今回は、特に多色デッキのマナベースについて。

◎なんで緑以外?
緑を使うデッキは、土地部分はともかくその他のマナ加速についてだと、《極楽鳥/Birds of Paradise》といったクリーチャーや《自然の知識/Nature’s Lore》といったランプスペル、《楽園の拡散/Utopia Sprawl》といった土地エンチャントなど、軽さや色の融通の面で優秀なカードを多数有するため、かなり楽にマナベースを構築できるので除外した。

◎なんで3色以上?
単色の場合は、土地に関しては基本的に基本土地で事足りるし、その他のマナ加速についてもカードプールの狭さのせいで選択肢が多くない。そのため、逆説的に構築でカード選択に迷う事が少ないので除外した。
軽めのマナ加速優先とかタップインいらないとか中途半端な無色土地より基本土地のがよっぽど強いとかあるけど、その辺はまた別の話、基本的な構築論になるし、大概がこの後に書く3色以上の話で書ける事なので割愛。

2色の場合も、単色に似てマナ加速や土地の選択肢が少ないおかげで迷う事が少ないと思うので割愛。
細かい事を書くと構築論に突っ込むし3色以上の応用で事足りるから略すのも同じ。




☆土地
という訳で、今日はは土地についてのお話。
その他のマナ加速についてはまた今度書く予定。

土地は、基本的にアンタップインが最低条件。展開の速いEDHにおいては、「タップイン=勝手に自分のターンを1つ飛ばす」も同然になる事があるため、可能な限りタップインの採用は避けたい。
無色土地に関しても、便利なものは沢山あるが、入れれば入れるだけ色事故率が上がるし、土地以外のマナ加速が無色に寄りがちなので、最低限に抑えたい。


◎フェッチランド各種
まず、デュアルランドやショックランドと組み合わせる事により、その場で欲しい任意の1色に即座かつ確実にアクセスできる、フェッチランドはフル投入(3色なら9枚、5色なら10枚)が基本。
ただ、5色の場合、後述する理由から欲しい色にアクセスしにくいフェッチが発生する場合があるので、その場合は8、9枚に抑えられる事もある。


◎デュアルランド、ショックランド
3色デッキの場合、ノーリスクで2色を確保出来る上、上記のフェッチランドでアクセスが容易であるデュアルランドはフル投入が基本。
類似品であるショックランドについては、「その色のスペルがほとんど入らず、半ばジェネラル専用になっている。さらには他の2色のシンボルが濃い」みたいな色の場合に投入が避けられる事もある。
(白青黒などの1色が極端に弱い色のデッキでたまに見られる現象である)


5色デッキの場合はちょっと勝手が違う。
フェッチで全ての色に触れるようにデュアルランド全力投入しても、あまり使わない色の土地がデッキの枠を食ってしまうし、それらあまり使わない色の土地を引いてしまう事もあるため、結果として逆に事故りやすくなるのでデュアルランドは種類を厳選する形になる。
同じ色組み合わせとなる2枚目となるショックランドならばなおさらで、ダブルシンボルが欲しいメインカラー絡み以外は採用を見送られる事もままある。


この時点で3色デッキですら「フェッチ9枚+デュアル・ショック6枚」で15枚になる。
一般的なデッキの土地の半分はこれで埋まってしまう計算だ。



◎5色土地
デュアルランドのように自由なアクセスは難しいものの、引ければ各色1シンボルは確保でき、色事故を大きく予防できる、優秀かつ重要なカード。
当然ながら3色デッキより5色デッキにおいて重要度が増す。


・《統率の塔/Command Tower》
ノーリスクで固有色が全部出る。真っ先に採用されるカード。

・《真鍮の都/City of Brass》
 《マナの合流点/Mana Confluence》
 《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》
それぞれ少量のライフを圧迫するが、非常に安定してマナを出せるアンタップイン5色土地。《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》に関しては色々小回りが利いて便利な場面もあるので優秀。(ただし時々《変身/Polymorph》などからの即死を誘発するので注意)

・《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》
基本的には無色土地なのだが、初手にあると土地版《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》みたいにはたらく。
最低限アンタップインの無色土地である上、加速の重要性が非常に高いゲームなのでほぼあらゆるデッキに投入する価値がある。

・《色あせた城塞/Tarnished Citadel》
ライフの多いEDHといえど、3点は流石に痛い。
ただ、中盤以降は無色土地として扱いダメージを回避できるので、序盤の安定性に貢献しつつ後半はダメージなしで最低限の仕事をする、という運用で《真鍮の都/City of Brass》以上の役に立つ場合もある。
ライフリソースの利用が比較的少ないデッキ、デッキ内のカードのシンボルが濃く、序盤から色マナを大量に必要とするデッキには追加の5色土地として投入される。

・《反射池/Reflecting Pool》
自分のコントロールする他の土地と同じ色を生み出せる土地。土地が3、4枚並ぶ頃には《統率の塔/Command Tower》同然の土地になっているだろう。
ただ、1ターン目にはセットしても色が出ないし、2ターン目にセットしても色の種類が増えないのはリスクとして背負う必要がある。
性質上、ダブルシンボル以上のカードを多く持つデッキと相性がいい。

・《風変わりな果樹園/Exotic Orchard》
対戦相手依存の《反射池/Reflecting Pool》。
1ターン目から全ての色が出るかも知れないし、一生無色しか出ないかも知れない。
個人的にはその不安定性からあまり信用していない。

・《宝石鉱山/Gemstone Mine》
3回限定の5色土地。
序盤に置くとあっという間に壊れてテンポを失ってしまうし、中盤以降に置いても色の確保が出来ているにも拘らず回数制限があって使いにくい。
妨害を構える事の多いデッキの場合、宝石鉱山を使わないでターンを終える事が正当化されるので比較的相性がいい。


5色土地は、ここから上4~6枚が入る感じ。
《統率の塔/Command Tower》《真鍮の都/City of Brass》《マナの合流点/Mana Confluence》《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》までは、3色以上のデッキなら全投入で問題ない。
投入カードのシンボルが濃い、5色なので確実に各色が欲しい、などの場合には《色あせた城塞/Tarnished Citadel》以下のカードを選択投入していっても良いだろう。



先ほどの「フェッチ+デュアル・ショック」のマナベースに加え、ここから4~6枚投入すると、総計19~21枚。
一般的なEDHデッキの土地枚数(28~31程度)を考えると、その他のカードの枠は8枚前後しかない。
ここから先は色安定のための2色土地を適時選択していく事になるのだが……


◎無色土地
2色土地を選ぶその前に、それらを押しのけて入ってくるであろう無色土地を何枚か。
《Maze of Ith》《The Tabernacle at Pendrell Vale》のようなマナを出さない土地はマナベース扱い出来ないので除外で。

・《古えの墳墓/Ancient Tomb》
癖なく土地1枚から2マナを出せる貴重なカード。
2点ダメージは痛いが、1枚から2マナ出る価値に比べれば非常に安い。
ダメージ以外に特殊な条件もないため、ほとんどのデッキに投入される事になるだろう。

・《裏切り者の都/City of Traitors》
土地を置くと壊れるものの、《古えの墳墓/Ancient Tomb》同様の加速を可能にする土地。
非常に不安定なので、とにかく序盤にマナの数が沢山欲しい速効型のデッキに。

・《Mishra’s Workshop》
アーティファクト限定ながら、1枚のカードから3マナを出せる土地。
手札にアーティファクトがあれば破格の性能、無ければ1マナも出ていないも同然のゴミ土地、という非常に不安定な性能。
デッキ内のアーティファクトの比率、手札の補充、序盤で押し切る速度など、使用する場合はデッキの性質がかなり特殊になる。


安定して投入できるのは《古えの墳墓/Ancient Tomb》のみだろう。他はデッキの性質次第。
これでデッキの土地は20~22枚。



◎2色土地・他
では改めて、残りの枠を埋める2色土地などについて。


・ダメージランド
《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》に代表される土地。
3色デッキの場合、メインカラーであればちょっとだけ不便な《真鍮の都/City of Brass》程度の使い勝手の良さはある。無色だとダメージもなく、癖の少なさから非常に採用しやすい。
あまり使わない色絡みのものだと有効度が落ちるので、他のものを採用する事になるだろう。(青メインの青白赤デッキでは《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》は使わない、みたいな)

・フィルターランド
《広漠なるスカイクラウド/Skycloud Expanse》に代表される土地。
これ1枚ではマナが出ない、マナを出そうとすると一度に2マナで固定されるといった使いにくさがあるものの、無色マナが多くなりがちなEDHで「無色を有色に変えられる」という非常に強力な効果を持っているので非常に便利。
惜しむらくは友好色の組み合わせしか存在しない事。統率者2015で対抗色版の登場が待たれる。
個人的にはダメランと並んで真っ先に採用したい。

・M10ランド、イニストランド
《氷河の城砦/Glacial Fortress》に代表される土地。
タップインの性質上、1ターン目にセットする土地として考えるには問題外だが、フェッチ+デュアルランドの存在から、2ターン目以降の安定性は中々に高い。
何しろアンタップインになるための相方が、フェッチ含めて事実上10枚以上デッキに入る形になるのだから。
ダメラン同様、あまり使わない色絡み(ショックランドも採用しないレベルの色組み合わせでは特に)は使わない方が無難だろう。こちらはアンタップインもしにくくなるのでなおさらだ。

・ミラ傷ランド
《金属海の沿岸/Seachrome Coast》に代表される土地。
3枚目まではノーリスクでアンタップインの2色土地であるため、序盤の安定性に大きく寄与する。終盤の場合も、タップインが気になりにくいので問題が発生しにくい。
欠点は、まだまだフルタップ気味に動きたくなる中盤戦。ビッグアクションに必要なマナがあと1足りない時にこれを引くとキレそう。
こちらもフィルター同様友好色しか存在しないため、一部デッキでは対抗色が欲されている。

・ハイブリッドランド
《秘教の門/Mystic Gate》に代表される土地。
《反射池/Reflecting Pool》やフィルターランドに近い性質を持っている。
単体では無色しか出ず、その色組み合わせの土地が最低1枚無いと色マナを出せず、色を出すには2マナ単位、と使い勝手の悪い所が多い。
ただ、一部の色に大きく偏らせる事が出来る色→色フィルター効果は貴重。3色を均等気味に出しながら、必要に応じて《ネクロポーテンス/Necropotence》だの《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》だのを唱える無茶なマナベースを可能にする偉い土地。
上記の通り、均等に色を出しながら時々妙にシンボルの濃いカードを唱えるような特殊なデッキには優先的に採用されるだろう。

・基本土地
《平地/Plains》に代表される土地。
以外と馬鹿に出来ない。
フェッチで持って来れる上、ノーリスクで色マナを提供し、M10ランドをアンタップインさせてくれる。《血染めの月/Blood Moon》環境下でも色マナが出る性質は、特殊地形満載になりがちな多色デッキでは非常に重要な役割だ。
《汚れた契約/Tainted Pact》が投入される場合でも、冠雪土地含める事により2枚投入できるのは偉い。
欠点は見ての通り1色しか出ない事。各色のシンボルが濃いデッキはもちろん、たとえシンボルの薄めのデッキだったしても、多色デッキにおけるメインカラー以外の基本土地の投入は色事故のリスクと背中合わせだ。

・《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
全ての土地に沼の性質を付与する土地。
黒のシンボルが非常に安定する、黒土地以外の土地から出せる色が実質1つ増える、マナ能力を持たない土地からもマナを出せるようになる、マナシンボルが書いていないので、無色マナにはなるがマナ能力を持たない土地からマナを出す目的なら他の色のデッキにも投入可能、など細々と優秀。
欠点は基本土地とほぼ同様、黒以外のシンボルで事故を起こす可能性を持っている事。また、基本土地と違って特殊地形なので、当然特殊地形対策の影響を受ける。



これらから8~10枚程度投入し、土地のマナベースは完成する。
選択肢として最も無難なのは、ダメージランド、フィルターランド。ここから3、4枚は投入される事になるだろう。
次点がM10ランドや基本土地、ハイブリッドランドやミラ傷ランド。これらはデッキの性質や速度によって優劣が変わる。デッキに合わせて選択したい。
あとは、黒が濃いめのデッキならば《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》。ただ、これ自身は色安定に寄与しない単色土地である事だけは構築時に意識しておきたい。




主観が大分強いけど、土地に関しては大体こんな感じ。

次回はマナ加速について書きたい。

コメント

seagal
2015年11月2日8:32

考察参考になります

私も同じ条件下で考えてみると、似たような採用になるかなぁ……と思いながら拝見しました
ただ私の場合、個人的主観は拭えない部分が多く、フィルター、M10、イニスト、ミラ傷は評価が低い(悪い時に目がいきがち)為、これらより基本地形を優先もしばしばでしたが、考察を読むとやはり欲しいな……とも感じましたw

次回も楽しみにしております

かっこかり
2015年11月2日9:31

>seagal
ダメラン以外の2色土地+基本地形については、単体で色マナが出る・挙動が安定している、という点で見たら、おっしゃる通り基本土地が一番かと思います。
色が十分にそろった後にフェッチで特殊土地対策のケアが出来る利点は見逃せませんし。

ただ、デッキ内のシンボルが濃かったり、各色にダブシン、トリシンのカードが入っているような場合は基本土地だと色マナが圧迫されてしまうのであんな感じの評価になりました。
アーティファクトは半分くらい無色しかでないですし、シンボルを土地で確保する必要があるので。

デッキによっては基本土地の方がずっと便利な場合も多いと思います。
3色デッキで、第1色だけダブシントリシンがあり、残り2色は大半がシングルシンボル、というデッキとか。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索