自分が参加した訳ではないのですが、先日横浜で行われた『第二回commander’s festival』の楽しそうなレポートが沢山上がっていたので。


☆大会結果
28人が参加したこの大会、優勝は第一回と同じプレイヤー、ぎゃすたーさんの同じジェネラル、《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》でした。
エドリックはかなり昔から強ジェネラルとして名高く、対抗策も長らく模索されているのだけれど、それでも彼は連覇しました。


という訳で、「みんなでエドリック倒そう!」という記事を書こうと思います。
次に大会で会った時には、ちゃんと予選で叩き直せるような対策を考えたいのです。

まあ、こっち(岩手近辺)だとエドリックさっぱり見ないんだけどさw
一応、結構長く「殴ってタイムワープする」っていう似たコンセプトの《奪い取り屋、サーダ・アデール/Thada Adel, Acquisitor》使ってたし、東北に来てもらった時に何度か対戦しているので、大きくずれた話はせずに済むと思う。思いたい。


☆エドリックが勝ち続けられる理由
エドリックは確かに強いジェネラルですが、クリーチャーのカードパワーは年々上がっており、少なくとも自分の感覚ではエドリック以上のポテンシャルを持っているジェネラルもすでに結構現れている。
それでもなお、なぜエドリックが勝ち続けられるのか。自分としては、その理由は大きく分けて2つあると思っています。


1・対策が古い
一般的に、エドリックの戦略として知られているのは「エドリック含めたクリーチャーを並べて殴ってアドを取り、追加ターンを利用してそのアドを膨らませ続け、最終的には他人にターンを渡す事なく最後まで殴り切る」というものであり、そうしてそれに対する有名な対処方法として考えられているのは「エドリックを見たら除去する」「ブロッカーを並べる」「暇があるならエドリックのマナクリを根こそぎにしておく」といった辺りだ。

だが、山ほどの《紅蓮地獄/Pyroclasm》に薫陶され、片手の指の本数を超える《ニンの杖/Staff of Nin》にしばかれ続け、今のエドリックは大きく姿を変えている。
上に書かれたような対策が、現在のエドリックに対して効かない訳ではないが致命的ではなく、そのためエドリックを抑えきれずにいるのではないか、と自分は考えている。


2・プレイヤーが状況判断に慣れていない
数か月に一度、楽しそうな伝説のクリーチャーが現れるカジュアルフォーマットであるEDH。
このフォーマットにおいて、同じジェネラル(特に古いジェネラル)と沢山の対戦を繰り返す事は稀だ。
多くの人が新しいジェネラルが出たら取りあえず組みたくなる。組む。
カジュアルフォーマットなので、勝ちは目指すにしてもデッキを回している楽しさ優先で、同じアーキタイプ・同じジェネラルを深く研究する事は少ない。

そんな環境のため、多くのプレイヤーは非常に多くの種類のジェネラルと、少しずつの対戦経験を積む事になる。
結果、トップメタとも呼べるアーキタイプにも拘らず、多くのプレイヤーがエドリックとの対戦経験を多く持てず、実際の対戦時に盤面から現在のエドリックの危険度を正確に読み取る事が出来ず、結果エドリックに勝ちを譲る事になる。

この「メタの中心のデッキとの対戦経験が積みにくい」という状況は、一般的な競技フォーマットでは起こりにくい、EDHのようなカジュアルフォーマットならではの問題だと思っている。(「問題」って書き方したけど、別に悪い事とは言ってないよ)



これらの問題点を埋めるべく、ここからはエドリックに対抗する方法として、
1・エドリックはどういうデッキか。
2・そんなエドリックに効く対策は何か。

という2点から話を進めていきたい。




☆エドリックってどんなデッキ?
まず、エドリックと言うアーキタイプについて。

結構勘違いされている事な気がしているのだが、エドリックは決してコンボデッキではないと思っている。少なくとも現在は。(大昔の《メムナイト》とか《スカイシュラウドの切断獣》をばらまいていた頃はコンボデッキだったと思っている)
「クリーチャーを並べ、エドリックを出して殴ってアドを取り、追加ターンを繋げ続けるループコンボ」というのは誤った認識だ。

自分の認識では、現在のエドリックとは「様々な手段でカードアドバンテージを稼ぎながら、バウンスやカウンター、コントロール奪取で凌ぎつつ、隙を見てフィニッシャーで殴り切るコントロールデッキ」だ。
フィニッシャーが「3マナと軽量で、追加ターンが繋がりやすいのでアタックが途切れにくいジェネラルによる追加ターンループ」であるだけで、デッキ内のカードの多くはアドバンテージを稼ぎ、生き延びるためのものだ。

また、コントロールデッキであるだけに、当然ながら真骨頂は長期戦にある。
全員が大量にターンを重ね、マナソースが伸び切った戦況はエドリックには望ましい状態だ。
それをコンボデッキと勘違いして「クリーチャーを根こそぎにした。手札にクリーチャー除去も握っている。もうエドリックは怖くない。あとはゆっくりコンボを揃えて料理するだけだ」とかやってると簡単にひっくり返される事になる。

《リスティックの研究/Rhystic Study》や《Mystic Remora》などでじりじり引き続け、安定して伸ばし続けた大量の土地を背景に、「『隙を見てのエドリック+即座に追加ターン』から始まるループ」「《約束された終末、エムラクール》」「《召し上げ》」「超過《サイクロンの裂け目》」などで一気に捲られるのは良くある負けパターンだ。


なのでエドリックに対抗するのならば、コンボデッキを相手取るような感覚ではなく、コントロールを相手取るような感覚で行わなければならないと自分は考える。




☆エドリックに対する対策
◎旧来の対策の穴
まず、旧来の「エドリックを見たら除去する」「ブロッカーを並べる」「暇があるならエドリックのマナクリを根こそぎにしておく」といった対策の問題点から。

・エドリックを見たら除去する
エドリックはアドバンテージソースなので、除去するに越した事はないのだが、特に中盤~後半に出てくるエドリックはカウンターに守られている事が多い。対して、そのタイミングで除去を撃つ側は大抵単発だ。
あるいは、ソーサリー除去を抱えたまま「エドリックキャスト→追加ターン」と動かれて死ぬ。
《Mystic Remora》などでエドリック側に手札を稼がれている時点ですでに負けている。むしろ対策すべきはそのアドバンテージ源か、上記行動をバックアップしているマナソース。


・ブロッカーを並べる
現実的に考えて、3人全員がブロッカーを安定して供給出来るデッキであるという事は難しい。そうして1人でもブロッカーを置き損ねればそこから追加ターンループは漏れ出す。
例えば《変身/Polymorph》デッキなんかだと、絶対的にクリーチャーが少なくなりがちだ。変身デッキに「エドリックだ! ブロッカーを準備しろ!」なんて言っても無茶な話だ。
この方向性の対策は現実的でないものであり、気に留める程度で基本的には諦めるべきである。
だからと言って、そういうクリーチャー少ないデッキに《禁忌の果樹園》でブロッカーばら撒いてあげてたら《変身》で即座に死ぬので論外だぞ。

まあそもそも、ブロッカー並べてゆっくりしてたら、上で書いた通り長期戦になってエドリックの思う壺だしね。


・暇があるならエドリックのマナクリを根こそぎにしておく
これも一番目と同じ。マナクリを除去っても土地やマナファクトというマナソースは残る。
《鉄びし/Caltrops》や《上天の閃光/AEther Flash》などの置物おいて安心してると、土地だけ(ただし数は多くマナは沢山出る)の盤面から「上家ターンエンドにバウンス→カウンターで守りながらフィニッシャー」とか動かれて死ぬ。

とはいえこの対策は他と比べれば随分有効な方。
マナソースを削る行動はとれているので、エドリックの行動にある程度の制限はかけられている。




◎新しい対策法
上の項で書いたような話を踏まえ、自分が考案する対策は「コントロールデッキを潰すような方法で対抗する」というものだ。
コントロールが嫌がる事はエドリックには大抵有効だと思っているので、それらの具体例を書いていく。


・速攻コンボ
エドリックのフィニッシャーや、大きなアドバンテージ源となる追加ターンは、当然ながら重い。召し上げやエムラは7~9マナは必要だし、追加ターンも一番軽くて5マナからだ。
なので、エドリック側がそのマナ圏に到達する前にゲームを終わらせに行くようなデッキで臨むと相手は辛いはず。
もちろんエドリック側も青いコントロールデッキであるだけに軽めのカウンターや除去は多めに入っているものの、早いターンで勝負を挑まれ続けると重くて撃てないカードが潜在的なディスアドバンテージに繋がり、不利な状況を作り出す事が出来る。

注意すべきは、EDHで使えるマナ加速が尋常でないため、その速攻を決められるターンが非常に少ない事。
「1T目土地マナクリ→2T目土地太陽の指輪→3T目土地セット」って感じのEDHじゃ珍しくは無い展開をした時点で6マナ到達だからね。ゲームが早い。

実質的に認められるのは《隠遁ドルイド/Hermit Druid》《むかつき/Ad Nauseam》《生き埋め/Buried Alive》あたりを特化した系統のデッキのみだと思う。



・早めのターンのアドバンテージ破壊
毎ターンのドローがあるゲームなので、当たり前だけど、ターンが経過するごとにプレイヤーが使えるカードの枚数は増えていくし、盤面にセットできる土地の枚数も1枚ずつ増えていく。
早めにセットした土地であればあるほど「のべで出して使ったマナ」は多くなるだろう。

逆説的に、序盤であればあるほど1枚のカードの価値は重い。
1T目に出したマナクリや土地が破壊されるのと、10T目に出したそれが破壊される事の価値は同義ではない。
初手に1枚しかなかった土地割られたら、ドローもままならず、ゲームにならない事だろう。一方、10ターン目にセットした8枚目の土地を割られてもその後の展開にさほど大きな影響はないだろう。

なので、リソースに対する妨害は早ければ早いほど良い。
つまり1ターン目《露天鉱床/Strip Mine》。
1ターン目のマナソースに《精神的つまづき/Mental Misstep》や《はらわた撃ち/Gut Shot》。
これ有効。

もちろん、使う側も「貴重な序盤のリソース」を消費してしまうので諸刃の剣ではある。
こういった行動を取った結果全体のゲームスピードを落としてしまった場合、結局コントロール側の有利な時間帯に突入する事になるので注意が必要だ。




・継続的なリソース削り
《取り憑かれた扉/Possessed Portal》《煙突/Smokestack》のような継続的にリソースを削り続けるカードはコントロールが最も嫌うもの。
カウンターを避けて無事に通す事が出来たなら、これらがある限りはある程度の長期戦が認められるようになるだろう。
ただ、これらを使う場合には自分もちゃんとリソース確保出来るようにしておくか、そこから早めに勝てる構築にしておく事。ただ長引かせてるだけだと無意味、どころか墓地が潤ってエドリックが有利になりすらする。



・《ハルマゲドン/Armageddon》
長期戦を臨む関係上、コントロールの重要なマナベースは土地となりがちだ。
なぜならアーティファクトやクリーチャーに比べ、破壊される事が少なく、必然的に色々な種類の妨害が飛び交いがちになる長期戦においては最も信頼出来るマナベースだからだ。
なので適切なタイミングでそこを叩かれると、エドリック側は中途半端な状況で盤面を固定され、重いカードも使えず苦しむ事になる。

《壊滅/Devastation》《燎原の火/Wildfire》《ジョークルホープス/Jokulhaups》《死の雲/Death Cloud》なども強力なのだが、土地以外の盤面も流れる関係上、エドリックのみならず自分も減速してしまう事になりがちで、タイミングを選ぶために万能とは言い難い。
エンチャントやPW、破壊不能のクリーチャーなどを安定して準備出来るデッキならば是非。



・ドロー禁止
アドバンテージを得る手段の代表格が、カードを引く効果だ。
それを止めるドロー禁止カードは、コントロールであるエドリックに良く刺さる。

《Chains of Mephistopheles》や《概念泥棒/Notion Thief》などを準備しておくと、エドリックの動きが目に見えて鈍るはずだ。
ただ、アドバンテージを得る手段はドローのみではないために完璧ではない。例えば《はびこり》はカード1枚で2マナ出るので「実質1枚のカードで森2枚分=1枚のアドが取れている」となる。アドバンテージは、何も手札の枚数だけを指すものではないのだ。
信頼しすぎないように。





久々にがっつり書いたぞ。
自分なりに考えた「今のエドリック対策」、大体こんな所だろうか。


後はぎゃすたーさん本人がそのうち答え合わせしてくれるでしょ。


それではこんな所で。
みんなもエドリックを見つけたら、ガンガンエ虐していこうな!!

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