EDH ジェネラルの除去耐性・逆除去耐性
2014年12月1日 EDH環境考察 コメント (5)この前北上でcozaくんが「もうケアヴェクは駄目だー。苦労して出してもすぐ除去される」って心折れてたのを受けて。
必ず初手にいるジェネラルというカードがあるEDHのシステム上、多くの場合、プレイヤーはクリーチャーを使う事になる。
そのため、対戦する側も構築段階でクリーチャーを除去する事はある程度視野に入ってくる。
いくら手札の消費なくキャスト出来るからと言って、マナを払ってせっかく出したクリーチャーをむざむざ除去されるのはつまらない。
そんな時、あるとありがたいのがクリーチャーの除去耐性だ。
呪禁・被覆・プロテクション・破壊不能・黒である・アーティファクトである・マナコスト4以上・高タフネスなどさまざまあるが、ことEDHにおいては、それら基本的なもの以外の隠れた除去耐性というものがあると自分は考えている。
そんな訳で、その隠れた除去耐性の具体例をいくつか挙げていく。
☆隠れた除去耐性
・小さなアドをコントローラーに与え続ける能力
ぱっと見そこまで目立たず、対戦相手に害を与えない方向性のアドバンテージ能力は、比較的お目こぼしを受けやすい。
例えば他にウィザードのいない《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》でゆっくりカードを引き増していく動き。例えば他に供のいない《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》で、1体、2体と小さなゴブリンを増やしていく動き。
これらは危険度が低く、それゆえにプレイヤーは「もっと危険なカードが来る可能性を考えて除去を温存しよう」と考えるため、急いで除去される事が少ない。
しかし、これはあまり長く継続する除去耐性ではない。
他プレイヤーとの手札の枚数差が2枚3枚と積み重なっていったり、トークンが一気に5体も6体も出てくるような状況になってくると、温存される事無く除去が飛んで来る事になるだろう。
・自分には迷惑を与えない能力
例えば、青くないデッキから見た《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress》は他の青デッキを牽制してくれるカードなので、ラワンのプレイヤーがよっぽど突出して複数名で対処しなければならない状況でもない限りは、非青プレイヤーは放置するだろう。
つまりラワンは、「青くないジェネラルのプレイヤーの除去を受け付けない」除去耐性を持っていると言える。対戦相手3人中2人が青いデッキなら、受ける除去は2/3に減少している。
・仕事を終えたカード
《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》のような、CIP能力が目玉であるジェネラルは、戦場に出た時点で仕事を半ば終えている。
それどころか、下手に除去すると再キャストによりCIP能力を使いまわされる危険性すらある。
それゆえに、そういったキャストした時点で仕事を終えるクリーチャーは、戦場に出てしまえば除去を免れる可能性が高い。
ただ、戦場に出れば仕事完了となっているがゆえに、戦場に出る前の除去=キャスト段階のカウンターのマークは多少きつくなっている事は意識すべきだろう。
・仕事の内容が不確定なカード
《ネファリアの災い、ジェリーヴァ/Jeleva, Nephalia’s Scourge》は、戦場に出るまで一体どのようなスペルをただ撃ち出来るようになるか分からない。教示者などで積み込んででもいない限り、その危険度が分かりにくい。
それゆえに、キャスト段階で無理してまでカウンターされる事は少ない。いわゆる「はずれ」なスペルしか捲れなかったら放置する事が正解になるので、戦場に出て、危険かどうか判断してから除去した方が効率的だからだ。
上に書いたCIP能力とは対になるような除去耐性と言える。
これらが働く理由は、「EDHが多人数戦である」という事を前提に起因する。
1対1では対戦してが出して来た脅威はそのまま自分に牙を剥くのだが、複数の対戦相手がいる多人数戦ではそうとは限らない。「他の人が除去してくれるかもしれないから除去を温存しよう」という考えが発生し得るため、即座の除去を免れる事が起こり得るのである。
そうして、それゆえに「逆の除去耐性」、除去されやすくなる要素も存在する。
☆逆除去耐性
・大きなアドを一気にとっていく能力
上の除去耐性で出したのと同じカードではあるが、例えば戦場にゴブリンが5体も6体もいる状況でキャストされた《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》や、大量のウィザードを供に引き連れた《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》は、一気に二桁の軍勢を作り出したり大量ドローを発生させる危険なカードとなり、除去を率先して撃たれる候補になり得る。
余りに目立つような利益を得る行動は、それだけ周囲から目の敵にされやすい。
・周りに迷惑を振り撒く能力
《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》は、戦場に存在するだけで対戦相手全員の動きが制限される。
当然、すべての対戦相手は「出来れば戦場からいなくなって欲しい」と考えるし、自分が好きなように動くためにアウグスティンに率先して除去を撃ったりもする。
・即座に仕事をする訳ではない、有名な強ジェネラル
《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》《結界師ズアー/Zur the Enchanter》《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》などといった、ジェネラルを中心とした非常に強い動きが実際に存在し、また、それが有名になっているジェネラルは除去の的となりやすい。
それが、通常仕事をするのにタイムラグが必要となるならばなおさらだ。
しかしそのジェネラルが強いのもまた事実なので、その辺は有名税だと思って諦めるのが賢明だろう。
これらの能力は、対戦相手が除去を温存する選択肢を自ら潰していく性質をもっているため、出した端から対戦相手全員の手札にある除去が飛んでくる事が多い。
☆また、上記の逆除去耐性と関連した疫病神的能力として、周囲のリソースを削る能力持ちというものがある。
例えば、対戦相手に、あまり戦闘を行わないタイプのコンボデッキなジェネラルと、クリーチャーでガンガン殴っていく事を奨励するタイプのジェネラルがいたとしよう。
今、あるプレイヤーが、自分以外にクリーチャーをコントロールしているプレイヤーはおらず、クリーチャーで攻撃する余裕が出来た。
そんな時、そのプレイヤーが攻撃するであろう相手は(色やペイライフカードの要素を抜きにするのなら)ビートダウン寄りジェネラルの側となるだろう。
自分以外のプレイヤーのライフが減る事は、ビートダウンデッキの勝利条件を助ける事にもつながるし、結論他プレイヤーが敗北に近付くという事は、自分が狙われる要因にもなる。
他プレイヤーのライフは、対ビートダウンを考えた場合、時として自分を守る肉の壁になるので、わざわざ意味もなく削らないという選択肢が発生する。
たまらないのはビートダウン側で、自分の勝利が近づく事もなく、それどころかライフが減って敗北が近づく羽目になる。
これは、ジェネラルの性質が「他プレイヤーのライフリソースを削る」というものであるがゆえに、「自分のライフリソースが削られやすくなっている」と言える。
☆で、《無慈悲なる者ケアヴェク/Kaervek the Merciless》は?
・他人のリソースを削る火力発生能力(クリーチャー除去能力・ライフ削り能力)
・火力が飛んでくるせいで、呪文のキャストに制限がかかる迷惑な能力
・大きなアド(場合によっては毎ターン5点6点のライフ)を失わせる能力
といった、逆除去耐性を持っていると言える。
おまけにデッキは必然的にその火力能力と相性のいいライフ勝ち狙い(それも極端な!)になりがちで、他人の攻撃が自分に集中しやすい。
それゆえに、ケアヴェクは7マナという非常に重いマナコストに見合った活躍をする前に除去されがちで、ジェネラル中心の戦略を立てても頓挫しやすくなっている、と自分は考えている。
まあアレだ。
赤黒とかいう決して強い色組み合わせではないくせに、存在そのものが全力で対戦相手全員に喧嘩を売りに行って1対3を推奨している能力だから、コイツはもう諦めた方がいいw
必ず初手にいるジェネラルというカードがあるEDHのシステム上、多くの場合、プレイヤーはクリーチャーを使う事になる。
そのため、対戦する側も構築段階でクリーチャーを除去する事はある程度視野に入ってくる。
いくら手札の消費なくキャスト出来るからと言って、マナを払ってせっかく出したクリーチャーをむざむざ除去されるのはつまらない。
そんな時、あるとありがたいのがクリーチャーの除去耐性だ。
呪禁・被覆・プロテクション・破壊不能・黒である・アーティファクトである・マナコスト4以上・高タフネスなどさまざまあるが、ことEDHにおいては、それら基本的なもの以外の隠れた除去耐性というものがあると自分は考えている。
そんな訳で、その隠れた除去耐性の具体例をいくつか挙げていく。
☆隠れた除去耐性
・小さなアドをコントローラーに与え続ける能力
ぱっと見そこまで目立たず、対戦相手に害を与えない方向性のアドバンテージ能力は、比較的お目こぼしを受けやすい。
例えば他にウィザードのいない《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》でゆっくりカードを引き増していく動き。例えば他に供のいない《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》で、1体、2体と小さなゴブリンを増やしていく動き。
これらは危険度が低く、それゆえにプレイヤーは「もっと危険なカードが来る可能性を考えて除去を温存しよう」と考えるため、急いで除去される事が少ない。
しかし、これはあまり長く継続する除去耐性ではない。
他プレイヤーとの手札の枚数差が2枚3枚と積み重なっていったり、トークンが一気に5体も6体も出てくるような状況になってくると、温存される事無く除去が飛んで来る事になるだろう。
・自分には迷惑を与えない能力
例えば、青くないデッキから見た《セファリッドの女帝ラワン/Llawan, Cephalid Empress》は他の青デッキを牽制してくれるカードなので、ラワンのプレイヤーがよっぽど突出して複数名で対処しなければならない状況でもない限りは、非青プレイヤーは放置するだろう。
つまりラワンは、「青くないジェネラルのプレイヤーの除去を受け付けない」除去耐性を持っていると言える。対戦相手3人中2人が青いデッキなら、受ける除去は2/3に減少している。
・仕事を終えたカード
《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》のような、CIP能力が目玉であるジェネラルは、戦場に出た時点で仕事を半ば終えている。
それどころか、下手に除去すると再キャストによりCIP能力を使いまわされる危険性すらある。
それゆえに、そういったキャストした時点で仕事を終えるクリーチャーは、戦場に出てしまえば除去を免れる可能性が高い。
ただ、戦場に出れば仕事完了となっているがゆえに、戦場に出る前の除去=キャスト段階のカウンターのマークは多少きつくなっている事は意識すべきだろう。
・仕事の内容が不確定なカード
《ネファリアの災い、ジェリーヴァ/Jeleva, Nephalia’s Scourge》は、戦場に出るまで一体どのようなスペルをただ撃ち出来るようになるか分からない。教示者などで積み込んででもいない限り、その危険度が分かりにくい。
それゆえに、キャスト段階で無理してまでカウンターされる事は少ない。いわゆる「はずれ」なスペルしか捲れなかったら放置する事が正解になるので、戦場に出て、危険かどうか判断してから除去した方が効率的だからだ。
上に書いたCIP能力とは対になるような除去耐性と言える。
これらが働く理由は、「EDHが多人数戦である」という事を前提に起因する。
1対1では対戦してが出して来た脅威はそのまま自分に牙を剥くのだが、複数の対戦相手がいる多人数戦ではそうとは限らない。「他の人が除去してくれるかもしれないから除去を温存しよう」という考えが発生し得るため、即座の除去を免れる事が起こり得るのである。
そうして、それゆえに「逆の除去耐性」、除去されやすくなる要素も存在する。
☆逆除去耐性
・大きなアドを一気にとっていく能力
上の除去耐性で出したのと同じカードではあるが、例えば戦場にゴブリンが5体も6体もいる状況でキャストされた《群衆の親分、クレンコ/Krenko, Mob Boss》や、大量のウィザードを供に引き連れた《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》は、一気に二桁の軍勢を作り出したり大量ドローを発生させる危険なカードとなり、除去を率先して撃たれる候補になり得る。
余りに目立つような利益を得る行動は、それだけ周囲から目の敵にされやすい。
・周りに迷惑を振り撒く能力
《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》は、戦場に存在するだけで対戦相手全員の動きが制限される。
当然、すべての対戦相手は「出来れば戦場からいなくなって欲しい」と考えるし、自分が好きなように動くためにアウグスティンに率先して除去を撃ったりもする。
・即座に仕事をする訳ではない、有名な強ジェネラル
《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》《結界師ズアー/Zur the Enchanter》《アーカム・ダグソン/Arcum Dagsson》などといった、ジェネラルを中心とした非常に強い動きが実際に存在し、また、それが有名になっているジェネラルは除去の的となりやすい。
それが、通常仕事をするのにタイムラグが必要となるならばなおさらだ。
しかしそのジェネラルが強いのもまた事実なので、その辺は有名税だと思って諦めるのが賢明だろう。
これらの能力は、対戦相手が除去を温存する選択肢を自ら潰していく性質をもっているため、出した端から対戦相手全員の手札にある除去が飛んでくる事が多い。
☆また、上記の逆除去耐性と関連した疫病神的能力として、周囲のリソースを削る能力持ちというものがある。
例えば、対戦相手に、あまり戦闘を行わないタイプのコンボデッキなジェネラルと、クリーチャーでガンガン殴っていく事を奨励するタイプのジェネラルがいたとしよう。
今、あるプレイヤーが、自分以外にクリーチャーをコントロールしているプレイヤーはおらず、クリーチャーで攻撃する余裕が出来た。
そんな時、そのプレイヤーが攻撃するであろう相手は(色やペイライフカードの要素を抜きにするのなら)ビートダウン寄りジェネラルの側となるだろう。
自分以外のプレイヤーのライフが減る事は、ビートダウンデッキの勝利条件を助ける事にもつながるし、結論他プレイヤーが敗北に近付くという事は、自分が狙われる要因にもなる。
他プレイヤーのライフは、対ビートダウンを考えた場合、時として自分を守る肉の壁になるので、わざわざ意味もなく削らないという選択肢が発生する。
たまらないのはビートダウン側で、自分の勝利が近づく事もなく、それどころかライフが減って敗北が近づく羽目になる。
これは、ジェネラルの性質が「他プレイヤーのライフリソースを削る」というものであるがゆえに、「自分のライフリソースが削られやすくなっている」と言える。
☆で、《無慈悲なる者ケアヴェク/Kaervek the Merciless》は?
・他人のリソースを削る火力発生能力(クリーチャー除去能力・ライフ削り能力)
・火力が飛んでくるせいで、呪文のキャストに制限がかかる迷惑な能力
・大きなアド(場合によっては毎ターン5点6点のライフ)を失わせる能力
といった、逆除去耐性を持っていると言える。
おまけにデッキは必然的にその火力能力と相性のいいライフ勝ち狙い(それも極端な!)になりがちで、他人の攻撃が自分に集中しやすい。
それゆえに、ケアヴェクは7マナという非常に重いマナコストに見合った活躍をする前に除去されがちで、ジェネラル中心の戦略を立てても頓挫しやすくなっている、と自分は考えている。
まあアレだ。
赤黒とかいう決して強い色組み合わせではないくせに、存在そのものが全力で対戦相手全員に喧嘩を売りに行って1対3を推奨している能力だから、コイツはもう諦めた方がいいw
コメント
勉強になりました。
「どの程度ならば大目に見てもらえるか」の線引きは、確かに統率者戦では重要ですものね。
私が使っている《彼方の神、クルフィックス》様も、《クルフィックスの予言者》のようなカードがあるかないかで、かなり扱われ方が違いますし。
ケアヴェクはrk post単デッキを作るときのジェネラルですが、実際に使うなら新ラクドスデッキに入れますね。2マナで出してやる。
《クルフィックスの預言者/Prophet of Kruphix》、多人数戦だと通常のゲームに輪をかけて強いですよね。
クルフィックス様ジェネラルだと、マナ加速が4倍になるので本当に危険な組み合わせですね。通常以上にいち早く預言者を除去したくなりますし、除去が遅れたらマナを悪用される前にクルフィックスを退けたくなります。
>そんちょうさん
コメントありがとうございます。
まあ、好きで書いてるだけなので真面目って事でもないんでしょうがw
目標は往年の記事、ベス・モーザント女史のデッキ・デコンストラクション。
rk postさんは、あの色使いからくる独特の質感が結構好みで、自分も好きな部類のイラストレーターさんです。ラヴニカの沼が印象的。
つまり、「出た時点で仕事が終わる打ち消されない統率者だと、実質的な除去耐性がかなり強い」
逆に「出た時点で仕事をして、なおかつ、放っておくと時間をかけて膨大なアドバンテージを生んでしまう統率者は、打消しも除去も集中される」というわけですね?
そんな伝説のクリーチャーがいるかどうかは、ともかくとして。
まとまり切らない部分もある話でしたが、読んでくださってありがとうございます。
とは言えこの辺は自分の経験論なので、あくまで一意見と思って捉えてもらえると幸いです。
内容ですが、これまた「すべてのジェネラルが同程度の強さだとして」という仮定が入りますが、大体おっしゃる通りです。
出た時点で仕事が終わるCIP持ちで、他に大きな影響のある能力を持たず、打ち消されないクリーチャーならば、打ち消されないCIPを使いまわされる事になってしまう除去をそのクリーチャーにわざわざ撃って来る事はないでしょう。
出た時点で仕事を始める常在型能力持ち(対戦相手に迷惑をかける系だとなお良し)で、さらにタップ能力や攻撃誘発などの基本1ターン待つ性質ながらも大きなアドを取るようなクリーチャーならば、打消しも除去も良く飛んで来る事になるでしょう。
両者とも実在するとかなり厄介そうですが、対戦相手が対処しやすく、さらには対処される事が多くなるのは後者であろう、という話でした。