http://kakkokari.diarynote.jp/201703101011109703/)の続き


◎ドロー
ドローカードを撃つと、手札が増え、その他のリソースを増やしやすくなり、選択肢が増え、必要なカードが手に入れやすくなり……結果、長期戦や特殊な戦況におけるアドバンテージを生み出す。(もちろん、ドロー強化で引いたカードの中に、ぐだっている長期戦で有効なカードが入っている可能性がある(=デッキにその有効なカードが入っている)事が前提条件なのだが)

そうしてドローカードは、ある程度早いゲームでも仕事を行い得る。
一方的に攻撃している場面でも、後続を追加して攻めを継続する助けになる事もあるので完全に邪魔とは言いにくいためだ。
極端な話をすれば、数枚引くカードはとても弱いサーチとも言える(《無限への突入/Enter the Infinite》がドローカードなのか「好きなカードをライブラリーから引きあてる」サーチなのかは議論の余地が残る)ので、そういった面を考えると攻撃一辺倒の動きの補助になり得る。

そのため、ドローは比較的安定性のある太いカードであると言える。
テンポこそ少々失うものの、対戦相手依存でないため他の種類のものに比べて安定性がある。
ドローカードはある程度の多めの枚数を投入してもデッキが歪まない、優れたタイプの「太い」カードであると言える。

特筆すべきは《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》《ニンの杖/Staff of Nin》などの継続ドロー。
長期戦に特化しており、ドローの持つ場面を選ばない安定性は減ってしまうが、長期戦になればなるほど強力さが目立ってくる。
デッキのバランスやゲーム速度によっては、数枚投入してもいいだろう。

なお、《Mystic Remora》や《リスティックの研究/Rhystic Study》は、即座に複数枚引ける通常ドローと継続ドローのいいとこ取りのような性質であるため、強いカードとして扱われている。
(ドロー誘発が頻繁で、キャスト後早いタイミングで数枚引ける&置きっぱなしで継続してドローが可能)
気になるのは、「通常のドロースペルと比べた時、ドローがキャスト直後ではないので遅い事がある」くらい。



◎軸の違う勝ち筋
単体で弱い無駄牌になりがちなコンボパーツは最低限に抑えたいが、軸の違うコンボが複数入っているデッキは粘り強く、太いデッキとなる。

《摘出/Extract》1枚でクソビートしか選択肢がなくなったり、《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》や《無のロッド/Null Rod》のような1枚の対策カードで詰まされるようなデッキでは、事実上それらのカードを叩きつけられたら1キル2キルされるも同然だ。

なので、「デッキ内のサーチから好きなルートで攻められるよう、出来る限りメインの勝ち筋と同じカードタイプで構成された」「同じ対策カードで封殺される事のない」サブの勝ち筋が入っているデッキは、メインの勝ち筋が対策カードや追放で潰されても、ある程度の速度や安定性を維持したまま戦闘継続出来るので、太いデッキであると言える。



◎土地
EDHにおけるマナベースで最も壊れにくいのは土地だ。
レガシーのベルチャーやスパイみたいな構成が無理なハイランダールールである関係上、土地は基本的に使わなければゲームが進まない。そのため、自分の被害を避けながらクリーチャーやアーティファクトの全体除去を投入するデッキは良く見るが、場合によっては自分も大きな悪影響を受け得る《ハルマゲドン/Armageddon》などはリスクを恐れて採用率が低めになっている。

逆説的に、土地は安定したマナベースとして戦場に残りやすい。
アーティファクトやクリーチャーのマナ加速と違って早いターンに大量のマナを生み出す動きは出来ないが、ゆっくりした毎ターンセットを確実に行ったり、多少重いが強固なマナランプスペルで土地を伸ばしていく動きは、リセットが飛び交うような状況だと特に、それだけでいつの間にか有利に立っている場合すらある。

土地の中でも特に基本土地は強固で、一部デッキが、自分の被害を最小限に抑える抜け道として使う土地妨害、単色やそれに準ずるデッキの《血染めの月/Blood Moon》や《破滅/Ruination》、《基本に帰れ/Back to Basics》などの影響を受けずにマナベースの確保が出来る。





☆太ければいいってもんでもない
ここまで太いカードの利点について説明してきたが、実際は太ければ太いほど強いデッキになる、とは言えない。

細いカウンターが無いとカツカツのマナでコンボを仕掛けた時に妨害に対するカウンターを撃つマナが足りず止められる事もあるだろう。

速攻を仕掛けようとしているのに手札で重いパワーカードが滞っているせいで対戦相手に後れを取る事もあるだろう。

ドローばかりが手札に溜まり、直接的に戦局に影響を与えるカードをキャスト出来ずにテンポを大きく損なう事もあるだろう。ハンドが何枚あろうとも、キャスト出来なきゃ事実上手札の枚数が無いも同然だ。

いくら洗練しても、コンボが増えれば単体で弱い専用カードは増える。大量にコンボや勝ちパターンを投入した末に、単体で何も出来ないカードの組み合わせばかりになって何も出来ずに対戦相手に出しぬかれる事もあるかも知れない。

他のプレイヤーがマナ加速をして3ターン目に5マナ6マナ出している中で、手札に今後2ターン分のセットランドを確保ながら3枚目の土地をセットしているようでは、ゲームスピードに追い付けずに負けるだけだろう。



デッキがピーキー過ぎると、嵌れば強いが酷い時には1ターン目に投了モノの状況になったりする。
デッキが太すぎると、妨害の差し合いでぐだった長期戦でしかゲームに参加できない。しかもその長期戦に自力で持ち込む事すら苦手だったり。
大切なのはバランスで、速さや不安定性をどれだけ許容するかだ。

他のフォーマットでもそうだけど、遅過ぎるデッキは早いデッキに勝てない事が多いけど、早いデッキはそれよりもちょっと遅いデッキが苦手な事が多い。
そうして、EDHもその辺は同じだと思う。

で、「実際どれくらいの速度が一番いいのか」となると、こればかりは、対戦して自分なりの環境に合わせたバランスを見つけていくのが一番だと思う。身も蓋もないけど。


環境に合わせた速度の調整大事。そんな話でした。

コメント

nophoto
ゴリゴリ
2017年3月13日2:28

いつも読んでいて参考になるばかりの記事でうれしいです
最近はテフェリーを使っているんですが、ドローや妨害には恵まれていますけどヴェールを墓地に処理されるとビタ止まりするんでどうしようかと悩んでいます
無駄牌の少ないコンボを増やしたいと最近おもってるんですけど中々^^;

かっこかり
2017年3月13日19:12

>ゴリゴリさん
コメントありがとうございます。

コンボカードの回収は、《有毒の蘇生/Noxious Revival》のような使い勝手のいいカードが無い色の場合、無理に回収専用カードを入れてもデッキが動かなくなるだけなので、自分の場合、

・《Timetwister》《時のらせん/Time Spiral》で雑にライブラリーに戻す

・土地でもヴェールコンボ用の複数マナ出す事を狙える構築にして、《探検の地図/Expedition Map》で《水蓮の谷間/Lotus Vale》《焦土/Scorched Ruins》《裏切り者の都/City of Traitors》《Soldevi Excavations》辺りの土地を持ってくる選択肢を準備しながら、《アカデミーの廃墟/Academy Ruins》や《埋没した廃墟/Buried Ruin》を投入する。《発明博覧会/Inventors’ Fair》なんかもあっていいかも。
探検の地図はほぞなのでサーチしやすいからそれを起点に。

この2択かなー、と思っております。

nophoto
ゴリゴリ
2017年3月14日3:09

確かに今は《発明博覧会/Inventors’ Fair》を入れていますけど《アカデミーの廃墟/Academy Ruins》や《埋没した廃墟/Buried Ruin》かなりいいですね。
それをサーチする手段もいれるとなると色マナが足りなくなる可能性があるんで調整は必要になるかもしれませんが大変参考になりました。ありがとうございます

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