統率者2015プレビューの影響で間が空いたけど、前回(http://kakkokari.diarynote.jp/201511020127094392/)の続き。
今回は、土地以外のマナベース、特にアーティファクトに関するお話。


☆土地以外のマナ加速の重要性
土地は安定したマナベースなのだが、どうしても「セットは1ターンに1枚」という制限があり、1枚で複数のマナを出せる土地も非常に限定されているせいで高速展開しにくい不安点がある。
土地だけでは、他のマナ加速を併用したデッキに速度で置いていかれてしまうのだ。

そんな訳でEDHでは、自分もその速度に置いていかれないように土地以外のマナベースを用いる事になる。
一般的なデッキのマナベースの比率は「土地30枚、土地以外20枚」程度と言われており、土地以外のマナ加速も土地に負けず劣らず重要なマナベースとなっている。



☆アーティファクト
《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》のようなマナクリーチャーや《繁茂/Wild Growth》のような土地エンチャント、《自然の知識/Nature’s Lore》のようなランプスペルのない緑以外のデッキの場合、マナ加速のほとんどはアーティファクトに頼る事になる。

マナクリーチャーと比べた場合の利点としては召喚酔いがない点が、
ランプスペルと比べた場合の利点としてはマナレシオの良さが、
土地エンチャントと比べた場合の利点としてはマナを分けて使える小回りの良さがあり、
マナ加速にアーティファクトを使ったデッキは、決して緑デッキに劣る物ではない。

ただし、
・マナレシオ自体は緑(各種1マナのマナクリーチャーや繁茂など)に劣る
・マナ効率がよい加速は無色しか出さない事が多く、色事故を誘発しやすい
・どの色も使いがちなため対策される事が多い
といった欠点もある。

ここからは具体例を挙げていく


◎0~1マナ
土地1枚からでも展開できるマナファクト。マリガン基準を緩められるのが偉い。
1ターン目のマナ増加は、実質展開を1ターン早める程度の効果はあり、非常に強力。
高速戦闘になりがちで、かつ特殊なマリガンルールなEDHでは、これらをいかに初手に握っているかが大きくゲームに影響する。
特にリスクの少ないものは可能な限り投入したい。

・《Mana Crypt》《太陽の指輪/Sol Ring》《魔力の櫃/Mana Vault》
軽量のマナファクト代表その1。
1マナ以下で出せて複数のマナを出せるカードであり、最序盤の加速で活躍する。
1ターン目に展開できれば他プレイヤーに展開で大きな差を付けられるので、可能な限り投入したい。

・《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》《金属モックス/Chrome Mox》《水蓮の花びら/Lotus Petal》《Jeweled Amulet》
軽量マナファクト代表その2。
0マナで出てきて、1マナを確保する。上に挙げたマナファクトほどではないが最序盤の加速に貢献するので同じく枚数を取りたい。
ただ、これらのカードは中盤以降に引くと土地以下の効果なのでデッキを選ぶので注意。

・《オパールのモックス/Mox Opal》
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》系同様0マナで出てきて1マナを出せるアーティファクトなのだが、条件が厳しいので最序盤の加速は期待できない。

・《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
大体《Black Lotus》なのだが、でっかいデメリットが付いている。
ジェネラルというデメリットを無視して使えるカードがあるので他フォーマットよりは多少使いやすいのだが、それでも安易に投入できるカードではない。
高速ジェネラルキャストを主眼に据えたデッキならば投入されるだろう。


◎2マナ
マナ加速アーティファクトの中心となるマナ域。
特徴はそれぞれだが「2マナで出て1マナを出す」というカードが数多く揃っている。
タップインするものも幾つかあるのだが、そうするとせっかくの召還酔いが無い利点が消えてしまうので、可能な限りアンタップインのものを採用したい。

・各種タリスマン
《発展のタリスマン/Talisman of Progress》に代表される。
《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》のようなダメージランドと同じ能力。(ちなみに、こんな感じで何らかの土地を効果そのままで2マナのアーティファクトにしたようなカードが結構ある。これからも次々出てくるだろう)
非常に使い勝手が良いのだが、友好色にしか存在しないのが悔やまれる。

・各種印鑑
《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet》に代表される。
《広漠なるスカイクラウド/Skycloud Expanse》のようなフィルター効果を持つ。
こちらはタリスマンとは逆で、土地バージョンでは存在しない対抗色版もあるのがありがたい。

・《友なる石/Fellwar Stone》
《風変わりな果樹園/Exotic Orchard》と同様の効果。
アンタップインでマナが出るものが、土地よりも選択肢が少ないために風変わりな果樹園以上の使い勝手を持つ。
特に単色デッキではありがたい存在だろう。

・《精神石/Mind Stone》
アンタップインで無色1マナが出せて、1マナタップ生け贄で1ドローに換わる。
最低限マナ加速としての基準を満たしつつ、マナの余りがちな終盤ではドローに変えられる柔軟性が魅力。
出るマナが無色な事もあって、幅広いデッキに投入され得るだろう。

・《思考の器/Thought Vessel》
期待の新人。《聖遺の塔/Reliquary Tower》と同様の効果。
これで、《砕けたパワーストーン/Fractured Powerstone》を無理に投入するような悲しい事案は減るはずである。
《ネクロポーテンス/Necropotence》《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》などを使うデッキだと、最低限の加速をしながらキーカードにすらなる。

・《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
0マナだけど主に使いがちなこのマナコスト帯で紹介。2マナ注ぎ込むごとに出せるマナが1マナ増える0マナのマナファクト。
8割方《砕けたパワーストーン/Fractured Powerstone》なのだが、中盤以降に引けば《シッセイの指輪/Sisay’s Ring》や《夢石の面晶体/Dreamstone Hedron》(ただしサクれない)、《潮吹きの暴君/Tidespout Tyrant》た《むかつき/Ad Nauseam》と組めば0マナカード、と意外と小回りが利く。

・《砕けたパワーストーン/Fractured Powerstone》
2マナで出て無色1マナが出る基本性能に加え、次元ダイスが振れる。
次元ダイスってなんだ。

・《厳かなモノリス/Grim Monolith》
《魔力の櫃/Mana Vault》同様の半使い切りのマナ加速。
2マナであるため最序盤のロケットスタートには使えないが、3ターン目に大きく動けるのは中々強い。
特に、5マナ以上の重めの強カードが多いデッキに向いている。



ここから下はオマケのタップインマナファクト紹介。主に単色デッキを生息域とする。

・各種ダイアモンド
《乳白色のダイアモンド/Marble Diamond》に代表される。
《平地/Plains》などの基本土地と同様の能力……なのだがタップイン。そのためとても使い勝手が悪い。
《発展のタリスマン/Talisman of Progress》があるんだから、いい加減アンタップインのダイアモンドを出して欲しいものである。

・《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》
戦場に出る際に色を選べるダイアモンド。
ダイアモンド同様使い勝手はよくないのだが、単色だとダイアモンドの数を水増し出来るので意外と便利。


◎3マナ以上
土地のみでキャストしようとすると、基本戦場に出てくるのが3ターン目以降であり、強く使うためには他のマナ加速を前提とする必要がある。
そのため、性能は高いものは多くともあまり数は入らない傾向がある。

・《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》
《魔力の櫃/Mana Vault》シリーズ第3弾。
ここまで来ると流石に重く、一時的な加速としての性能が怪しくなってくるので、コンボパーツになっているなり《通電式キー/Voltaic Key》《オパールのモックス/Mox Opal》と噛み合う枚数を増やしたいなりの理由がない限りは入れない方が無難。

・《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》《パラジウムのマイア/Palladium Myr》
3マナ、タップインや召喚酔いありで効果は《太陽の指輪/Sol Ring》。弱い。
……んだけど、1枚のカードで2マナを出せるのは潜在的なアドバンテージになる。1枚で2マナ出せるなら、それは土地2枚を並べているも同然なのだから。
そんな訳で使うデッキでは使う。特にアドバンテージの取りにくいデッキには、これらの存在が地味な救世主になっていたりする。

・《彩色の灯籠/Chromatic Lantern》
色マナが出るとは言え、3マナキャスト1マナ出すだけ。効率は悪い。
しかし土地から好き放題に色マナを出せるようになるので、一部の色拘束の強いデッキや《血染めの月/Blood Moon》で即死するデッキに保険で入れておくと地味にいい働きをする。

・《連合の秘宝/Coalition Relic》
《彩色の灯籠/Chromatic Lantern》同様の微妙なマナ効率であるのだが、使わなかった場合に1マナを次の自ターン向けに溜める事が出来る。
これにより、瞬間的に3マナのカード1枚で色付きのマナを2マナ出す事が出来る。
この爆発力から、微妙なマナレシオながら採用に足るスペックとなっている。

・《スランの発電機/Thran Dynamo》
4マナ、アンタップインで3マナ出す。
《Mana Crypt》や《太陽の指輪/Sol Ring》の陰に隠れがちだが、マナファクトにしてはかなり効率が高い。出るマナが無色とは言え、4マナ1枚で3マナ出せるというのは、緑でも中々出来るものではない。
そのためか、このカード以降同等の効率のマナ加速は刷られていない。
そんな理由から、同マナコスト帯が渋滞しないのもあり、特に重めの強カードが多いデッキには是非とも入れておきたい。

・《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
《スランの発電機/Thran Dynamo》に1マナ足して5マナにしたら色が付いた。
無色のマナ加速が大半を占めるマナファクトの中にあって、毎ターン任意の3色を出せる効果は非常に貴重。
重いだけあってしっかり強い。《スランの発電機/Thran Dynamo》を入れるようなデッキなら一緒に投入していいだろう。


大体こんな感じ。
時間が遅くなってしまったので代表的な所を見落としちゃったりとかしてるかも。

思いの外長くなったのでさらにもう一回だけ続きます。
最後は「アーティファクト以外のマナ加速」について。

コメント

かんなな
2015年11月13日8:25

毎回とても参考にさせていただいてますー。
ここに出てないのでEDHで他に見るのは虹色のレンズとか睡蓮の花びらとかですかねー
僕はつい最近まで砕けたパワーストーンの存在が分からず他人のデッキを使用していた時に本気で次元ダイスってなんだ?とググッてました…w

零児
2015年11月13日14:59

かっこかりさんやかんななさんが上げてないところだと、レイモスシリーズや面晶体の記録庫、使いきりなら五元のプリズムなんかも。

レイモスは瞬間的に2マナ出せる、記録庫はドローになるので腐らない、五元のプリズムはストーム稼ぎにも貢献する、とそれぞれに強みは持ってるかと思いますね

かっこかり
2015年11月13日21:32

>かんななさん
コメントありがとうございます。
めっちゃ使ってるのに《虹色のレンズ/Prismatic Lens》を素で忘れてましたw
候補が多いカードを眠い状態でピックアップしてるとホント駄目ですねw

>零児さん
レイモスシリーズや五元のプリズムは、入るデッキが結構狭いと判断して外しました。
良いカードだとは思いますが全部書いてるとキリがないw
特に五元のプリズムは、性能の割りに採用率が低い良カードだと個人的に思ってます。

面晶体の記録庫も迷った末に書かなかったのですが、上に書いた物よりももう少し広いデッキに入りそうなので書いても良かったかも知れませんね。

nophoto
通りすがりの名無し
2015年11月16日0:30

単色デッキならばダイヤモンド枠に星のコンパスもありますね。また、3マナ枠は堅牢なダークスティールの鋳塊や、明らかにオーバースペックの統率者の宝球、後半でも使える霊体のヤギ角あたりも候補に挙がりますよ。

かっこかり
2015年11月17日20:47

>通りすがりの名無しさん
《星のコンパス/Star Compass》もほぼダイアモンド扱い出来るいいカードですね。
特殊地形多めだと、ごく稀に手札に基本土地が無くて「先行1ターン目友なる石現象」が起こるのが使いにくいですが。特に《古えの墳墓/Ancient Tomb》から1ターン目に出した時とか。

3マナの枠はファーストアクションにするには重い所なので、基準を少し厳しめにしています。
動きをスムーズにするためにはデッキに数枚取るのがせいぜいなので、紹介は少量に抑えさせていただきました。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索