナ)
3マナ以上の重めの加速は、そもそも枚数を控えめにすべきである。入れるにしても、複数マナを生みだして実質アドカードとなったり、他の用途も期待出来たり、コンボパーツだったりといった、プラスアルファの要素が欲しい。
・クリーチャー
召喚酔いに影響されるクリーチャーの場合はキャスティングコスト分がそのままそのターンのテンポ損になるので、アーティファクトより基準を厳しく1マナ以下を中心に。
2マナ以上に関しては、アーティファクトの3マナ以上と同じように評価基準を設けたい。
・エンチャント
《繁茂/Wild Growth》のように土地に付けるエンチャントは、対象によっては実質キャストしたターンにマナを生み出す事が出来るのでアーティファクトと同等程度に評価できる。2マナ以下は優秀なので積極的に採用してよいだろう。
デッキによっては土地アンタップのシナジーが入り得る事があり、その場合にはアーティファクトを超える評価となる。
・マナランプ
《不屈の自然/Rampant Growth》のようなカード。
これもまたアーティファクトと同様の評価で、2マナ以下、アンタップインを高く見る。
3マナ以上も同様に、採用する場合にはアド源などとなる事を望まれる。
・一時的なマナ加速
《暗黒の儀式/Dark Ritual》のような手札からの使いきりとなるカード。
使いきりのインスタント・ソーサリーであるため、テンポは得られるが必然的にアドバンテージを失うし、先置きも出来ない。
特殊な部類のカードであるが、テンポが重要なEDHにおいては頼りがいのあるタイミングも少なくない。
ただし、書いている通り、実際にマナを使うタイミングまで先置き出来ず、次ターン以降もマナが増える訳ではないのでその後の動きも安定しない。それゆえデッキのマナ加速の中心に据える事は出来ないので注意。
◎具体例
替えの利かない優秀カードは《Mana Crypt》くらいなので、お財布に物を言わせたデッキ相手にも比較的同等に戦える部類。
しかしの《Mana Crypt》1枚の差がかなり大きい。通常よりもより強く「軽いマナ加速」を意識したカードを投入した方がよいだろう。
また、アーティファクト以外のマナ加速は基本緑固有の物。緑を含まない場合はアーティファクトに頼る事になる。
ここではより幅広いデッキに転用できるよう、アーティファクトを中心に提示する。
緑系(および一時的加速を持つ赤・黒系)は参考程度に各種数枚提示するので、デッキタイプに合わせる形で必要に応じた加速を加えるとよいだろう。
・アーティファクト
0マナ:《水蓮の花びら/Lotus Petal》《Jeweled Amulet》各種モックス
1マナ:《太陽の指輪/Sol Ring》《魔力の櫃/Mana Vault》《通電式キー/Voltaic Key》
2マナ:各種タリスマン、各種印鑑、《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》《友なる石/Fellwar Stone》《精神石/Mind Stone》《虹色のレンズ/Prismatic Lens》《厳かなモノリス/Grim Monolith》
3マナ以上:《彫り込み鋼/Sculpting Steel》《スランの発電機/Thran Dynamo》《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
主要な所はこのくらいか。これだけで、最低基準となる2マナ以下の加速15枚を賄える。
《通電式キー/Voltaic Key》《彫り込み鋼/Sculpting Steel》は他のカードと組み合わせる形で実質マナ加速に変えられる。
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》は実質2マナでの運用が中心となるカード。
3マナ以上は他にも色々あるのでデッキタイプに合わせて選択してください。
・その他(緑系)
1マナ:《極楽鳥/Birds of Paradise》《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》《東屋のエルフ/Arbor Elf》《明日への探索/Search for Tomorrow》《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》《繁茂/Wild Growth》
2マナ:《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》《花を手入れする者/Bloom Tender》《自然の知識/Nature’s Lore》《肥沃な大地/Fertile Ground》
3マナ以上:《耕作/Cultivate》《はびこり/Overgrowth》《夜明けの反射/Dawn’s Reflection》
《明日への探索/Search for Tomorrow》は待機により1マナでマナ加速を行える。
《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》は《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》をX=0でサーチする事により1マナの加速として扱える。
・その他(赤黒系)
《暗黒の儀式/Dark Ritual》《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》《汚物の雨/Rain of Filth》
《煮えたぎる歌/Seething Song》《炎の儀式/Rite of Flame》《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》
強力だが、通常のマナ加速や土地を削りすぎるとデッキが機能不全に陥る事がある。ご利用は計画的に。
☆次回予告
これでデッキのマナベースに関する説明はおしまい。
自分の提示した基準を基に土地とマナ加速をデッキに投入すると、大体50枚くらいになる。
これはデッキの約半分に届く数だが、重いカードもある程度使わざるを得ないEDHでスムーズにデッキを動かすためには、これくらい強固なマナベースが欲しい。
レガシーのように、0~2マナのカードでデッキ内のスペルの7割を埋める事は不可能なのだ。
次回は「サーチカード」について書いていく予定。
第4回は、「デッキのマナベース」について。
目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築1 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134
3-2:ジェネラルから始める構築2 http://kakkokari.diarynote.jp/201407080715182673/
前回までで、ジェネラルと、デッキが目指すべき勝ち筋が決まった。
という訳で、今回から実際にデッキ構築を行う際のカード選択について書いていく事にする。
予定では「サーチ・ドロー・マナ加速」についてであったが、全部まとめるとまた異常に長い記事になってしまうので、数回に分割する。
まずはデッキの背骨である「マナベース・マナ加速」について。
☆土地
◎枚数
土地の枚数は30~35枚程度がオススメ。
良く見る「ガチデッキ」に比べると2~3枚程度多い水準である。
これは、価格の関係で0マナの強力な加速である《Mana Crypt》を投入できない事が理由で、「絶対に《Mana Crypt》を引けない」だけではなく、「サーチで《Mana Crypt》を持ってくる選択肢が存在しない」ので、毎ターンの土地セットでしっかり加速していく事の重要性が高いためだ。
《Mana Crypt》が手に入ったのなら、28~33枚程度まで土地を減らしてもマナスクリューの頻度はそれほど変わらないだろう。
◎カード選択
平均で見ても4~5ターン目程度で勝ち筋をめぐる大きな攻防戦が始まるEDH。
1ターンの価値は非常に大きいので、1ターンの遅れを持つタップインランドは出来る限り排除したい。沢山の色を出せるタップインよりも、色が少なくてもアンタップインの土地を優先する事。
同じような理由で、2マナを一度に出せる土地は実質1ターン縮めただけの効果があるので強い。使いにくい所が揃うが、《古えの墳墓/Ancient Tomb》はどの色でもかなり使い勝手がよいのでオススメ。
また、特に3色以上の場合、基本土地の価値は高めに見ておくといい。
強力な妨害として良く見かける《血染めの月/Blood Moon》や《基本に帰れ/Back to Basics》で機能不全になる事を防げるのは意外と大きい。
単色でも、特殊地形を増やし過ぎるとこれらの妨害に引っかかる可能性があるので、色に余裕があるからと色々な能力を持つ特殊地形を大量投入する事はお勧めできない。
◎具体例
3色デッキだから、色の合う所でフェッチとデュアルランドとショックランドを全部詰めて……ってやって枠の半分が埋まるのは予算に余裕がある場合の話。
これまたコンセプトの関係で、デュアルランド・フェッチランドの一部高額なカードが投入できないため、一般のガチデッキとは少々異なってくる。
・フェッチランド、ショックランド
青がらみでなければ5000円前後で購入出来るのでそれらを投入。ショックランドは2000円程度なのでフル投入。フォーマット的に、デュアランと比べた時の2ライフがレガシーなどと比べて非常に軽いのはありがたい。
フェッチランドは、どの色でも使える優秀ドローカード《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》《巻物棚/Scroll Rack》と相性がいいばかりではなく、ショックランドとの組み合わせにより、単体で使っても「最初の1回は確実に望む色の出せる土地」的に扱える。
ただ、価格的にデュアルランドがまともに使えないのでフェッチとショックの引きによっては「その色の2枚目が欲しい」が通らない場合があるのは注意。
上記の通り、独楽や巻物棚、一部のドロースペルと相性がいいので、単色でも可能ならばフェッチランドの投入をお勧めする。どちらにしろ最大4枚しか入れられないので、特殊地形対策の影響も小さい。
・5色土地
2色土地よりもデメリットの大きい5色土地。しかしアンタップインならば、例え2色デッキでも下手なタップイン2色土地よりも優秀だ。
《統率の塔/Command Tower》《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》《真鍮の都/City of Brass》《マナの合流点/Mana Confluence》《反射池/Reflecting Pool》辺りは取りあえず突っ込んでおくだけでも色安定においてデメリット以上のメリットを提供してくれるだろう。
もしもダブルシンボル多めの3色デッキなど、色安定が不安なデッキなら、それに加えて《宝石鉱山/Gemstone Mine》《色あせた城塞/Tarnished Citadel》などの選択肢もある。
他にも条件付きの多色土地(《空僻地/Glimmervoid》《風変わりな果樹園/Exotic Orchard》など)もあるので、デッキ相性などを見ながら検討したい。
・2色土地
ダメージランド、M10ランド、ハイブリッドランドなどが、どの色組み合わせにも存在する代表的な所。
また、フィルターランド、ミラ傷ランドは友好色にしか存在しないが中々いい仕事をする。特にフィルターランドは無色を有色に変換出来る点で非常に優秀である。
あとは未来予知の独自土地(《雨雲の迷路/Nimbus Maze》など)、トーメンとの”汚れた”ランドなど、便利な土地が色ごとにいくつかある。それらも可能ならば投入したい。
・多マナ土地
1枚の土地で複数マナを出す事は、テンポ面で有利を取ると共に実質的なアドバンテージにもつながるので、デッキコンセプトに合うのなら、是非とも投入したい。
癖のない《古えの墳墓/Ancient Tomb》、確実性に欠けテンポ面でしか有利は取れないが嵌ると序盤戦が大きく有利になる《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》あたりは何も考えずに投入してもそれなりの仕事をする。
安定したマナ提供に条件がある《ファイレクシアの塔/Phyrexian Tower》《セラの聖域/Serra’s Sanctum》《裏切り者の都/City of Traitors》、タップインという大きなリスクを背負ったマスクスの枯渇ランドなども、デッキ相性によっては十分な強さを発揮してくれるだろう。
・基本土地
カード選択の項でも書いたが、基本土地はそれだけで色々な特典がある。
アンタップインで有色マナを発生させる事が出来、基本土地参照のメリットを持つカードが多く存在し、特殊地形を狙い撃ちにするカードの悪影響を躱す事が出来る、とメリット揃いだ。
欠点は「1色のマナしか出せないので多色だと事故の可能性がある」という事くらい。2色以下なら基本地形を中心にデッキを組んだ方がいいくらい。
無茶な色拘束のカードを投入しないなら、単色なら8~9割程、2色なら半分程を基本土地にしても十分デッキは回る。
・無色土地
無色土地は、基本的に「無色しか生み出せない代わり、有用な特殊能力を持つ」土地だ。
しかし上で説明した通り、基本土地が強いので色に余裕があるからと言って便利そうなものを次々突っ込んでいってもマイナス面の方が大きい。
デッキが明確に苦手とするカードに対抗する目的がある・可能な限り枠を潰さずにデッキに増やしたい要素がある場合に限り、0~3枚程度に抑えるのが無難だろう。
《家路/Homeward Path》《山賊の頭の間/Hall of the Bandit Lord》《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》《露天鉱床/Strip Mine》《高級市場/High Market》《さびれた寺院/Deserted Temple》辺りが代表例だろうか。
他の土地と同じくタップインは大きなデメリットなので、《山賊の頭の間/Hall of the Bandit Lord》などを投入する際にはその辺も鑑みたい。
(とは言え頭の間が入るデッキはジェネラルに速攻を付与したいものがほとんどで、そういうデッキの速攻にはタップインによる1ターンの遅れ以上の価値があるのだが)
☆マナ加速
◎枚数
土地以外のマナ加速要素は、(当然デッキ内の他のカードの重さによって変わるが)15~20枚程度がオススメ。
これくらいあれば、序盤戦である1~3ターン目に高確率で手札に入ってくるはず。序盤の加速は特に重要なので、これくらいは欲しい。
◎カード選択
・アーティファクト
ゲームの佳境が4~6ターン目くらいにある点から、序盤の加速を重要視したいので、マナ加速のほとんどは2マナ以下の物にするのが望ましい。
また、召喚酔いに影響されないアーティファクトの場合、アンタップインである事が望ましい。アンタップインなら、キャストしたターンに使えるマナの減少量を抑える事が出来る。(例:土地2枚タップで《精神石/Mind Stone》キャストなら1マナ使えるのでマイナス1マナ。《星のコンパス/Star Compass》だとマナが使えないのでマイナス2マナ)
3マナ以上の重めの加速は、そもそも枚数を控えめにすべきである。入れるにしても、複数マナを生みだして実質アドカードとなったり、他の用途も期待出来たり、コンボパーツだったりといった、プラスアルファの要素が欲しい。
・クリーチャー
召喚酔いに影響されるクリーチャーの場合はキャスティングコスト分がそのままそのターンのテンポ損になるので、アーティファクトより基準を厳しく1マナ以下を中心に。
2マナ以上に関しては、アーティファクトの3マナ以上と同じように評価基準を設けたい。
・エンチャント
《繁茂/Wild Growth》のように土地に付けるエンチャントは、対象によっては実質キャストしたターンにマナを生み出す事が出来るのでアーティファクトと同等程度に評価できる。2マナ以下は優秀なので積極的に採用してよいだろう。
デッキによっては土地アンタップのシナジーが入り得る事があり、その場合にはアーティファクトを超える評価となる。
・マナランプ
《不屈の自然/Rampant Growth》のようなカード。
これもまたアーティファクトと同様の評価で、2マナ以下、アンタップインを高く見る。
3マナ以上も同様に、採用する場合にはアド源などとなる事を望まれる。
・一時的なマナ加速
《暗黒の儀式/Dark Ritual》のような手札からの使いきりとなるカード。
使いきりのインスタント・ソーサリーであるため、テンポは得られるが必然的にアドバンテージを失うし、先置きも出来ない。
特殊な部類のカードであるが、テンポが重要なEDHにおいては頼りがいのあるタイミングも少なくない。
ただし、書いている通り、実際にマナを使うタイミングまで先置き出来ず、次ターン以降もマナが増える訳ではないのでその後の動きも安定しない。それゆえデッキのマナ加速の中心に据える事は出来ないので注意。
◎具体例
替えの利かない優秀カードは《Mana Crypt》くらいなので、お財布に物を言わせたデッキ相手にも比較的同等に戦える部類。
しかしの《Mana Crypt》1枚の差がかなり大きい。通常よりもより強く「軽いマナ加速」を意識したカードを投入した方がよいだろう。
また、アーティファクト以外のマナ加速は基本緑固有の物。緑を含まない場合はアーティファクトに頼る事になる。
ここではより幅広いデッキに転用できるよう、アーティファクトを中心に提示する。
緑系(および一時的加速を持つ赤・黒系)は参考程度に各種数枚提示するので、デッキタイプに合わせる形で必要に応じた加速を加えるとよいだろう。
・アーティファクト
0マナ:《水蓮の花びら/Lotus Petal》《Jeweled Amulet》各種モックス
1マナ:《太陽の指輪/Sol Ring》《魔力の櫃/Mana Vault》《通電式キー/Voltaic Key》
2マナ:各種タリスマン、各種印鑑、《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》《友なる石/Fellwar Stone》《精神石/Mind Stone》《虹色のレンズ/Prismatic Lens》《厳かなモノリス/Grim Monolith》
3マナ以上:《彫り込み鋼/Sculpting Steel》《スランの発電機/Thran Dynamo》《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
主要な所はこのくらいか。これだけで、最低基準となる2マナ以下の加速15枚を賄える。
《通電式キー/Voltaic Key》《彫り込み鋼/Sculpting Steel》は他のカードと組み合わせる形で実質マナ加速に変えられる。
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》は実質2マナでの運用が中心となるカード。
3マナ以上は他にも色々あるのでデッキタイプに合わせて選択してください。
・その他(緑系)
1マナ:《極楽鳥/Birds of Paradise》《ジョラーガの樹語り/Joraga Treespeaker》《東屋のエルフ/Arbor Elf》《明日への探索/Search for Tomorrow》《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》《繁茂/Wild Growth》
2マナ:《ティタニアの僧侶/Priest of Titania》《花を手入れする者/Bloom Tender》《自然の知識/Nature’s Lore》《肥沃な大地/Fertile Ground》
3マナ以上:《耕作/Cultivate》《はびこり/Overgrowth》《夜明けの反射/Dawn’s Reflection》
《明日への探索/Search for Tomorrow》は待機により1マナでマナ加速を行える。
《緑の太陽の頂点/Green Sun’s Zenith》は《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》をX=0でサーチする事により1マナの加速として扱える。
・その他(赤黒系)
《暗黒の儀式/Dark Ritual》《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》《汚物の雨/Rain of Filth》
《煮えたぎる歌/Seething Song》《炎の儀式/Rite of Flame》《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》
強力だが、通常のマナ加速や土地を削りすぎるとデッキが機能不全に陥る事がある。ご利用は計画的に。
☆次回予告
これでデッキのマナベースに関する説明はおしまい。
自分の提示した基準を基に土地とマナ加速をデッキに投入すると、大体50枚くらいになる。
これはデッキの約半分に届く数だが、重いカードもある程度使わざるを得ないEDHでスムーズにデッキを動かすためには、これくらい強固なマナベースが欲しい。
レガシーのように、0~2マナのカードでデッキ内のスペルの7割を埋める事は不可能なのだ。
次回は「サーチカード」について書いていく予定。
コメント
こういう記事を見る度に大渦の放浪者がいかに特殊なジェネラルなのかがわかりますねw
例外のところがほぼ当てはまりますから(^-^;
安価制約があるとどうしても強いカード(記事でも触れられている《Mana Crypt》とか)が入れられないので、その辺りで工夫する必要がありますよね。慣れていない方がやってしまいがちなのが、デッキだけコピーして足りないパーツを「似てそうに見えて全然代替にならないパーツ」で置き換えてしまうことだと思います。《Mana Crypt》→《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》とか。
今後の記事も楽しみに待機させて頂きます。
強デッキのうち、むかつきと大渦あたりは特定カード依存が大きいのでどうしても基本骨格から違う感じになりますよね。
大渦に限らず、重いジェネラルをぶん回す系(伍堂とかケアヴェクとか)は、とにかくマナ加速マシマシであとは空いた所に強そうなスペル片っ端から突っ込んで適当に押し切る構築が最善だったりする印象です。
ありがとうございます。励みになります。
高額カードは結構代替の効かないものが多いので、おっしゃっている通りの「似て非なるパーツ」を置き換えるパターンが使えないのはどうしてもネックになりますね。
その辺を割り切ってすっぱり諦め、例え次善の策でも単純な下位互換よりはマシな別の手法を提示出来たらと思っています。