最近EDH人口が増えていると聞いて 3-2
2014年7月8日 EDH環境考察※ 前回(http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134/)の続き。
すでに書いてる長すぎて読みにくかった日記を分割しただけなので新しいのじゃないよ。
目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134/
☆テキスト・能力
いくら早くキャスト出来ても、置物のジェネラルでは意味がない。重要なのは、キャストによって勝ちにしっかり近づける事。
そこで、この項では注目すべき能力について書いていきたい。
◎アドバンテージ
アドバンテージの差は選択肢の差。手札やマナが増えれば、自分のための行動も沢山取れるし、対戦相手に対処する余裕も出来る。
種類としては、《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》のようにカードが引ける、《クローサの庇護者シートン/Seton, Krosan Protector》のようにマナを発生させられる、といった直接的なものから、《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》(インスタント・ソーサリーをコピーする)のような間接的なものもある。
また、《熟達の魔術師アーテイ/Ertai, Wizard Adept》(対戦相手の呪文を打ち消せる)《光り葉のナース/Nath of the Gilt-Leaf》(対戦相手の手札を捨てさせる)といった対戦相手に損失を与えるものも(該当カードを使う分のアドを潜在的に得している事になるので)アドバンテージに繋がる。
アドバンテージに関しては、自分や対戦相手にどれだけの影響を与えられるかが重要である。
例えば《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》はクリーチャーを増やせるが、それだけだと「通常デッキに入らない0/1を引いてキャストした」程度の効果でしかないので、単純にはアドバンテージを得ていると言い難い。
また、対戦相手にマイナスを与える効果より、自分にプラスを与える効果の方を高く見た方がいい。
例えば《Gwendlyn Di Corci》は手札を捨てさせる効果を持つが、対戦相手1人にしか効かないので効果が狭い。さらには誰も手札が無ければ無駄にもなる。対して手札を引く《ジラ・エリアン/Xira Arien》の能力は確実に得になるし、引いたカードを好きに使えるので全員に対してプレッシャーを与えられる事になる。
まとめると、「自分が得をする効果で、そのアド単体でしっかりと対戦相手が嫌がるようなアドバンテージ源」である事が望ましい。
◎サーチ
ハイランダーゆえに各1枚しか入れられず、種類自体も少ないために貴重なサーチカード。それが初手にあるジェネラルの能力としてあった場合、単なるアドバンテージ以上の効果がある。
サーチカード自体もそうだし、サーチされる側もデッキに1枚なので、安定してサーチが出来るというのは対戦で大きな優位を築いてくれる。
サーチ側の対象広さやアドバンテージ側の獲得アドの大きさにもよるが、基本的にアドバンテージよりも上位の効果と見ていいだろう。
このような能力を持つジェネラル自体が数も多くはなく貴重で、かつ強力である事が多い。
代表的な所だと、《結界師ズアー/Zur the Enchanter》《艦長シッセイ/Captain Sisay》《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》などだろうか。
◎コンボパーツ
「ジェネラルのの力でサーチしてコンボパーツを持って来るなんてまどろっこしい事するくらいなら、自分でコンボパーツになった方が手っ取り早いじゃない!」と言う理論でジェネラルに据えられるのが、コンボパーツとなれるレジェンドである。
《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》なら無限マナのフィニッシュをデッキから探す必要はなくなるし、《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》ならいくつかあるコンボの必要総枚数が全てマイナス1されて大幅にコンボを揃えやすくなる。
サーチを挟まずにフィニッシュに行けるという点では強力なサーチジェネラルにすら勝る能力と言えるが、サーチジェネラルには「コンボパーツ以外のカードをサーチしてこれる」という柔軟さがあり、一長一短ではある。
私見で言わせてもらえば、サーチの柔軟性の方が強靭なデッキとなるので評価が高くなりがちである。
また、「ジェネラルだからこそ成立する」「ジェネラルだからこそ実用的なレベルになる」コンボ持ちのレジェンドもいる。
例えば《野生の意志、マラス/Marath, Will of the Wild》の《大地の知識/Earthcraft》《肥沃な大地/Fertile Ground》のコンボは、死亡時に統率者領域に戻るジェネラルだからこそ可能なコンボである。
また、このコンボは、パーツの内クリーチャーであるマラスをサーチする必要がないため、実質的にエンチャントのみで構成されており、デッキに3枚入っている状態から揃えるよりも揃えやすい。
こういったコンボを持つジェネラルは、他のデッキよりも1種類多く有効なコンボの選択肢が増えていると言えるので、通常のコンボパーツジェネラルよりも評価が高い。
・また、これら上記3種の能力評価に付随するのが、「効果を得るのに必要なコスト」である。
例えば《ジラ・エリアン/Xira Arien》は3マナとタップで1枚ドロー、《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》はタップのみで1ドロー。この2枚における3マナのテンポ差は、「得たアドを有効に使えるか、そもそも起動できるか」という点で影響が如実に出るためかなり大きい。
アドバンテージを取る手段の起動には、可能な限りマナがかからないものを選ぶのが望ましい。
◎速攻・タップの必要が無い起動コスト・戦場出た時の効果・唱えた時の効果
上の項で、ジェネラルのマナコストについて触れた。そこで「平均的なフィニッシュターンを考えると、危険なアクションが飛び交いがちなターンが来る前にキャストできる4マナ以下が理想」と書いたが、5マナ以上のジェネラルに活躍の余地が無いかと言われると、そうであるとは言い切れない。
5マナ以上のレジェンドにも十分活躍の余地があり、その際に重要となるのがここで示した能力群である。
ただでさえすぐに危険な状況に陥りかねない時間帯で、タップが必要だったり効果の誘発が遅かったりで1ターン回して効果を待つとなると、いくら強力な効果でも使うのを躊躇してしまう。5マナ6マナという大きなアクションをしておいて、「完全に無防備」「その場で展開に直接影響を与えられない」となると、その時間帯では後回しにされがちになってしまう。
そうなるとそのジェネラルがキャストされるのは、そこからさらに数ターン後、「当面の危機の捌き合いをして、マナもさらに2つ3つ伸びた頃」という、下手すればすでにゲームが終わって訪れないターンとなってしまう。
これでは、そのジェネラルは完全にカラーマーカー、無駄牌も同然だ。
それを防ぐための能力が、ここで挙げているような能力群である。
タップ能力や攻撃誘発で見た場合、5マナの速攻もちは、単純に見るだけでも4マナ速攻なしと同等の起動速度である。
それだけではない。さらに深く見ると、ソーサリー除去を一切気にせず1度は起動できるという利点もある。
多人数戦のEDHでは、次のターンが回ってくるまでに複数人の対戦相手のターンを跨ぐ必要があり、1対1に比べてはるかに生きて返ってきにくい。そのためこれらの利点は見た目以上に大きな価値を持つ。
その大きさは、1マナ2マナ程度の差ならばやすやすと覆すだけのものである、と自分は思っている。
つまり、ここで挙げたような能力を持っている、(上の項で示したようなアド能力が十分な水準以上にある)クリーチャーは、5~6マナ程度のマナコストならば十分ジェネラルに据える事を検討できる、という事である。
☆パワー/タフネス
ライフ40の対戦相手を3人倒す必要がある、というEDHはコンボ戦になりがちなので、ジェネラルのパワー・タフネスはそこまで重要ではないのだが、一応評価の基準となる要素はある。
◎パワー
・2
悪名高い最強ジェネラル候補である、《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》をコンバットで討ち取れる。
それだけで、コンバットを必要とするエドリックの抑止力になる。この程度のパワーならば2マナ以上のジェネラル辺りから十分持っている数字である。現実的な範囲でのパワー評価はココとなるだろう。
・7
妨害の差し合いなどで多少ぐだった時なら、1人くらいはコンバットで落とす余地が発生する事がある。
その際に価値が発生するのは、攻撃3回で対戦相手を倒せるパワー7だ。
これ以上になると流石に悠長で、対戦相手を落とせる場合でも、ジェネラルダメージで倒すより先に「そこらのシステムクリーチャーでやっていたゴミビートと組み合わせたら勝手にライフが溶けてた」というパターンの方が多くなる。
とは言えパワー7だと大概マナコストもとんでもない事になっており、多くの場合「重いジェネラル選んだらパワーが7あったヤッター」程度のものである。
◎タフネス
・3
これまたエドリックの影響が大きい。
まず単純に、タフネス3あればエドリックをブロックして生き延びる事が出来る。
そしてここからが重要なのだが、タフネス3以上を持つ事により、エドリック・緑のマナクリーチャーメタの除去から生き延びる事が出来る。
軽めの全体除去で優先的に採用されがちなのは、《紅蓮地獄/Pyroclasm》《火山の流弾/Volcanic Fallout》《苦痛の命令/Decree of Pain》サイクリングなど、2点以下のタフネスを薙ぎ払うものが多い。
それらを無視出来るだけでも、大分場持ちが違うだろう。
・2
EDHはゲーム的に、クリーチャーはサイズよりも能力が優先されがちになる。そのため細かいサイズでの戦闘が発生しがちなのだが、そこで意外と大きな差となるのがタフネス1と2の差である。
手すきのマナエルフに無駄にライフを削られる事を防いだり、エドリックのお供の1/1の頭数を減らしてループがつながる可能性を減らしたり、地味に嬉しい事が多い。
上で書いたようにダメージ全体除去に引っかかりやすいとは言え、《トリスケリオン/Triskelion》や《爆破基地/Blasting Station》のようなコンボパーツ兼任のダメージソースで除去される時にも、余分に負担を与えられるのでありがたみを感じる事は多いだろう。
・4
上に書いていた2点の次に多いダメージ系除去の点数が、3点である。
《稲妻/Lightning Bolt》は貴重な1マナインスタント除去なのでちょくちょく確定除去の乏しい赤系デッキに入っているし、《神々の憤怒/Anger of the Gods》を追加の全体火力として採用しているデッキもいくつかはある。
また、《内にいる獣/Beast Within》《猿術/Pongify》《金粉のドレイク/Gilded Drake》など、EDHで良く見かける除去によって発生するクロックが3点であるため、それらを抑え込める事は無駄なライフ減少を防ぐ効果を期待出来る。これは特にライフ支払いの多い黒系や、《森の知恵/Sylvan Library》を要する緑系で価値を発揮する。
とはいえ、タフネスが意味を持つ事はそこまで多い訳ではない。参考程度に考えておくといいだろう。
ここまでが、自分が大事だと考えているジェネラル選びの基準となる要素である。
なお、これらを総合して、最低限のラインとして引いておきたい基準は、
「青か赤のカウンターか対カウンター要素を含む色で、さらに黒か緑を固有色に持つ2色以上。可能なら3色以上」
「マナコスト4以下、あるいは即時効果持ちで6以下」
「アド・サーチ・コンボパーツのどれかになる。アド、サーチ能力の場合は起動コストが低め」
といった辺りである。
なお、上でも挙げた最強ジェネラル候補の呼び声の高い《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》であるが、この判断基準に照らし合わせると、
「青か赤のカウンターか対カウンター要素を含む色で、さらに黒か緑を固有色に持つ2色以上。可能なら3色以上」
・固有色に青持ち、2色目に緑
「マナコスト4以下、あるいは即時効果持ちで6以下」
・マナコスト3
・キャストしたターンに即時効果を得る事を期待出来る(先置きクリーチャーのアタックにより即アド獲得)
「アド・サーチ・コンボパーツのどれかになる。アド、サーチ能力の場合は起動コストが低め」
・アドバンテージを得る能力持ち
・アド能力の起動にマナが一切かからない
・ジェネラルだからこそ成立する勝ち筋(追加ターンループ)
と、頭おかしいくらいに高水準で基準を満たしている。
つーか最初は全くエドリック意識しないで基準線を引いてたんだけど、最後にパワータフネスの記事書いてる時に思い付いて当てはめてみたらこんな事になっててビビったw
☆次回予告
非常に長くなってしまったが、これで「勝ち手段から始める構築」「ジェネラルから選ぶ構築」それぞれの方法でジェネラルが決定した。
次回は、実際の構築について順に書いていこうと思う。
具体的には、サーチ・ドロー・マナ加速といった「勝ち手段周りの補助カード整備」について。
すでに書いてる長すぎて読みにくかった日記を分割しただけなので新しいのじゃないよ。
目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:主要な勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
2:勝ち手段決定後の、色とジェネラルの選択 http://kakkokari.diarynote.jp/201406152152507217/
3-1:ジェネラルから始める構築 http://kakkokari.diarynote.jp/201407071929429134/
☆テキスト・能力
いくら早くキャスト出来ても、置物のジェネラルでは意味がない。重要なのは、キャストによって勝ちにしっかり近づける事。
そこで、この項では注目すべき能力について書いていきたい。
◎アドバンテージ
アドバンテージの差は選択肢の差。手札やマナが増えれば、自分のための行動も沢山取れるし、対戦相手に対処する余裕も出来る。
種類としては、《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》のようにカードが引ける、《クローサの庇護者シートン/Seton, Krosan Protector》のようにマナを発生させられる、といった直接的なものから、《略奪の母、汁婆/Wort, the Raidmother》(インスタント・ソーサリーをコピーする)のような間接的なものもある。
また、《熟達の魔術師アーテイ/Ertai, Wizard Adept》(対戦相手の呪文を打ち消せる)《光り葉のナース/Nath of the Gilt-Leaf》(対戦相手の手札を捨てさせる)といった対戦相手に損失を与えるものも(該当カードを使う分のアドを潜在的に得している事になるので)アドバンテージに繋がる。
アドバンテージに関しては、自分や対戦相手にどれだけの影響を与えられるかが重要である。
例えば《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》はクリーチャーを増やせるが、それだけだと「通常デッキに入らない0/1を引いてキャストした」程度の効果でしかないので、単純にはアドバンテージを得ていると言い難い。
また、対戦相手にマイナスを与える効果より、自分にプラスを与える効果の方を高く見た方がいい。
例えば《Gwendlyn Di Corci》は手札を捨てさせる効果を持つが、対戦相手1人にしか効かないので効果が狭い。さらには誰も手札が無ければ無駄にもなる。対して手札を引く《ジラ・エリアン/Xira Arien》の能力は確実に得になるし、引いたカードを好きに使えるので全員に対してプレッシャーを与えられる事になる。
まとめると、「自分が得をする効果で、そのアド単体でしっかりと対戦相手が嫌がるようなアドバンテージ源」である事が望ましい。
◎サーチ
ハイランダーゆえに各1枚しか入れられず、種類自体も少ないために貴重なサーチカード。それが初手にあるジェネラルの能力としてあった場合、単なるアドバンテージ以上の効果がある。
サーチカード自体もそうだし、サーチされる側もデッキに1枚なので、安定してサーチが出来るというのは対戦で大きな優位を築いてくれる。
サーチ側の対象広さやアドバンテージ側の獲得アドの大きさにもよるが、基本的にアドバンテージよりも上位の効果と見ていいだろう。
このような能力を持つジェネラル自体が数も多くはなく貴重で、かつ強力である事が多い。
代表的な所だと、《結界師ズアー/Zur the Enchanter》《艦長シッセイ/Captain Sisay》《始祖ドラゴンの末裔/Scion of the Ur-Dragon》などだろうか。
◎コンボパーツ
「ジェネラルのの力でサーチしてコンボパーツを持って来るなんてまどろっこしい事するくらいなら、自分でコンボパーツになった方が手っ取り早いじゃない!」と言う理論でジェネラルに据えられるのが、コンボパーツとなれるレジェンドである。
《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》なら無限マナのフィニッシュをデッキから探す必要はなくなるし、《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》ならいくつかあるコンボの必要総枚数が全てマイナス1されて大幅にコンボを揃えやすくなる。
サーチを挟まずにフィニッシュに行けるという点では強力なサーチジェネラルにすら勝る能力と言えるが、サーチジェネラルには「コンボパーツ以外のカードをサーチしてこれる」という柔軟さがあり、一長一短ではある。
私見で言わせてもらえば、サーチの柔軟性の方が強靭なデッキとなるので評価が高くなりがちである。
また、「ジェネラルだからこそ成立する」「ジェネラルだからこそ実用的なレベルになる」コンボ持ちのレジェンドもいる。
例えば《野生の意志、マラス/Marath, Will of the Wild》の《大地の知識/Earthcraft》《肥沃な大地/Fertile Ground》のコンボは、死亡時に統率者領域に戻るジェネラルだからこそ可能なコンボである。
また、このコンボは、パーツの内クリーチャーであるマラスをサーチする必要がないため、実質的にエンチャントのみで構成されており、デッキに3枚入っている状態から揃えるよりも揃えやすい。
こういったコンボを持つジェネラルは、他のデッキよりも1種類多く有効なコンボの選択肢が増えていると言えるので、通常のコンボパーツジェネラルよりも評価が高い。
・また、これら上記3種の能力評価に付随するのが、「効果を得るのに必要なコスト」である。
例えば《ジラ・エリアン/Xira Arien》は3マナとタップで1枚ドロー、《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》はタップのみで1ドロー。この2枚における3マナのテンポ差は、「得たアドを有効に使えるか、そもそも起動できるか」という点で影響が如実に出るためかなり大きい。
アドバンテージを取る手段の起動には、可能な限りマナがかからないものを選ぶのが望ましい。
◎速攻・タップの必要が無い起動コスト・戦場出た時の効果・唱えた時の効果
上の項で、ジェネラルのマナコストについて触れた。そこで「平均的なフィニッシュターンを考えると、危険なアクションが飛び交いがちなターンが来る前にキャストできる4マナ以下が理想」と書いたが、5マナ以上のジェネラルに活躍の余地が無いかと言われると、そうであるとは言い切れない。
5マナ以上のレジェンドにも十分活躍の余地があり、その際に重要となるのがここで示した能力群である。
ただでさえすぐに危険な状況に陥りかねない時間帯で、タップが必要だったり効果の誘発が遅かったりで1ターン回して効果を待つとなると、いくら強力な効果でも使うのを躊躇してしまう。5マナ6マナという大きなアクションをしておいて、「完全に無防備」「その場で展開に直接影響を与えられない」となると、その時間帯では後回しにされがちになってしまう。
そうなるとそのジェネラルがキャストされるのは、そこからさらに数ターン後、「当面の危機の捌き合いをして、マナもさらに2つ3つ伸びた頃」という、下手すればすでにゲームが終わって訪れないターンとなってしまう。
これでは、そのジェネラルは完全にカラーマーカー、無駄牌も同然だ。
それを防ぐための能力が、ここで挙げているような能力群である。
タップ能力や攻撃誘発で見た場合、5マナの速攻もちは、単純に見るだけでも4マナ速攻なしと同等の起動速度である。
それだけではない。さらに深く見ると、ソーサリー除去を一切気にせず1度は起動できるという利点もある。
多人数戦のEDHでは、次のターンが回ってくるまでに複数人の対戦相手のターンを跨ぐ必要があり、1対1に比べてはるかに生きて返ってきにくい。そのためこれらの利点は見た目以上に大きな価値を持つ。
その大きさは、1マナ2マナ程度の差ならばやすやすと覆すだけのものである、と自分は思っている。
つまり、ここで挙げたような能力を持っている、(上の項で示したようなアド能力が十分な水準以上にある)クリーチャーは、5~6マナ程度のマナコストならば十分ジェネラルに据える事を検討できる、という事である。
☆パワー/タフネス
ライフ40の対戦相手を3人倒す必要がある、というEDHはコンボ戦になりがちなので、ジェネラルのパワー・タフネスはそこまで重要ではないのだが、一応評価の基準となる要素はある。
◎パワー
・2
悪名高い最強ジェネラル候補である、《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》をコンバットで討ち取れる。
それだけで、コンバットを必要とするエドリックの抑止力になる。この程度のパワーならば2マナ以上のジェネラル辺りから十分持っている数字である。現実的な範囲でのパワー評価はココとなるだろう。
・7
妨害の差し合いなどで多少ぐだった時なら、1人くらいはコンバットで落とす余地が発生する事がある。
その際に価値が発生するのは、攻撃3回で対戦相手を倒せるパワー7だ。
これ以上になると流石に悠長で、対戦相手を落とせる場合でも、ジェネラルダメージで倒すより先に「そこらのシステムクリーチャーでやっていたゴミビートと組み合わせたら勝手にライフが溶けてた」というパターンの方が多くなる。
とは言えパワー7だと大概マナコストもとんでもない事になっており、多くの場合「重いジェネラル選んだらパワーが7あったヤッター」程度のものである。
◎タフネス
・3
これまたエドリックの影響が大きい。
まず単純に、タフネス3あればエドリックをブロックして生き延びる事が出来る。
そしてここからが重要なのだが、タフネス3以上を持つ事により、エドリック・緑のマナクリーチャーメタの除去から生き延びる事が出来る。
軽めの全体除去で優先的に採用されがちなのは、《紅蓮地獄/Pyroclasm》《火山の流弾/Volcanic Fallout》《苦痛の命令/Decree of Pain》サイクリングなど、2点以下のタフネスを薙ぎ払うものが多い。
それらを無視出来るだけでも、大分場持ちが違うだろう。
・2
EDHはゲーム的に、クリーチャーはサイズよりも能力が優先されがちになる。そのため細かいサイズでの戦闘が発生しがちなのだが、そこで意外と大きな差となるのがタフネス1と2の差である。
手すきのマナエルフに無駄にライフを削られる事を防いだり、エドリックのお供の1/1の頭数を減らしてループがつながる可能性を減らしたり、地味に嬉しい事が多い。
上で書いたようにダメージ全体除去に引っかかりやすいとは言え、《トリスケリオン/Triskelion》や《爆破基地/Blasting Station》のようなコンボパーツ兼任のダメージソースで除去される時にも、余分に負担を与えられるのでありがたみを感じる事は多いだろう。
・4
上に書いていた2点の次に多いダメージ系除去の点数が、3点である。
《稲妻/Lightning Bolt》は貴重な1マナインスタント除去なのでちょくちょく確定除去の乏しい赤系デッキに入っているし、《神々の憤怒/Anger of the Gods》を追加の全体火力として採用しているデッキもいくつかはある。
また、《内にいる獣/Beast Within》《猿術/Pongify》《金粉のドレイク/Gilded Drake》など、EDHで良く見かける除去によって発生するクロックが3点であるため、それらを抑え込める事は無駄なライフ減少を防ぐ効果を期待出来る。これは特にライフ支払いの多い黒系や、《森の知恵/Sylvan Library》を要する緑系で価値を発揮する。
とはいえ、タフネスが意味を持つ事はそこまで多い訳ではない。参考程度に考えておくといいだろう。
ここまでが、自分が大事だと考えているジェネラル選びの基準となる要素である。
なお、これらを総合して、最低限のラインとして引いておきたい基準は、
「青か赤のカウンターか対カウンター要素を含む色で、さらに黒か緑を固有色に持つ2色以上。可能なら3色以上」
「マナコスト4以下、あるいは即時効果持ちで6以下」
「アド・サーチ・コンボパーツのどれかになる。アド、サーチ能力の場合は起動コストが低め」
といった辺りである。
なお、上でも挙げた最強ジェネラル候補の呼び声の高い《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》であるが、この判断基準に照らし合わせると、
「青か赤のカウンターか対カウンター要素を含む色で、さらに黒か緑を固有色に持つ2色以上。可能なら3色以上」
・固有色に青持ち、2色目に緑
「マナコスト4以下、あるいは即時効果持ちで6以下」
・マナコスト3
・キャストしたターンに即時効果を得る事を期待出来る(先置きクリーチャーのアタックにより即アド獲得)
「アド・サーチ・コンボパーツのどれかになる。アド、サーチ能力の場合は起動コストが低め」
・アドバンテージを得る能力持ち
・アド能力の起動にマナが一切かからない
・ジェネラルだからこそ成立する勝ち筋(追加ターンループ)
と、頭おかしいくらいに高水準で基準を満たしている。
つーか最初は全くエドリック意識しないで基準線を引いてたんだけど、最後にパワータフネスの記事書いてる時に思い付いて当てはめてみたらこんな事になっててビビったw
☆次回予告
非常に長くなってしまったが、これで「勝ち手段から始める構築」「ジェネラルから選ぶ構築」それぞれの方法でジェネラルが決定した。
次回は、実際の構築について順に書いていこうと思う。
具体的には、サーチ・ドロー・マナ加速といった「勝ち手段周りの補助カード整備」について。
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