【EDH】 大会におけるメタゲーム その2
2016年6月27日 EDH環境考察前回の記事(http://kakkokari.diarynote.jp/201606271953431067/)の続き。
実際のEDHのメタゲームについて。
今回は、自分なりに分けて考えたアーキタイプ解説。長いよ。
☆トップメタ
個人的に考えるトップメタは、《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》と青黒茶系デッキ。
そのどちらもが、地力と安定性、嵌った時の爆発力を、他のデッキタイプよりも高いポテンシャルで持っている。
まずはその2タイプのデッキについて、それぞれの強みを書いていく。
◎エドリック
代表格であるエドリックと名付けたが、実際の所このアーキタイプのジェネラルは2体。《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》と《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》である。
・《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
最強ジェネラルの呼び声も高く、実際のパワーもかなりあるデッキ。
デッキコンセプトとしては、ジェネラルの能力でマナ加速になるクリーチャーを《泥棒カササギ/Thieving Magpie》に変え、それで得られるアドバンテージを追加ターンカードで倍々に増やして殴り殺す、というもの。
ジェネラルが3マナと軽く、2回程度なら再キャストも容易で、さらには《沿岸の海賊行為/Coastal Piracy》《タッサの二叉槍/Bident of Thassa》といった第二、第三のジェネラルもデッキに仕込む事が出来る。
その上手札を増やすリソースは山ほど入っているクリーチャー「すべて」であるため、非常にしぶとい。
カウンター、バウンス、コントロール奪取といった方法であらゆる脅威に対応出来る妨害カード有する青を固有色に持っているため、防御力が高い。
勝ちパターンの全てのカードが複数積む事が可能で、ハイランダーにも拘らず金太郎飴のような構築が出来るため、デッキの安定性がとても高い。
・《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》
得られるアドバンテージを手札からマナに変えたようなエドリック。そこに色を足し、再キャストを容易にした感じ。
デッキコンセプトとしては、エドリック同様のものに加え、能力を活かしたコンボを複数積み込んだ形のものが多い。
エドリック同様、デッキの防御力を確保する青い固有色に加え、4マナでジェネラルをリキャストできる能力も相まって非常にしぶとい。このリキャスト能力が本当に曲者で、盤面にクリーチャーを確保し続ける能力は間違いなくエドリック以上。
コンボでいきなり勝ちに行くパターンも持っているので、追加ターンループが撲殺レベルまでつながらずともゲームを終わらせる力があるのも利点。
ただし、能力で得られるアドバンテージが手札ではなくマナなので、ハンドアドバンテージをデッキ内の《沿岸の海賊行為/Coastal Piracy》や《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》で稼いでいく必要があるのが欠点。そのため、ハンドアドバンテージの面に関してはエドリックに比べて不安が残る。
◎青黒茶系
ジェネラルは様々、勝ち筋も様々だが、共通したコンセプトとしては、多人数戦で強い青と黒の得意分野(カウンター、除去、ドロー)の高いカードパワーを背景にしたパワーゲームとなっている。
青と黒には、カードプール平均から見て全体的にカードパワーの高いカードが多く、またバランスも良い。
ハイランダーで安定性を提供するサーチにおける最優はどんなカードもサーチ出来る黒だし、パーマネントのみならずスペルにも対応できるカウンターは青にしかない。
多人数戦のため、ライフが多いためライフレースになりにくく、アドバンテージゲームになりやすいEDH環境ではドローソースが非常に大切なのだが、そのドローを得意とする色のツートップは青と黒だ。
色的に苦手なのはマナ加速くらいなものなのだが、それも《太陽の指輪/Sol Ring》《魔力の櫃/Mana Vault》を代表とする古い時代にあったバランスの悪い優秀なアーティファクト群がフォローしてくれる。
これらのカードが適切な配分で入ったデッキというその時点で、すでに他の色のデッキに対するアドバンテージになっている。
ジェネラルを一度もキャストしないままながら、強カードの群れでずっと有利を確保し続け、そのまま勝ってしまう青黒系デッキの姿は良く見られる光景だ。ジェネラルが重いと特に良く見る。
さらには、EDHのライフ40というルールを背景にして強さを増した黒のカードが、他デッキとの地力の差を後押しする。
悪名高い《むかつき/Ad Nauseam》《ネクロポーテンス/Necropotence》はもちろん、遅くとも5~7ターン目には勝負が決まる高速のゲーム展開で勝ちきるコンセプトでは《吸血の教示者/Vampiric Tutor》や《夜の囁き/Night’s Whisper》などの細かいロスライフがゲームに響く事は稀だ。
☆トップメタへの対抗策
両デッキ共に、序盤・中盤・終盤と隙がなく、安定性も高く、爆発力があるデッキだ。
ただ、その性質は全く同じではない。エドリックが若干安定性重視、青黒茶が若干爆発力重視といった違いはある。
それだけではない。弱点だってそれぞれ違う。
次にはそれらに対する対抗策について。
◎対エドリック
小型の軽量クリーチャーを中心としたコンセプトである上、エドリック自身も2/2と小粒のクリーチャーであるため、点数が2、3点程度の全体火力を含めたクリーチャーに対する全体除去が有効だ。
ただ、エドリック側(特にジェネラル再キャストが容易なデリーヴィーならなおさら)もクリーチャーだけなら絶え間なく追加できる構築なので、一回盤面を流した程度だと楽々立ち直ってくる。
盤面を流した後に手早く勝ち切れるような構築か、ある程度頻繁に除去を撃ち込めるような構築が求められる。
キーとなる追加ターンを打ち消すカウンターはそこそこ有効だが、デッキの肝はジェネラル能力によるアドバンテージでの物量戦にこそある。除去に比べると有効度は一段落ちてしまうだろう。
ただ、デリーヴィーに対しては、《沿岸の海賊行為/Coastal Piracy》をはじめとするハンドアドバンテージ要素をピンポイントで止めていくと動きが止まる。コンボパーツにも有効な事もあり、カウンターはエドリックよりも強力に働くだろう。
◎対青黒茶
全体的に高いパフォーマンスを持っているデッキであり、ピンポイントでの対処が難しい。
共通して有効なのはマナソース周りを妨害する方法。例外なくアーティファクトに加速を頼っているので、《無のロッド/Null Rod》や《破滅的な行為/Pernicious Deed》などは非常に有効に働く。
また、多色のデッキには《血染めの月/Blood Moon》などの特殊地形対策も有効だが、アーティファクトによるマナベースも持っているため、こちらだけだと対応が片手落ちになりやすい。
☆その他の良く見かけるコンセプト
◎トップメタをメタった形
赤緑白あたりを中心とした妨害カードを用い、トップメタの機能不全を狙いながら戦うデッキ。
クリーチャーとアーティファクトを咎める関係上、緑を用いて加速にランプスペルを採用している形が多い。
嵌ると強いのだが、強力な妨害カードも所詮はデッキに1枚でトップメタと比較すると安定性に欠け、実際の勝率を考えると厳しいのが現実。
「エドリック」「青黒茶」のどちらかに対策を寄せたパターンも存在し、その場合は比較的安定して対象アーキタイプに有利を取れる。
特にエドリック対策特化型の場合は、加速にアーティファクトを使えるので、現実的な速度を保ったままで色の自由度が増えるという利点がある。
◎緑系高速コンボ
安定性ではトップメタに劣るとも爆発力なら負けないと突っ走るデッキ。
《クローサの庇護者シートン/Seton, Krosan Protector》や《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》なんかが代表格か。
緑はマナ加速に関してはトップであり、また、妨害をあまり気にしなければコンボの速度やアドバンテージ能力もかなり高い。
その爆発力に頼ってブン回りでトップメタを抑えてしまおうというコンセプトがこれらのアーキタイプだ。
最高速ならばトップメタと比肩するものの、特にカウンターが使えない事から防御力が低く、ゲームがもつれると厳しくなりやすい。
また、色的にどうしてもクリーチャーが多くなる性質上、エドリックに耐性がある。
◎「トップメタをメタった形」「緑系高速コンボ」のハイブリット
ある程度トップメタに対するメタカードを積みつつ、ブン回り重視のデッキコンセプトを維持しているアーキタイプ。
《帰還した探検者、セルヴァラ/Selvala, Explorer Returned》、《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》辺りが代表格か。前者は青黒茶系に対する耐性が高く、後者は前者と後者にある程度平均的に対処出来る構築が可能。
ぶっちゃけ両方のいいトコ取り的な強さがある。
少なくとも、特化せざるを得ない「トップメタをメタった形」に妨害力で劣るのはともかく、「緑系高速コンボ」の爆発力は特化型に比べてほとんど失われていない。
前者の型に対して後れを取っている部分にしても、僅かな遅延を活かして手早く勝ちに行けるアドバンテージがあるのでコンセプト的にも決して劣っているばかりではない。
◎非青の黒系高速コンボ
EDHにおける最速の勝ち手段、《むかつき/Ad Nauseam》《生き埋め/Buried Alive》《隠遁ドルイド/Hermit Druid》《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》を用いた高速コンボ群。
黒を軸にしたコンボのため、青黒茶系に仕込まれている事も多々あるのだが、ここではそれ以外のアーキタイプとして取り上げる。
《ギトラグの怪物/The Gitrog Monster》《アンデッドの大臣、シディシ/Sidisi, Undead Vizier》あたりが代表格か。
どれも高速勝つ少数のカードで突然勝ちに行けるパワーがあり、爆発力は恐らく全体から見ても間違いなくアーキタイプ最優。
欠点は、いかに黒のサーチを駆使しようとも、毎回2~3キルを叩きつけるだけの安定性の確保は難しい、という点だ。
初手やそこからのドローが悪いと大した攻撃も防御も出来ず、もしうまく高速で仕掛ける事が出来ても止められると復帰も難しく、そのままずるずるとアドバンテージを失い続けて……というのが良く見る負けパターン。
どの高速コンボも、デッキ構築次点で制限を受けたり、無駄牌が多かったりといったリスクを背負っている事もその負けパターンの発生に拍車をかける。
複数回の対戦を重ねる大会形式では、ある程度の勝率アベレージを稼ぐ事は出来るだろうが、1回勝負の場合は結構な運ゲーになったりする。
このアーキタイプの良くない所は、上に書いた通り青黒茶系のデッキに仕込む事が可能な点。
安定性が高く、どの時間帯でも高いポテンシャルで戦える青黒茶系に爆発力が加わるので、非常に対処が困難となる。
しかし、だからと言って「青黒茶」+「黒コンボ」が最強アーキタイプとはなり得ない。上で説明した通り、黒コンボには構築制限や無駄牌の多さがあるためにデッキの安定性が落ちてしまう欠点があり、そのデメリットまでついて来てしまうのだ。
その辺りは、ジェネラルやデッキコンセプトとの兼ね合いで相性があるので個別ジェネラルごとに変わってくる。それに関しては、ここで書くと長くなるので省略。
◎ビートダウンジェネラル
主に「トップメタをメタった形」デッキとのハイブリットが多い。
正直個人的には修羅の道だと思っているのだが、大会ルールが「プレイヤーキル数を基にしたポイント制」ならばチャンスはある。
隙を見て、無防備な対戦相手をピンポイントでなで斬りにしていけばある程度の成績を上げる事は期待出来るだろう。
それでも高速コンボデッキ以上のポイントを取れるか怪しいのが辛い。苦行アーキ。
ざっくりとした分け方だけど、アーキタイプは大体こんな感じ。
非常に長くなったけど、今回はこの辺りで。
次があれば多分最終回。
どのアーキタイプを選ぶのが勝ち組になれるかのお話になる予定。
実際のEDHのメタゲームについて。
今回は、自分なりに分けて考えたアーキタイプ解説。長いよ。
☆トップメタ
個人的に考えるトップメタは、《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》と青黒茶系デッキ。
そのどちらもが、地力と安定性、嵌った時の爆発力を、他のデッキタイプよりも高いポテンシャルで持っている。
まずはその2タイプのデッキについて、それぞれの強みを書いていく。
◎エドリック
代表格であるエドリックと名付けたが、実際の所このアーキタイプのジェネラルは2体。《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》と《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》である。
・《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
最強ジェネラルの呼び声も高く、実際のパワーもかなりあるデッキ。
デッキコンセプトとしては、ジェネラルの能力でマナ加速になるクリーチャーを《泥棒カササギ/Thieving Magpie》に変え、それで得られるアドバンテージを追加ターンカードで倍々に増やして殴り殺す、というもの。
ジェネラルが3マナと軽く、2回程度なら再キャストも容易で、さらには《沿岸の海賊行為/Coastal Piracy》《タッサの二叉槍/Bident of Thassa》といった第二、第三のジェネラルもデッキに仕込む事が出来る。
その上手札を増やすリソースは山ほど入っているクリーチャー「すべて」であるため、非常にしぶとい。
カウンター、バウンス、コントロール奪取といった方法であらゆる脅威に対応出来る妨害カード有する青を固有色に持っているため、防御力が高い。
勝ちパターンの全てのカードが複数積む事が可能で、ハイランダーにも拘らず金太郎飴のような構築が出来るため、デッキの安定性がとても高い。
・《浄火の戦術家、デリーヴィー/Derevi, Empyrial Tactician》
得られるアドバンテージを手札からマナに変えたようなエドリック。そこに色を足し、再キャストを容易にした感じ。
デッキコンセプトとしては、エドリック同様のものに加え、能力を活かしたコンボを複数積み込んだ形のものが多い。
エドリック同様、デッキの防御力を確保する青い固有色に加え、4マナでジェネラルをリキャストできる能力も相まって非常にしぶとい。このリキャスト能力が本当に曲者で、盤面にクリーチャーを確保し続ける能力は間違いなくエドリック以上。
コンボでいきなり勝ちに行くパターンも持っているので、追加ターンループが撲殺レベルまでつながらずともゲームを終わらせる力があるのも利点。
ただし、能力で得られるアドバンテージが手札ではなくマナなので、ハンドアドバンテージをデッキ内の《沿岸の海賊行為/Coastal Piracy》や《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》で稼いでいく必要があるのが欠点。そのため、ハンドアドバンテージの面に関してはエドリックに比べて不安が残る。
◎青黒茶系
ジェネラルは様々、勝ち筋も様々だが、共通したコンセプトとしては、多人数戦で強い青と黒の得意分野(カウンター、除去、ドロー)の高いカードパワーを背景にしたパワーゲームとなっている。
青と黒には、カードプール平均から見て全体的にカードパワーの高いカードが多く、またバランスも良い。
ハイランダーで安定性を提供するサーチにおける最優はどんなカードもサーチ出来る黒だし、パーマネントのみならずスペルにも対応できるカウンターは青にしかない。
多人数戦のため、ライフが多いためライフレースになりにくく、アドバンテージゲームになりやすいEDH環境ではドローソースが非常に大切なのだが、そのドローを得意とする色のツートップは青と黒だ。
色的に苦手なのはマナ加速くらいなものなのだが、それも《太陽の指輪/Sol Ring》《魔力の櫃/Mana Vault》を代表とする古い時代にあったバランスの悪い優秀なアーティファクト群がフォローしてくれる。
これらのカードが適切な配分で入ったデッキというその時点で、すでに他の色のデッキに対するアドバンテージになっている。
ジェネラルを一度もキャストしないままながら、強カードの群れでずっと有利を確保し続け、そのまま勝ってしまう青黒系デッキの姿は良く見られる光景だ。ジェネラルが重いと特に良く見る。
さらには、EDHのライフ40というルールを背景にして強さを増した黒のカードが、他デッキとの地力の差を後押しする。
悪名高い《むかつき/Ad Nauseam》《ネクロポーテンス/Necropotence》はもちろん、遅くとも5~7ターン目には勝負が決まる高速のゲーム展開で勝ちきるコンセプトでは《吸血の教示者/Vampiric Tutor》や《夜の囁き/Night’s Whisper》などの細かいロスライフがゲームに響く事は稀だ。
☆トップメタへの対抗策
両デッキ共に、序盤・中盤・終盤と隙がなく、安定性も高く、爆発力があるデッキだ。
ただ、その性質は全く同じではない。エドリックが若干安定性重視、青黒茶が若干爆発力重視といった違いはある。
それだけではない。弱点だってそれぞれ違う。
次にはそれらに対する対抗策について。
◎対エドリック
小型の軽量クリーチャーを中心としたコンセプトである上、エドリック自身も2/2と小粒のクリーチャーであるため、点数が2、3点程度の全体火力を含めたクリーチャーに対する全体除去が有効だ。
ただ、エドリック側(特にジェネラル再キャストが容易なデリーヴィーならなおさら)もクリーチャーだけなら絶え間なく追加できる構築なので、一回盤面を流した程度だと楽々立ち直ってくる。
盤面を流した後に手早く勝ち切れるような構築か、ある程度頻繁に除去を撃ち込めるような構築が求められる。
キーとなる追加ターンを打ち消すカウンターはそこそこ有効だが、デッキの肝はジェネラル能力によるアドバンテージでの物量戦にこそある。除去に比べると有効度は一段落ちてしまうだろう。
ただ、デリーヴィーに対しては、《沿岸の海賊行為/Coastal Piracy》をはじめとするハンドアドバンテージ要素をピンポイントで止めていくと動きが止まる。コンボパーツにも有効な事もあり、カウンターはエドリックよりも強力に働くだろう。
◎対青黒茶
全体的に高いパフォーマンスを持っているデッキであり、ピンポイントでの対処が難しい。
共通して有効なのはマナソース周りを妨害する方法。例外なくアーティファクトに加速を頼っているので、《無のロッド/Null Rod》や《破滅的な行為/Pernicious Deed》などは非常に有効に働く。
また、多色のデッキには《血染めの月/Blood Moon》などの特殊地形対策も有効だが、アーティファクトによるマナベースも持っているため、こちらだけだと対応が片手落ちになりやすい。
☆その他の良く見かけるコンセプト
◎トップメタをメタった形
赤緑白あたりを中心とした妨害カードを用い、トップメタの機能不全を狙いながら戦うデッキ。
クリーチャーとアーティファクトを咎める関係上、緑を用いて加速にランプスペルを採用している形が多い。
嵌ると強いのだが、強力な妨害カードも所詮はデッキに1枚でトップメタと比較すると安定性に欠け、実際の勝率を考えると厳しいのが現実。
「エドリック」「青黒茶」のどちらかに対策を寄せたパターンも存在し、その場合は比較的安定して対象アーキタイプに有利を取れる。
特にエドリック対策特化型の場合は、加速にアーティファクトを使えるので、現実的な速度を保ったままで色の自由度が増えるという利点がある。
◎緑系高速コンボ
安定性ではトップメタに劣るとも爆発力なら負けないと突っ走るデッキ。
《クローサの庇護者シートン/Seton, Krosan Protector》や《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》なんかが代表格か。
緑はマナ加速に関してはトップであり、また、妨害をあまり気にしなければコンボの速度やアドバンテージ能力もかなり高い。
その爆発力に頼ってブン回りでトップメタを抑えてしまおうというコンセプトがこれらのアーキタイプだ。
最高速ならばトップメタと比肩するものの、特にカウンターが使えない事から防御力が低く、ゲームがもつれると厳しくなりやすい。
また、色的にどうしてもクリーチャーが多くなる性質上、エドリックに耐性がある。
◎「トップメタをメタった形」「緑系高速コンボ」のハイブリット
ある程度トップメタに対するメタカードを積みつつ、ブン回り重視のデッキコンセプトを維持しているアーキタイプ。
《帰還した探検者、セルヴァラ/Selvala, Explorer Returned》、《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》辺りが代表格か。前者は青黒茶系に対する耐性が高く、後者は前者と後者にある程度平均的に対処出来る構築が可能。
ぶっちゃけ両方のいいトコ取り的な強さがある。
少なくとも、特化せざるを得ない「トップメタをメタった形」に妨害力で劣るのはともかく、「緑系高速コンボ」の爆発力は特化型に比べてほとんど失われていない。
前者の型に対して後れを取っている部分にしても、僅かな遅延を活かして手早く勝ちに行けるアドバンテージがあるのでコンセプト的にも決して劣っているばかりではない。
◎非青の黒系高速コンボ
EDHにおける最速の勝ち手段、《むかつき/Ad Nauseam》《生き埋め/Buried Alive》《隠遁ドルイド/Hermit Druid》《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》を用いた高速コンボ群。
黒を軸にしたコンボのため、青黒茶系に仕込まれている事も多々あるのだが、ここではそれ以外のアーキタイプとして取り上げる。
《ギトラグの怪物/The Gitrog Monster》《アンデッドの大臣、シディシ/Sidisi, Undead Vizier》あたりが代表格か。
どれも高速勝つ少数のカードで突然勝ちに行けるパワーがあり、爆発力は恐らく全体から見ても間違いなくアーキタイプ最優。
欠点は、いかに黒のサーチを駆使しようとも、毎回2~3キルを叩きつけるだけの安定性の確保は難しい、という点だ。
初手やそこからのドローが悪いと大した攻撃も防御も出来ず、もしうまく高速で仕掛ける事が出来ても止められると復帰も難しく、そのままずるずるとアドバンテージを失い続けて……というのが良く見る負けパターン。
どの高速コンボも、デッキ構築次点で制限を受けたり、無駄牌が多かったりといったリスクを背負っている事もその負けパターンの発生に拍車をかける。
複数回の対戦を重ねる大会形式では、ある程度の勝率アベレージを稼ぐ事は出来るだろうが、1回勝負の場合は結構な運ゲーになったりする。
このアーキタイプの良くない所は、上に書いた通り青黒茶系のデッキに仕込む事が可能な点。
安定性が高く、どの時間帯でも高いポテンシャルで戦える青黒茶系に爆発力が加わるので、非常に対処が困難となる。
しかし、だからと言って「青黒茶」+「黒コンボ」が最強アーキタイプとはなり得ない。上で説明した通り、黒コンボには構築制限や無駄牌の多さがあるためにデッキの安定性が落ちてしまう欠点があり、そのデメリットまでついて来てしまうのだ。
その辺りは、ジェネラルやデッキコンセプトとの兼ね合いで相性があるので個別ジェネラルごとに変わってくる。それに関しては、ここで書くと長くなるので省略。
◎ビートダウンジェネラル
主に「トップメタをメタった形」デッキとのハイブリットが多い。
正直個人的には修羅の道だと思っているのだが、大会ルールが「プレイヤーキル数を基にしたポイント制」ならばチャンスはある。
隙を見て、無防備な対戦相手をピンポイントでなで斬りにしていけばある程度の成績を上げる事は期待出来るだろう。
それでも高速コンボデッキ以上のポイントを取れるか怪しいのが辛い。苦行アーキ。
ざっくりとした分け方だけど、アーキタイプは大体こんな感じ。
非常に長くなったけど、今回はこの辺りで。
次があれば多分最終回。
どのアーキタイプを選ぶのが勝ち組になれるかのお話になる予定。
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