☆はじめに
数日前のサーボ・打撲さんのTwitter上の呟きや、大石智晴さんの記事(http://redrum.diarynote.jp/201510171120185111/ これはデッキ構築に関する記事だけど)に触発されたので自分が考えてる事をつらつらと。


☆『戦略』の定義
この記事ではEDHの『戦略』について書こうと思います。
ここで書く『戦略』っていうのは、デッキ全体が目指す勝ち筋の方向性の事。

普通のマジックで言ったら、「クリーチャーと火力で素早く対戦相手を倒す」「相手の攻撃をいなしながらアドバンテージを取ってゲームをコントロールし切る」「高速で即死コンボを叩きこむ」みたいな感じ。




☆戦略各種解説
・即死コンボ
40点×3人のライフを真面目に削ってられない、そんな事するくらいなら20点1人を倒すのと同じ手間で勝てる即死コンボでまとめて3人倒してしまえばいい、みたいな考えのもとに成り立っている。

ただし、厳密には通常のマジックと同じくらいに楽にコンボを決められる訳ではない。
99枚ハイランダー構築であるため、唯一無二のコンボパーツもそれを探すサーチもデッキに1枚しか入れられないし、そもそもデッキが1.5倍くらい分厚いのでドローで掘り進めて探すのも困難だ。
ただ、それでも普段の6倍のライフを削るよりも楽なのは確実なので、有効な戦略として考えられている。



・チェインコンボ
成立理論は上に書いた即死コンボと同じなのだが、デッキの動きが違うので分ける。
少数のカードの組み合わせで即死を狙う即死コンボに対して、こちらはデッキ全体が勝利に向かうように組まれている。
「ドロー⇔マナ加速」とリソース変換しながらリソースの絶対量を増やしていけるような作りになっていて、その末に対処不能な物量で押しつぶしたり、即死コンボに移行したりする戦略だ。

利点は即死コンボと違って止めにくい事。
即死コンボは止めるべきカードがはっきりしているのだが、チェインコンボはあらゆるカードがそこそこに危険でありながら致命的ではない。そのため、対戦相手としては妨害が難しい。
しかし反面、デッキ全体で勝利に向かう構築になる関係上、デッキの遊びの部分は少なくなりがち。また、戦略上シナジー全開なデッキ構成であるため、カード単体のパワーのぶつけ合いになると弱い。



・ビートダウン
上で書いた通り「ライフを削るのはとても大変だ」という環境に抗うかのような天邪鬼な戦略。
40点のライフ、あるいは21点の統率者ダメージで対戦相手を倒す事を目的としている。

利点としては、唯一無二のカードに頼るコンボと違って同じ方向性の攻撃的なパーツ(アタッカー生物・教科用カードなど)を複数積み込めるため、安定性が高い事。
しかしながら、安定した補助があってなお、40点か特定のクリーチャーで21点削り切るのは難しい。

また、これは番外試合的な話になるが、大会ルールなどで1人を倒すだけでも勝利点が入るシステムで行われている場所もあり、その場合はコンボよりも手軽に勝利点を稼げる利点が増える。



・コントロール
相手の有効打をひたすら止め続け、自分の有利な状況を継続する事を目的とした戦略。
これまたビートダウン並みに修羅の道な戦略。なにしろ1人で3人の対戦相手の行動を管理しようというのだから難しい。

この戦略を上手く成立させるには、大量のアドバンテージ源を準備して3人分の脅威に十分対処できる状況を作る必要がある。
単体では現実的な運用が厳しい、他の戦略と複合的に組み合わせやすい戦略であるため、他戦略と組み合わせて用いられる事が多い。



・ロック
マナコスト増加、マナベース全体破壊などによって相手の行動を制限する戦略。ロック・マスデス戦略と言った方が正確か。
「コントロール」と似たような目的を持った戦略なのだが、アプローチがより能動的。
何も考えずにあらゆるマナベースを全体破壊していると自分も動けなくなるので、多くの場合抜け道となるマナベース(土地やアーティファクトが一般的)がある。
そうして、対戦相手にそこを突かれないための対策として、多少非効率的だが一方的にそれらを破壊できるカードも投入されている事が多い。

自分の盤面にも派手に触ってしまうため、この戦略を中心に据えている場合、「コントロール」と違って他戦略との親和性は高くない。
必然的にデッキはロック・マスデスに特化し、使い減りしないジェネラルを中心としたカードパワーで押し切る勝ち筋になりがち。





☆強い戦略
◎まず結論から言ってしまうと、「即死コンボ」「チェインコンボ」が強い。
「ビートダウン」「コントロール」「ロック」は、平均的な速度で考えるとどうしても「即死コンボ」「チェインコンボ」に追いつけない。

対戦相手の状況や妨害を考慮せず好き放題に動けるとして、EDHで「即死コンボ」「チェインコンボ」の勝ちが決まるのが大体3~6ターンくらい。
「ビートダウン」が40点×3のライフを6ターンで削り切るのは、かなり難易度が高い。
それこそ、コンボ以上に特定のカードを手札に揃えてようやく、といったくらいだ。それならその枚数で即死コンボを揃えた方が手っ取り早い。

「ロック」も、上手く速攻で縛り上げれば相手の動きを鈍らせる事が出来るのだが、早いターンに相手を抑えるのは特定のカードに頼っているので引きに左右されやすいし、さらにはその試みが成功した状況でも突然死の可能性はずっと付きまとう展開になりがちだ。

先に書いた通り「コントロール」は前提として1対3でゲームコントロールしようというのだから戦略自体に無茶がある。

結局、「ロック」や「コントロール」や「ビートダウン」するための最も効率的なパーツを揃える手間を考えるなら、その手間で即死コンボを完成させてしまった方が手っ取り早い。
これら三戦略は、あくまで速度に劣る弱いジェネラルが活路を見出すために存在していて、決してもっとも強力な戦略にはなり得ないと自分は考える。



◎だが、それでもEDHはコンボデッキの速度競争”だけ”には成り得ない。

特定のカード1枚をキーとする「即死コンボ」には、コンボパーツをピンポイントで止める「コントロール」要素が有効だ。
シナジーというエンジンによって大きなパワーを発揮する「チェインコンボ」には、シナジーを作るパーマネントを根こそぎしてシナジーを壊してしまう「ロック」のマスデス要素が有効だ。

そうして、「即死コンボ」や「チェインコンボ」には、少量ならば「コントロール」や「ロック」の要素を入れるだけの余裕がある。
コンボパーツをサーチするカードが、それら少量仕込まれたカードを必要な時に持って来れるという点でも

なので、「即死コンボ」「チェインコンボ」よりもさらに強い戦略とは、それらに「コントロール」「ロック」の要素が”デッキの邪魔にならない範囲で”入っているデッキ、となる。



◎その中でさらに、と言うのなら
「コントロール」「ロック」要素入りコンボデッキが一番強い戦略と結論付けたのだが、その中でも「即死コンボ」と「チェインコンボ」に分かれる。

そのどちらが強いか、となると、自分としては「即死コンボ」の方を推したい。
「即死コンボ」は少量のカードパッケージのみで勝ち筋を準備出来るため、「チェインコンボ」に比べて枠を開けやすい。
つまり自分より早かった相手を咎める「コントロール」「ロック」要素を十分に入れる事が出来るのだ。

なので自分は、「即死コンボ」デッキをメイン戦略として、そこに「コントロール」「ロック」戦略を足したものが最も有意であると考える。





以上。


◎……なんだけど
上に書いたのはあくまで戦略そのものの話。
実際のデッキは必ず初手にあって複数回キャストも可能なジェネラルありきだったりする。

現状、「即死コンボ」戦略と最も相性のいいジェネラルでも、「チェインコンボ」戦略と最も相性のいいジェネラルほど相性が良いとは言えない状況なのである。

そのため、現在の実質としては、《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》や《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》といったチェインコンボ系ジェネラルがジェネラル全体としては優位に立っている、と言わざるを得ない。

EDHてむずかしい。

コメント

nophoto
ow
2015年10月18日13:36

初期ライフが30ならば、と思うことしきり
40だと3人が殴ってももう1ターン帰ってくるので

しらたき
2015年10月18日13:37

リンクさせていただきました、よろしくお願いします!

わたくしはBOOK OF EDHに書かれている、
デッキ配分に忠実にして組んでいるつもりですね。

かっこかり
2015年10月18日18:39

>owさん
確かに、人数ばかりかライフも多いのでコンバットで倒すのは大変ですよね。
初期ライフはもとより、もしも統率者ダメージによる敗北条件がもう少しゆるければ環境はもう少し違っていたかも、とは自分も思います。
もし1点だけ違って条件が20点なら、4、5の倍数である事もあり、結構世界が変わるんですけどね。
恐らくは名前の由来であるエルダー・ドラゴンの攻撃3回分、という事で21点なのでしょうが……。


>しらたきさん
こちらからもリンクさせていただいています。
どうもよろしくです。

フォーマット制定からそこそこの年数も経っている事もあり、フォーマットの性質上公式の分析記事や大規模大会による強力なデッキレシピの公開がないながら、定番のデッキ配分はすでにある程度固まっている感はありますよね。

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