EDH 太いデッキ、単体で強いパワーカード その1
2017年3月10日 EDHカード考察☆細いデッキ、太いデッキ
前提として、EDHのデッキを「細いデッキ」と「太いデッキ」に分類する。
◎細いデッキ
勝ち筋が一点集中で、1枚のキーカードをカウンターされたり、除去されたりすると一気に勝ちが遠のく。
キーカードが1枚きりなので、それを追放されると勝てなくなるのはもちろん、《無のロッド》や《呪われたトーテム像》や《墓掘りの檻》のようなカードで活躍を封じられたり、(勝てるカードが1/99であるため)サーチを止められるだけでもまず他のプレイヤーのスピードに付いていけなくなる。
勝ち筋と噛み合う事前提であるピーキーなカードが多く、単体としてのカードパワーが低いため、お互い妨害し合って長期戦になった場合に有利を得にくい。
◎太いデッキ
勝ち筋が多面的で、ある勝ち筋を止められても二の矢、三の矢がある。
勝ち筋が複数であるため1枚追放された程度ではデッキの勝ち筋が消え去らず、また、それらの勝ち筋の方向性が分散しているために《無のロッド》《呪われたトーテム像》のような対策カード1枚で止まり切る事もない。
単体でパワーの高い、多くの状況で強いカードが多く入っており、全員がジリ貧になった状態の捲り合いで優位に立ちやすい。
このように、その他の部分全てに目をつぶれば、太い方が優れている。
(他の部分というのは、勝ち筋(コンボ等)の速度だったり安定性だったりデッキの一貫性だったり。一般的に、細いデッキはピーキーな分、嵌れば早いし強いし勝ち筋も止まりにくい)
次の項からは、太いカードの具体例を書いていく。
☆太いカードの具体例
◎打ち消し
青いデッキの場合、妨害の枠に打ち消し呪文を採用する事が多い。
打ち消し呪文は、通常の除去呪文と違い、あらゆる呪文に対応しうる事からモノによって性質が大きく違い、採用カードの差異がデッキの太さを変える事となる。
・細い
《払拭/Dispel》《狼狽の嵐/Flusterstorm》《白鳥の歌/Swan Song》など
・太い
《Mana Drain》《対抗呪文/Counterspell》《Force of Will》など
自分がコンボを決めたり攻撃するのは、基本的に自分のターン。必然的に対戦相手の妨害はインスタントとなる。
「細い」に分類されたカード群は、青1マナでインスタントを打ち消す事が出来るため、それらの妨害を止める事には向いているのだが、対象が狭く、対戦相手ターンの能動的なアクションを打ち消せなかったりするため、コンボ始動や致命的な妨害を止める防御的な使い方には向いていない。
対して「太い」に分類されたカード群は、どれもキャストに必要なリソースは多いものの、カードタイプを選ばずに打ち消す事が出来る。(十分なマナがある事が前提だが)「自分の勝ち筋を守って勝ち切る」という方向性を損なわず、自分が攻めに行く時にも、対戦相手のコンボや強力な妨害を止める時にも使える。
◎パワーカード
デッキの勝ち筋から逸れたカードは、本来デッキにとってノイズにしかならない。
結局無限ダメージで勝つデッキでは高いクロックを持つクリーチャーはいくら強くても無意味だし、「対戦相手の妨害に対処する妨害」でない種類の妨害は手札全部で攻めに行く時の無駄牌になる。
極論、最初の手札+数枚の通常ドローでコンボ勝ち出来るのなら、ドローカードですら「サーチよりも必要カードを手に入れる確率が低いだけ」の弱いカードになる。
しかし、それらの「無駄カード」を投入する事によって、デッキは対処できる状況が増え、確実に太くなる。
そのため、強いデッキにはある程度そういった太いカードが投入されている事が多いのだが、それらも適当に投入するだけでは意味がない。
いかに具体例を示す。
・能動的な妨害(軽い)
《無のロッド/Null Rod》《血染めの月/Blood Moon》《締め付け/Stranglehold》《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress》など
自分が影響を受けない範囲で、能動的に対戦相手の行動を制限する事を期待出来るカード群。投入するのなら、もちろん自分が悪影響を出来る限り受けないような構築のデッキになっている事が前提。
その中でも、4マナ以下程度のものは最速1~3ターン目くらいに設置する事が可能で、ゲームの速度を積極的に遅らせる事が出来る。
自分も手札1枚とマナを使って減速する事になるが、妨害が刺さった対戦相手はより大きな減速を強いられるので、相対的に自分の速度が増す事になる。
また、行動自体を制限された対戦相手は妨害を撃ちにくくなるため、対戦相手を減速させて身を守る防御的な効果に加え、自分の自分の攻撃を補助する攻撃的な効果も期待出来る。
これだけ見れば良い事尽くめなのだが、減速するのは「そのカードが刺さった相手」だけなので、適当に投入して適当に引いた所を設置しても効くかどうかは運任せになってしまう。
では「どの対戦相手にも効くように、沢山の種類、沢山の枚数を投入するすればいいか」となると、そうはならない。多く投入すればその分『ハズレ』が増え、結局自分の妨害キャスト+無駄牌ドローによる減速が、対戦相手への減速を上回って自滅するだけとなる。
なので、これらの妨害に求められるのはサーチのしやすさ。
サーチが出来るのなら、対戦相手と状況を見てから、デッキ内に最低限入っている妨害を必要に応じて持ってくる事が出来るため、妨害キャストによるテンポ損が対戦相手の減速を上回るタイミング・そもそも必要ないタイミングで引いて無駄牌になる事を防ぐ事が出来る。
なお、妨害専用にサーチを入れていては、結局「サーチ=無駄牌になるかも知れない妨害」となってしまうため意味がない。他の役割も持つ、同じカードタイプの様々なカードを多めにデッキに投入する事が肝要である。
例えば白赤デッキの、勝ち筋含めた色々な仕事の種類を持つエンチャントが多く入ったデッキで、エンチャントサーチが多めにしつつ《血染めの月/Blood Moon》《締め付け/Stranglehold》を投入するなど。
妨害が欲しい時にはそれらを持って来ておけばいいし、そうでない時にはドローや勝ち筋に変わるためサーチカードは無駄にならない。
・能動的な妨害(重い)
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》《解放された者、カーン/Karn Liberated》《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》など
6マナ以上の重い妨害カード。
上で書いた軽い妨害よりも重い分だけ強く、キャストしたその場での妨害効果に加え、特に単体で継続的に盤面を制圧したり、数ターンで殴り倒したりを期待出来る。
ただし重い分だけ基本的にキャストが遅くなるため、対戦相手の順調な行動に対する減速としては期待しにくい。
基本的に、自分や対戦相手が妨害を使った末の消耗戦になった際や、自分がマナベース以外ジリ貧になった際に、1枚で大きく状況を好転させる目的で投入される。
軽い妨害以上に手札で邪魔になるタイミングが多いので、投入は多くても1、2枚、さらにはコンボのフィニッシャーなど他の役割も持たせられるのが望ましい。
ウギン、カーンは《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》を勝ち筋とするデッキにフィニッシャーになるし、加えて色によって持つ苦手なカードタイプの貴重な除去(しかも盤面に残る)として保険になる。エムラクールは場合によって単体で勝ち得るし、対戦相手のジェネラルを墓地に落として封殺する貴重な効果も期待出来る。
これらも軽い妨害と同じく、必要時にサーチ出来るようなものが最も望ましい。
その点で考えると、エムラクールは効果が不安定ではあるが色によってはサーチしやすいクリーチャーなので素晴らしい。
《ニンの杖/Staff of Nin》なんかも、暴君フィニッシャーでありながら青いデッキだとサーチしやすく、地味とは言え仕事も多いので悪くない。
・リセット
《Timetwister》《毒の濁流/Toxic Deluge》《進歩の災い/Bane of Progress》《ハルマゲドン/Armageddon》《壊滅/Devastation》など
全てのプレイヤーの何らかのリソースを同じ数に揃えるリセット呪文。
いつも自分のデッキが他人よりも回っていればいいのだが、そこは対戦ゲーム、他人の方がブン回ってマナベースや手札が充実している事もあるだろう。
そんな時、自分もマナ加速やドローで後追いで追いつくのは案外困難だ。マナ加速や手札充実は、早いターンであればあるほど効果は大きく、後手に回りっぱなしになる事の方が多い。
そんな時に役立つのがリセット呪文だ。1枚のカードで他人の優位を覆し、自分と同じ土俵に降りて来てもらえる。
また、自分の有利を確立している場合にも使える。
その有利を確立しているものとは別のカードタイプを、破壊する方向のリセットで数を揃える事により、有利な状況を固定できる。
欠点としては、自分が有利な状況では無駄牌になる事。自分の手札が10枚で他プレイヤーがみんな3枚なのに、《Timetwister》をわざわざ撃つ義理はない。
リセットは、あくまで特定のリソースの均衡を整えるだけで、かならずしも利益をもたらすとは限らないのだ。
そのため、これらのカードもサーチ前提で枚数を抑え気味にする事が望ましい。
青でソーサリーの《Timetwister》、黒の《毒の濁流/Toxic Deluge》、緑の《進歩の災い/Bane of Progress》などは、サーチのしやすいカードタイプ(黒はなんでもサーチだけど)なので扱いやすい。
逆に緑単色で《無垢への回帰/Seeds of Innocence》などは、サーチ出来ないので引きに任せる事になるため、必要時にあるとは限らず使いにくくなるだろう。
ただ、リセットが欲しい場面は案外多い。なのでサーチに噛み合わずとも入れざるを得ない事もある。
そうして、安定して必要な時にリセットを撃つため、サーチが無ければ枚数を増やすしかない。
《戦の惨害/Ravages of War》や《燎原の火/Wildfire》といった同系再販や類似カードが投入される事もままある。
もちろん入れすぎ注意。サーチしにくいリセットを複数投入する型は、重くて無駄牌になる場面が多いカードがデッキに増えるリスクがあるという事は意識しておく事。
・奪取系
《袖の下/Bribery》《知識の搾取/Knowledge Exploitation》《法務官の掌握/Praetor’s Grasp》など
上のようなパワーカードだが、色によってはサーチしにくかったり、そもそもその色ではカードプールにない事もあるし、あったとしてもデッキ内の枚数が増えれば必要ない時に手札で腐るリスクも増える。
だったら他人のデッキからサーチして、そのまま使ってしまえばいいじゃない! というのがこれらのカード群。
相応に重いのだが、勝ち手段、好きなカードタイプのリセット、強力な妨害置物など、好きなカードを必要に応じてキャストする事が出来る。
……ただし、他人のデッキにそれが入っていればだが。
デッキに入れにくい、強力かつ場に最も即したカードをサーチ+キャストをそこそこのマナコストとカード1枚だけで実現する事に対するリスクは、この事に集約される。
対戦相手のデッキをこれまでのゲーム展開の中で理解して対象を選ぶ事、その山札に期待しすぎない事を意識すれば、これらのカードはとても良い仕事をしてくれる事だろう。
また、類似品として《金粉のドレイク/Gilded Drake》《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》のようなコントロール奪取カードがある。
これらは盤面から借り受けてくるために確実な対象を選ぶ事が出来るのだが、必然的にライブラリーサーチに比べて選択肢が狭くなりがちだったり不安定だったりする。
とりあえずここまで。続きはまた今度。
今後の項目、予定は以下の通り。
☆太いカードの具体例 の続き
◎ドロー
◎軸の違う勝ち筋
◎土地
☆太ければいいってもんでもない
前提として、EDHのデッキを「細いデッキ」と「太いデッキ」に分類する。
◎細いデッキ
勝ち筋が一点集中で、1枚のキーカードをカウンターされたり、除去されたりすると一気に勝ちが遠のく。
キーカードが1枚きりなので、それを追放されると勝てなくなるのはもちろん、《無のロッド》や《呪われたトーテム像》や《墓掘りの檻》のようなカードで活躍を封じられたり、(勝てるカードが1/99であるため)サーチを止められるだけでもまず他のプレイヤーのスピードに付いていけなくなる。
勝ち筋と噛み合う事前提であるピーキーなカードが多く、単体としてのカードパワーが低いため、お互い妨害し合って長期戦になった場合に有利を得にくい。
◎太いデッキ
勝ち筋が多面的で、ある勝ち筋を止められても二の矢、三の矢がある。
勝ち筋が複数であるため1枚追放された程度ではデッキの勝ち筋が消え去らず、また、それらの勝ち筋の方向性が分散しているために《無のロッド》《呪われたトーテム像》のような対策カード1枚で止まり切る事もない。
単体でパワーの高い、多くの状況で強いカードが多く入っており、全員がジリ貧になった状態の捲り合いで優位に立ちやすい。
このように、その他の部分全てに目をつぶれば、太い方が優れている。
(他の部分というのは、勝ち筋(コンボ等)の速度だったり安定性だったりデッキの一貫性だったり。一般的に、細いデッキはピーキーな分、嵌れば早いし強いし勝ち筋も止まりにくい)
次の項からは、太いカードの具体例を書いていく。
☆太いカードの具体例
◎打ち消し
青いデッキの場合、妨害の枠に打ち消し呪文を採用する事が多い。
打ち消し呪文は、通常の除去呪文と違い、あらゆる呪文に対応しうる事からモノによって性質が大きく違い、採用カードの差異がデッキの太さを変える事となる。
・細い
《払拭/Dispel》《狼狽の嵐/Flusterstorm》《白鳥の歌/Swan Song》など
・太い
《Mana Drain》《対抗呪文/Counterspell》《Force of Will》など
自分がコンボを決めたり攻撃するのは、基本的に自分のターン。必然的に対戦相手の妨害はインスタントとなる。
「細い」に分類されたカード群は、青1マナでインスタントを打ち消す事が出来るため、それらの妨害を止める事には向いているのだが、対象が狭く、対戦相手ターンの能動的なアクションを打ち消せなかったりするため、コンボ始動や致命的な妨害を止める防御的な使い方には向いていない。
対して「太い」に分類されたカード群は、どれもキャストに必要なリソースは多いものの、カードタイプを選ばずに打ち消す事が出来る。(十分なマナがある事が前提だが)「自分の勝ち筋を守って勝ち切る」という方向性を損なわず、自分が攻めに行く時にも、対戦相手のコンボや強力な妨害を止める時にも使える。
◎パワーカード
デッキの勝ち筋から逸れたカードは、本来デッキにとってノイズにしかならない。
結局無限ダメージで勝つデッキでは高いクロックを持つクリーチャーはいくら強くても無意味だし、「対戦相手の妨害に対処する妨害」でない種類の妨害は手札全部で攻めに行く時の無駄牌になる。
極論、最初の手札+数枚の通常ドローでコンボ勝ち出来るのなら、ドローカードですら「サーチよりも必要カードを手に入れる確率が低いだけ」の弱いカードになる。
しかし、それらの「無駄カード」を投入する事によって、デッキは対処できる状況が増え、確実に太くなる。
そのため、強いデッキにはある程度そういった太いカードが投入されている事が多いのだが、それらも適当に投入するだけでは意味がない。
いかに具体例を示す。
・能動的な妨害(軽い)
《無のロッド/Null Rod》《血染めの月/Blood Moon》《締め付け/Stranglehold》《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress》など
自分が影響を受けない範囲で、能動的に対戦相手の行動を制限する事を期待出来るカード群。投入するのなら、もちろん自分が悪影響を出来る限り受けないような構築のデッキになっている事が前提。
その中でも、4マナ以下程度のものは最速1~3ターン目くらいに設置する事が可能で、ゲームの速度を積極的に遅らせる事が出来る。
自分も手札1枚とマナを使って減速する事になるが、妨害が刺さった対戦相手はより大きな減速を強いられるので、相対的に自分の速度が増す事になる。
また、行動自体を制限された対戦相手は妨害を撃ちにくくなるため、対戦相手を減速させて身を守る防御的な効果に加え、自分の自分の攻撃を補助する攻撃的な効果も期待出来る。
これだけ見れば良い事尽くめなのだが、減速するのは「そのカードが刺さった相手」だけなので、適当に投入して適当に引いた所を設置しても効くかどうかは運任せになってしまう。
では「どの対戦相手にも効くように、沢山の種類、沢山の枚数を投入するすればいいか」となると、そうはならない。多く投入すればその分『ハズレ』が増え、結局自分の妨害キャスト+無駄牌ドローによる減速が、対戦相手への減速を上回って自滅するだけとなる。
なので、これらの妨害に求められるのはサーチのしやすさ。
サーチが出来るのなら、対戦相手と状況を見てから、デッキ内に最低限入っている妨害を必要に応じて持ってくる事が出来るため、妨害キャストによるテンポ損が対戦相手の減速を上回るタイミング・そもそも必要ないタイミングで引いて無駄牌になる事を防ぐ事が出来る。
なお、妨害専用にサーチを入れていては、結局「サーチ=無駄牌になるかも知れない妨害」となってしまうため意味がない。他の役割も持つ、同じカードタイプの様々なカードを多めにデッキに投入する事が肝要である。
例えば白赤デッキの、勝ち筋含めた色々な仕事の種類を持つエンチャントが多く入ったデッキで、エンチャントサーチが多めにしつつ《血染めの月/Blood Moon》《締め付け/Stranglehold》を投入するなど。
妨害が欲しい時にはそれらを持って来ておけばいいし、そうでない時にはドローや勝ち筋に変わるためサーチカードは無駄にならない。
・能動的な妨害(重い)
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》《解放された者、カーン/Karn Liberated》《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》など
6マナ以上の重い妨害カード。
上で書いた軽い妨害よりも重い分だけ強く、キャストしたその場での妨害効果に加え、特に単体で継続的に盤面を制圧したり、数ターンで殴り倒したりを期待出来る。
ただし重い分だけ基本的にキャストが遅くなるため、対戦相手の順調な行動に対する減速としては期待しにくい。
基本的に、自分や対戦相手が妨害を使った末の消耗戦になった際や、自分がマナベース以外ジリ貧になった際に、1枚で大きく状況を好転させる目的で投入される。
軽い妨害以上に手札で邪魔になるタイミングが多いので、投入は多くても1、2枚、さらにはコンボのフィニッシャーなど他の役割も持たせられるのが望ましい。
ウギン、カーンは《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》を勝ち筋とするデッキにフィニッシャーになるし、加えて色によって持つ苦手なカードタイプの貴重な除去(しかも盤面に残る)として保険になる。エムラクールは場合によって単体で勝ち得るし、対戦相手のジェネラルを墓地に落として封殺する貴重な効果も期待出来る。
これらも軽い妨害と同じく、必要時にサーチ出来るようなものが最も望ましい。
その点で考えると、エムラクールは効果が不安定ではあるが色によってはサーチしやすいクリーチャーなので素晴らしい。
《ニンの杖/Staff of Nin》なんかも、暴君フィニッシャーでありながら青いデッキだとサーチしやすく、地味とは言え仕事も多いので悪くない。
・リセット
《Timetwister》《毒の濁流/Toxic Deluge》《進歩の災い/Bane of Progress》《ハルマゲドン/Armageddon》《壊滅/Devastation》など
全てのプレイヤーの何らかのリソースを同じ数に揃えるリセット呪文。
いつも自分のデッキが他人よりも回っていればいいのだが、そこは対戦ゲーム、他人の方がブン回ってマナベースや手札が充実している事もあるだろう。
そんな時、自分もマナ加速やドローで後追いで追いつくのは案外困難だ。マナ加速や手札充実は、早いターンであればあるほど効果は大きく、後手に回りっぱなしになる事の方が多い。
そんな時に役立つのがリセット呪文だ。1枚のカードで他人の優位を覆し、自分と同じ土俵に降りて来てもらえる。
また、自分の有利を確立している場合にも使える。
その有利を確立しているものとは別のカードタイプを、破壊する方向のリセットで数を揃える事により、有利な状況を固定できる。
欠点としては、自分が有利な状況では無駄牌になる事。自分の手札が10枚で他プレイヤーがみんな3枚なのに、《Timetwister》をわざわざ撃つ義理はない。
リセットは、あくまで特定のリソースの均衡を整えるだけで、かならずしも利益をもたらすとは限らないのだ。
そのため、これらのカードもサーチ前提で枚数を抑え気味にする事が望ましい。
青でソーサリーの《Timetwister》、黒の《毒の濁流/Toxic Deluge》、緑の《進歩の災い/Bane of Progress》などは、サーチのしやすいカードタイプ(黒はなんでもサーチだけど)なので扱いやすい。
逆に緑単色で《無垢への回帰/Seeds of Innocence》などは、サーチ出来ないので引きに任せる事になるため、必要時にあるとは限らず使いにくくなるだろう。
ただ、リセットが欲しい場面は案外多い。なのでサーチに噛み合わずとも入れざるを得ない事もある。
そうして、安定して必要な時にリセットを撃つため、サーチが無ければ枚数を増やすしかない。
《戦の惨害/Ravages of War》や《燎原の火/Wildfire》といった同系再販や類似カードが投入される事もままある。
もちろん入れすぎ注意。サーチしにくいリセットを複数投入する型は、重くて無駄牌になる場面が多いカードがデッキに増えるリスクがあるという事は意識しておく事。
・奪取系
《袖の下/Bribery》《知識の搾取/Knowledge Exploitation》《法務官の掌握/Praetor’s Grasp》など
上のようなパワーカードだが、色によってはサーチしにくかったり、そもそもその色ではカードプールにない事もあるし、あったとしてもデッキ内の枚数が増えれば必要ない時に手札で腐るリスクも増える。
だったら他人のデッキからサーチして、そのまま使ってしまえばいいじゃない! というのがこれらのカード群。
相応に重いのだが、勝ち手段、好きなカードタイプのリセット、強力な妨害置物など、好きなカードを必要に応じてキャストする事が出来る。
……ただし、他人のデッキにそれが入っていればだが。
デッキに入れにくい、強力かつ場に最も即したカードをサーチ+キャストをそこそこのマナコストとカード1枚だけで実現する事に対するリスクは、この事に集約される。
対戦相手のデッキをこれまでのゲーム展開の中で理解して対象を選ぶ事、その山札に期待しすぎない事を意識すれば、これらのカードはとても良い仕事をしてくれる事だろう。
また、類似品として《金粉のドレイク/Gilded Drake》《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》のようなコントロール奪取カードがある。
これらは盤面から借り受けてくるために確実な対象を選ぶ事が出来るのだが、必然的にライブラリーサーチに比べて選択肢が狭くなりがちだったり不安定だったりする。
とりあえずここまで。続きはまた今度。
今後の項目、予定は以下の通り。
☆太いカードの具体例 の続き
◎ドロー
◎軸の違う勝ち筋
◎土地
☆太ければいいってもんでもない
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