最近EDH人口が増えていると聞いて 2
2014年6月15日 EDH環境考察 コメント (2)※ これは、いわゆる「ガチデッキ」相手に、そこそこ安価なデッキで、ある程度以上勝てるデッキ構築を目指す記事です ※
という訳で第2回。予告通り「勝ち筋が決まった所からの、色とジェネラルの選択」について書いていく。
コメントで「ジェネラル選択から始める構築」を先に書いて並列して話を進めると言ったな。あれは嘘だ。
なんか一回それで書き始めたんだけど、それだと却ってまとめにくかったのでやり直しw
目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:勝ち手段具体例 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
☆色の選択
まず、当然ながら前回決めたメイン勝ち手段・サブ勝ち手段に必要な色が必須となる。
生き埋めウーズと世界喰らいなら赤黒、ドルイドの誓いとバサルトブライトなら白緑、といった感じだ。
可能なら、この段階では2色以下にしておくのが望ましい。理由は、コンボ向きのサーチや補助カードのための色を足しやすいから。この時点で3色になっていると、もしも「この色だとコンボ用サーチが足りない!」となった時に、諦めるか5色に増やすかしか選択肢がなくなってしまう。
まあ、3色になっている時点で使用可能なカードプールはマジック全体の6割強。十分な速度とサーチ能力が確保出来ている事も多々あるので問題ない事も多いのだが。
第1回で書いた通り、「メインの勝ち手段と並列したコンボ選択」が出来ているのならそこまで難しいものではないはず。
◎各色の得意分野
そうして必要な色が判明した所で、色を足す事になるのだが、まずは各色の得意分野と代表的なカードをコンボ視点でおさらいしておこう。
実戦レベルのカードの枚数が多かったり、重要度が高いものは青字で、その中でも特に強力だったり重要なものは赤字で書く。
・白
エンチャントサーチ《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
コンボ防衛《沈黙/Silence》《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《解呪/Disenchant》
・青
ソーサリーサーチ《神秘の教示者/Mystical Tutor》
アーティファクトサーチ《加工/Fabricate》
ドロー《知識の渇望/Thirst for Knowledge》
コンボ防衛《秘儀の否定/Arcane Denial》《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
・黒
万能サーチ《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
墓地サーチ《納墓/Entomb》
ドロー《ネクロポーテンス/Necropotence》
・赤
ゴブリンサーチ《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》
ドロー《Wheel of Fortune》
・緑
クリーチャーサーチ《俗世の教示者/Worldly Tutor》
土地サーチ《輪作/Crop Rotation》
ドロー《森の知恵/Sylvan Library》
コンボ防衛《内にいる獣/Beast Within》
マナ・ベース構築《極楽鳥/Birds of Paradise》
また、一部には特定の2色以上のデッキでしか使えないが強力な多色のカードがある。
エンチャント:《真の木立ち/Sterling Grove》(白緑)
クリーチャー:《エラダムリーの呼び声/Eladamri’s Call》(白緑)
万能サーチ:《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》(青黒)
他にもいくつかあるが、軽く扱いやすいという点で、特にデッキに入れやすいのはこの辺り。
白と緑は親和性が非常に高く、特にエンチャントサーチは存在自体が貴重なので真の木立ちの価値は高い。クリーチャーに関しては、珍しく緑1色で十分なレベルのものが揃っているので、無理に足さなくても十分な効果を望めるだろう。
◎それぞれの役割と、必要枚数
実際の構築に近い話ではあるが、今のうちに大まかな必要枚数を考えておく。「今の色ではどの要素が弱いか・足りないか」が見えるので実際の構築のみならず、色選択・カード選択の参考となるだろう。
・サーチは第1回で書いた通り、重ね引いても無駄にならないコンボパーツの水増しになるのでコンボに置いては最も重要な要素。3マナ以下程度の扱いやすいものとなると種類自体がそう多くはなく、フル投入される事が多い。
理想としては、コンボパーツのカードタイプを揃えた上で10枚ほど投入出来るのが望ましいが、強力な所だけでそこまでの枚数を入れるのは容易ではない。
・ドローは、パーツやサーチのみならず、それらをキャストするためのマナソースやコンボを守るカードなど、様々な行動の選択肢を増やす事が出来るのでかなり重要。デッキの血液となる部分。
ただし直接的なサーチと違ってどんなカードが手札に加わるかは分からないので、直接勝ちに繋がる効果なのではなく、雑に勝ち筋を太くしていく効果と考えた方がいい。
サーチに比べて及第点のカードが多く、その気になれば色によっては20枚程度は投入出来る。デッキの安定性を高めてくれるので、苦手な色だったとしても10枚くらいは入れたい。
・コンボ防衛は、安全にコンボを通すためのカード。
コンボは複数枚の組み合わせで一気に勝てる方法ではあるのだが、複数枚の組み合わせである関係上、1枚のカードを止められるだけで他のすべてのカードの価値も失われてしまう。そうすると、実質的に一対多交換となって大きくアドバンテージを失い、勝ちも失われる不利な状況になってしまう。
それを防ぐため、相手の除去カードを止めるカードがあると便利である。特に同程度の速度を持つデッキ同士の刺し合いでは防衛カードの有無が実質的な速度差に繋がるので重要。(一般に、コンボパーツを回収して復帰するよりも妨害スペルを防いだ方が早いし軽い)
また、妨害用のパーマネント(《締め付け/Stranglehold》《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》など)に対する対処カードもこの分類に入る。
妨害用パーマネントは、除去カードのような直接的な被害や瞬発力はないが、戦場に存在し続ける限り対応するカードの使用を不可能にするため、やはり除去カード同様こちらの勝ちを奪うカードとなるので対処は必須である。
揃ったコンボの安定性を増す事は出来るのだが、後手に回るカードではあるので、枚数としては少なくても大きな問題はない。最低限、除去しないと機能不全を起こすパーマネントを除去するカードがあればいい。
自分より先に動き出した相手のコンボを止める用途で除去を使う事を考慮しても、5~10枚程度あれば必要な時に手札にある可能性も高いだろう。
ただ、上で書いた通り、同程度の速度のデッキ相手だと除去を弾くタイプのコンボ防衛カードの影響が大きい。可能ならば除去に加えて数枚入れておく事をお勧めする。
☆色とジェネラルを決める
◎そうして各色の得意分野を考慮して、自分の勝ち筋に貢献するカードの多い色を把握し色を足したり足さなかったりと、デッキの色を決定する事となるのだが、「各色の得意分野」の項を見てもらえば分かる通り、色ごとの格差が激しい。
どの種類のコンボでも安定したサーチ力を追加してくれる黒、揃ったコンボでしっかり勝ちきるためのコンボ防衛を最も得意とする青、は頼りがいがあるので可能ならば是非とも加えたい。
さらには、この2色はデッキの安定性を高めるドローも得意分野だ。それだけでも速度と安定性に貢献してくれるだろう。
可能ならば、それぞれの役割のカードが最低限揃う程度には色を増やしたい。
◎また、それと同時進行的にジェネラルを決める事となる。
勝ち筋を決めた段階で最低限必要な色は絞れているので、その色組み合わせを含むレジェンドが候補となる。
ジェネラルは必ず初手にあるカードであり、さらには何度倒れてもマナを足す事で再キャストも可能。
ハイランダーであるEDHで唯一安定して運用できるカードなので、その影響は非常に大きい。
この要素があるからこそ、例え5色デッキに比べてカードプールが狭くなっても「色を減らす」という選択肢が取られうる。
上で何度か「可能ならば」と書いていたのはそのため。例えば《生き埋め/Buried Alive》コンボが搭載されたデッキならば、《擬態の原形質/The Mimeoplasm》でも《アトガトグ/Atogatog》でも組む事は出来るが、リアニメイトと親和性の高い擬態の原形質の方が色は少なくとも強いデッキとなるだろう。
◎最終的にこの「色の広さ」と「ジェネラルの性能」の兼ね合いでジェネラルを決定する事となるのだが、この際に主導権を握る要素はほとんどの場合「ジェネラルの性能」の方である。
いくらサーチを積んで軽めで揃えやすい勝ち筋を準備しようと、ハイランダー構築である都合上、「初手にあるためサーチの必要がない」「つまり揃えるまでもない」ジェネラルよりも安定して早いカードは皆無だ。
なのでこのジェネラルの性質に引っ張られる形で色が決まり、場合によっては勝ち手段(特にサブの勝ち手段)の選択が変更される事となる。場合によってはメインの勝ち手段がサブに落ちたり、メイン勝ち手段が脱落する事すらあるだろう。
そんな訳で、続いては、そのように重要なカードであるジェネラルを実際に選んでいく事となる。
色の話はそこそこしたがジェネラル選択についての詳しい話はまだしていない。ジェネラルを選ぶにあたり、次はその話をしていこうと思う。それを基にジェネラル選択の参考として欲しい。
☆ジェネラルの選択基準
◎投入予定のコンボと色共通の色を持つ。
勝ち筋から構築する場合の最低条件。白くないと《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》コンボは使えません。
なお、この点のみで考えるなら、当然ながらカードプールが広くなるので色は多ければ多い方が有利。
上で書いたように、構築時にはジェネラルの方が支配的になるので、補助的な判断基準として「色が合うのが望ましい」程度に考えておく程度の方が良いかも知れない。
◎ジェネラルが強力な勝ち筋の助けとなる
例えばサーチ。《結界師ズアー/Zur the Enchanter》なら、《動く死体/Animate Dead》をサーチ出来るので《生き埋め/Buried Alive》コンボと相性がいい。
例えばアドバンテージ。《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》なら、その能力でドローが出来るので手を進めやすくなる。
例えばフィニッシュパーツ。《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》ならば、無限マナコンボのフィニッシュ役となれるため実質的に1枚必要カードを減らせる。
◎ジェネラル自身が勝ち筋となる
ジェネラルから入る構築の場合、これが一番重要な要素となる。
ここでいう勝ち筋とは、上に書いた《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》のようなフィニッシュパーツになるジェネラルの勝ち筋とは似て非なる性質で、「ジェネラルだからこそ」「初手にあり、再キャスト可能だからこそ」成立する、「ジェネラルにしなければ不可能な、実践的な独自の勝ち筋」「初手にあり再キャスト可能なおかげで序盤から安定して戦場に送り続ける事が出来る勝ち筋」の事を言う。
・ジェネラルだからこそ可能な勝ち筋
ジェネラルの特徴として「いくつかの領域移動時、代わりに統率者領域に戻せる」「2マナずつ足す事により再キャスト可能」というものがあり、そんなジェネラルだからこそ可能となるコンボがある。
そのジェネラル独自の勝ち筋となりうるため、EDHの華とも呼べる要素だろう。
例1:《野生の意志、マラス/Marath, Will of the Wild》《大地の知識/Earthcraft》《肥沃な大地/Fertile Ground》
ジェネラルが死亡時に統率者領域へと戻るがゆえに可能なコンボ。ひたすら再キャスト繰り返しつつマナを増やせる。
クリーチャー+エンチャントのコンボであるのだが、クリーチャーであるマラスがサーチの必要がないため、実質エンチャントのみのコンボとなっておりサーチがしやすい。
例2:《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》《変わり身の狂戦士/Changeling Berserker》《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》
これだけでも全パーツをゴブリンサーチで集められる無限マナコンボなのだが、キキジキがジェネラルの場合には「覇権されたキキジキを統率者領域へ→無限マナから再キャスト→狂戦士をコピー・キキジキ覇権」を繰り返す事が出来るため、この時点で速攻の狂戦士が大量発生する即死コンボに変わる。
ジェネラルであるキキジキとさらにはフィニッシャーをサーチする必要がないので実質的にサーチ枚数が2枚も減るという強化がされている。
・初手にあるからこそ可能な勝ち筋
ジェネラルは、必ず初手にある唯一のカードであり、だからこそそれを中心に据えた勝ち筋が成立しうる。
デッキ全体がある1枚のカードを活かせるように構築した場合、本来ならば安定性に欠けるものとなる。いくらサーチを入れてもその1枚のカードを安定して引ける訳ではないからだ。
しかしながら、ジェネラルならば必ず初手にあるのでそれを活かすようなカード選択、構築をしても無駄になりにくい。
これは上で説明している「ジェネラルがアド源やサーチなどになる」「ジェネラルが勝ち筋を作り出している」というパターンのデッキにも併用出来る、構築の基本となり得る要素である。「ジェネラルを除去され続けると、投入したジェネラル用カードが無駄になる」というリスクはあるが、ジェネラルがいなくてもそれなりに仕事が出来るよう、汎用性に気を付けてカード選択・構築を行えば、ある程度欠点を補いつつもジェネラルが戦場に残った時により強力な動きを期待できるようになるので率先してこのような構築をしていきたい。
例1:《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
初手にあるからこそマナクリーチャーが2T目には《泥棒カササギ/Thieving Magpie》になってくれる事を期待出来る。初手にあるからこそ《時間のねじれ/Time Warp》が《探検/Explore》にならない事を期待出来る。
デッキ内のカード全体がジェネラルの利点を活かすように選択されたデッキの代表格である。
例2:《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》
初手にあるからこそ1~2T目に《吠えたける鉱山/Howling Mine》設置後のゲーム加速状態に突入する事を期待した構築が出来る。
手札が尽きにくいので雑にばらまける軽量カード、撃つだけで勝手にアドが取れる追加ターン。すべてゲームが加速している事を前提としたカードである。
☆もう1つのデッキ構築のとっかかり
ここまでで、「勝ち筋」「ジェネラル(および色)」という、デッキの背骨となる部分が決定した。
ここから実際の細かな構築に移っていく事となるのだが……その前に、この段階に行くためのもう1つのルートについて書いておく必要がある。
それが「ジェネラル選択から始めるデッキ構築」である。
ここまでは、「何らかの方法で勝利する」というデッキの最終目的を明確にしておく関係上、また、このジェネラル選択から始める構築時の説明で必要になる事が予想されていたため、直接的で分かりやすく先に説明も出来る「勝ち筋の選択」からデッキ構築を始める記事を書いていたのだが、実際にはこちらのルートで構築した方がデッキを組みやすい事が多い。
「このレジェンドを活躍させたい」「このレジェンドならこんな事が出来そうだ」というのは、1枚のカードを起点に思考が進んでいくので単純明快になりやすい。1万種類のカードから構築の手がかりを探していくよりも圧倒的に楽なのは明白だ。
そんな訳で、次回第3回は「ジェネラル選択から始めるデッキ構築」についての記事を書いていこうと思う。
第1.5回で勝ち筋の具体例を並べたようなジェネラルの具体例は、ジェネラルから始める構築の話も終わってからの、第3.5回になる予定。
という訳で第2回。予告通り「勝ち筋が決まった所からの、色とジェネラルの選択」について書いていく。
コメントで「ジェネラル選択から始める構築」を先に書いて並列して話を進めると言ったな。あれは嘘だ。
なんか一回それで書き始めたんだけど、それだと却ってまとめにくかったのでやり直しw
目次
1:勝ち手段 http://kakkokari.diarynote.jp/201406061206383152/
1.5:勝ち手段具体例 http://kakkokari.diarynote.jp/201406070003366076/
☆色の選択
まず、当然ながら前回決めたメイン勝ち手段・サブ勝ち手段に必要な色が必須となる。
生き埋めウーズと世界喰らいなら赤黒、ドルイドの誓いとバサルトブライトなら白緑、といった感じだ。
可能なら、この段階では2色以下にしておくのが望ましい。理由は、コンボ向きのサーチや補助カードのための色を足しやすいから。この時点で3色になっていると、もしも「この色だとコンボ用サーチが足りない!」となった時に、諦めるか5色に増やすかしか選択肢がなくなってしまう。
まあ、3色になっている時点で使用可能なカードプールはマジック全体の6割強。十分な速度とサーチ能力が確保出来ている事も多々あるので問題ない事も多いのだが。
第1回で書いた通り、「メインの勝ち手段と並列したコンボ選択」が出来ているのならそこまで難しいものではないはず。
◎各色の得意分野
そうして必要な色が判明した所で、色を足す事になるのだが、まずは各色の得意分野と代表的なカードをコンボ視点でおさらいしておこう。
実戦レベルのカードの枚数が多かったり、重要度が高いものは青字で、その中でも特に強力だったり重要なものは赤字で書く。
・白
エンチャントサーチ《悟りの教示者/Enlightened Tutor》
コンボ防衛《沈黙/Silence》《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《解呪/Disenchant》
・青
ソーサリーサーチ《神秘の教示者/Mystical Tutor》
アーティファクトサーチ《加工/Fabricate》
ドロー《知識の渇望/Thirst for Knowledge》
コンボ防衛《秘儀の否定/Arcane Denial》《蒸気の連鎖/Chain of Vapor》
・黒
万能サーチ《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
墓地サーチ《納墓/Entomb》
ドロー《ネクロポーテンス/Necropotence》
・赤
ゴブリンサーチ《ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter》
ドロー《Wheel of Fortune》
・緑
クリーチャーサーチ《俗世の教示者/Worldly Tutor》
土地サーチ《輪作/Crop Rotation》
ドロー《森の知恵/Sylvan Library》
コンボ防衛《内にいる獣/Beast Within》
マナ・ベース構築《極楽鳥/Birds of Paradise》
また、一部には特定の2色以上のデッキでしか使えないが強力な多色のカードがある。
エンチャント:《真の木立ち/Sterling Grove》(白緑)
クリーチャー:《エラダムリーの呼び声/Eladamri’s Call》(白緑)
万能サーチ:《リム=ドゥールの櫃/Lim-Dul’s Vault》(青黒)
他にもいくつかあるが、軽く扱いやすいという点で、特にデッキに入れやすいのはこの辺り。
白と緑は親和性が非常に高く、特にエンチャントサーチは存在自体が貴重なので真の木立ちの価値は高い。クリーチャーに関しては、珍しく緑1色で十分なレベルのものが揃っているので、無理に足さなくても十分な効果を望めるだろう。
◎それぞれの役割と、必要枚数
実際の構築に近い話ではあるが、今のうちに大まかな必要枚数を考えておく。「今の色ではどの要素が弱いか・足りないか」が見えるので実際の構築のみならず、色選択・カード選択の参考となるだろう。
・サーチは第1回で書いた通り、重ね引いても無駄にならないコンボパーツの水増しになるのでコンボに置いては最も重要な要素。3マナ以下程度の扱いやすいものとなると種類自体がそう多くはなく、フル投入される事が多い。
理想としては、コンボパーツのカードタイプを揃えた上で10枚ほど投入出来るのが望ましいが、強力な所だけでそこまでの枚数を入れるのは容易ではない。
・ドローは、パーツやサーチのみならず、それらをキャストするためのマナソースやコンボを守るカードなど、様々な行動の選択肢を増やす事が出来るのでかなり重要。デッキの血液となる部分。
ただし直接的なサーチと違ってどんなカードが手札に加わるかは分からないので、直接勝ちに繋がる効果なのではなく、雑に勝ち筋を太くしていく効果と考えた方がいい。
サーチに比べて及第点のカードが多く、その気になれば色によっては20枚程度は投入出来る。デッキの安定性を高めてくれるので、苦手な色だったとしても10枚くらいは入れたい。
・コンボ防衛は、安全にコンボを通すためのカード。
コンボは複数枚の組み合わせで一気に勝てる方法ではあるのだが、複数枚の組み合わせである関係上、1枚のカードを止められるだけで他のすべてのカードの価値も失われてしまう。そうすると、実質的に一対多交換となって大きくアドバンテージを失い、勝ちも失われる不利な状況になってしまう。
それを防ぐため、相手の除去カードを止めるカードがあると便利である。特に同程度の速度を持つデッキ同士の刺し合いでは防衛カードの有無が実質的な速度差に繋がるので重要。(一般に、コンボパーツを回収して復帰するよりも妨害スペルを防いだ方が早いし軽い)
また、妨害用のパーマネント(《締め付け/Stranglehold》《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》など)に対する対処カードもこの分類に入る。
妨害用パーマネントは、除去カードのような直接的な被害や瞬発力はないが、戦場に存在し続ける限り対応するカードの使用を不可能にするため、やはり除去カード同様こちらの勝ちを奪うカードとなるので対処は必須である。
揃ったコンボの安定性を増す事は出来るのだが、後手に回るカードではあるので、枚数としては少なくても大きな問題はない。最低限、除去しないと機能不全を起こすパーマネントを除去するカードがあればいい。
自分より先に動き出した相手のコンボを止める用途で除去を使う事を考慮しても、5~10枚程度あれば必要な時に手札にある可能性も高いだろう。
ただ、上で書いた通り、同程度の速度のデッキ相手だと除去を弾くタイプのコンボ防衛カードの影響が大きい。可能ならば除去に加えて数枚入れておく事をお勧めする。
☆色とジェネラルを決める
◎そうして各色の得意分野を考慮して、自分の勝ち筋に貢献するカードの多い色を把握し色を足したり足さなかったりと、デッキの色を決定する事となるのだが、「各色の得意分野」の項を見てもらえば分かる通り、色ごとの格差が激しい。
どの種類のコンボでも安定したサーチ力を追加してくれる黒、揃ったコンボでしっかり勝ちきるためのコンボ防衛を最も得意とする青、は頼りがいがあるので可能ならば是非とも加えたい。
さらには、この2色はデッキの安定性を高めるドローも得意分野だ。それだけでも速度と安定性に貢献してくれるだろう。
可能ならば、それぞれの役割のカードが最低限揃う程度には色を増やしたい。
◎また、それと同時進行的にジェネラルを決める事となる。
勝ち筋を決めた段階で最低限必要な色は絞れているので、その色組み合わせを含むレジェンドが候補となる。
ジェネラルは必ず初手にあるカードであり、さらには何度倒れてもマナを足す事で再キャストも可能。
ハイランダーであるEDHで唯一安定して運用できるカードなので、その影響は非常に大きい。
この要素があるからこそ、例え5色デッキに比べてカードプールが狭くなっても「色を減らす」という選択肢が取られうる。
上で何度か「可能ならば」と書いていたのはそのため。例えば《生き埋め/Buried Alive》コンボが搭載されたデッキならば、《擬態の原形質/The Mimeoplasm》でも《アトガトグ/Atogatog》でも組む事は出来るが、リアニメイトと親和性の高い擬態の原形質の方が色は少なくとも強いデッキとなるだろう。
◎最終的にこの「色の広さ」と「ジェネラルの性能」の兼ね合いでジェネラルを決定する事となるのだが、この際に主導権を握る要素はほとんどの場合「ジェネラルの性能」の方である。
いくらサーチを積んで軽めで揃えやすい勝ち筋を準備しようと、ハイランダー構築である都合上、「初手にあるためサーチの必要がない」「つまり揃えるまでもない」ジェネラルよりも安定して早いカードは皆無だ。
なのでこのジェネラルの性質に引っ張られる形で色が決まり、場合によっては勝ち手段(特にサブの勝ち手段)の選択が変更される事となる。場合によってはメインの勝ち手段がサブに落ちたり、メイン勝ち手段が脱落する事すらあるだろう。
そんな訳で、続いては、そのように重要なカードであるジェネラルを実際に選んでいく事となる。
色の話はそこそこしたがジェネラル選択についての詳しい話はまだしていない。ジェネラルを選ぶにあたり、次はその話をしていこうと思う。それを基にジェネラル選択の参考として欲しい。
☆ジェネラルの選択基準
◎投入予定のコンボと色共通の色を持つ。
勝ち筋から構築する場合の最低条件。白くないと《オーリオックの廃品回収者/Auriok Salvagers》コンボは使えません。
なお、この点のみで考えるなら、当然ながらカードプールが広くなるので色は多ければ多い方が有利。
上で書いたように、構築時にはジェネラルの方が支配的になるので、補助的な判断基準として「色が合うのが望ましい」程度に考えておく程度の方が良いかも知れない。
◎ジェネラルが強力な勝ち筋の助けとなる
例えばサーチ。《結界師ズアー/Zur the Enchanter》なら、《動く死体/Animate Dead》をサーチ出来るので《生き埋め/Buried Alive》コンボと相性がいい。
例えばアドバンテージ。《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》なら、その能力でドローが出来るので手を進めやすくなる。
例えばフィニッシュパーツ。《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》ならば、無限マナコンボのフィニッシュ役となれるため実質的に1枚必要カードを減らせる。
◎ジェネラル自身が勝ち筋となる
ジェネラルから入る構築の場合、これが一番重要な要素となる。
ここでいう勝ち筋とは、上に書いた《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》のようなフィニッシュパーツになるジェネラルの勝ち筋とは似て非なる性質で、「ジェネラルだからこそ」「初手にあり、再キャスト可能だからこそ」成立する、「ジェネラルにしなければ不可能な、実践的な独自の勝ち筋」「初手にあり再キャスト可能なおかげで序盤から安定して戦場に送り続ける事が出来る勝ち筋」の事を言う。
・ジェネラルだからこそ可能な勝ち筋
ジェネラルの特徴として「いくつかの領域移動時、代わりに統率者領域に戻せる」「2マナずつ足す事により再キャスト可能」というものがあり、そんなジェネラルだからこそ可能となるコンボがある。
そのジェネラル独自の勝ち筋となりうるため、EDHの華とも呼べる要素だろう。
例1:《野生の意志、マラス/Marath, Will of the Wild》《大地の知識/Earthcraft》《肥沃な大地/Fertile Ground》
ジェネラルが死亡時に統率者領域へと戻るがゆえに可能なコンボ。ひたすら再キャスト繰り返しつつマナを増やせる。
クリーチャー+エンチャントのコンボであるのだが、クリーチャーであるマラスがサーチの必要がないため、実質エンチャントのみのコンボとなっておりサーチがしやすい。
例2:《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》《変わり身の狂戦士/Changeling Berserker》《スカークの探鉱者/Skirk Prospector》
これだけでも全パーツをゴブリンサーチで集められる無限マナコンボなのだが、キキジキがジェネラルの場合には「覇権されたキキジキを統率者領域へ→無限マナから再キャスト→狂戦士をコピー・キキジキ覇権」を繰り返す事が出来るため、この時点で速攻の狂戦士が大量発生する即死コンボに変わる。
ジェネラルであるキキジキとさらにはフィニッシャーをサーチする必要がないので実質的にサーチ枚数が2枚も減るという強化がされている。
・初手にあるからこそ可能な勝ち筋
ジェネラルは、必ず初手にある唯一のカードであり、だからこそそれを中心に据えた勝ち筋が成立しうる。
デッキ全体がある1枚のカードを活かせるように構築した場合、本来ならば安定性に欠けるものとなる。いくらサーチを入れてもその1枚のカードを安定して引ける訳ではないからだ。
しかしながら、ジェネラルならば必ず初手にあるのでそれを活かすようなカード選択、構築をしても無駄になりにくい。
これは上で説明している「ジェネラルがアド源やサーチなどになる」「ジェネラルが勝ち筋を作り出している」というパターンのデッキにも併用出来る、構築の基本となり得る要素である。「ジェネラルを除去され続けると、投入したジェネラル用カードが無駄になる」というリスクはあるが、ジェネラルがいなくてもそれなりに仕事が出来るよう、汎用性に気を付けてカード選択・構築を行えば、ある程度欠点を補いつつもジェネラルが戦場に残った時により強力な動きを期待できるようになるので率先してこのような構築をしていきたい。
例1:《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
初手にあるからこそマナクリーチャーが2T目には《泥棒カササギ/Thieving Magpie》になってくれる事を期待出来る。初手にあるからこそ《時間のねじれ/Time Warp》が《探検/Explore》にならない事を期待出来る。
デッキ内のカード全体がジェネラルの利点を活かすように選択されたデッキの代表格である。
例2:《三日月の神/Kami of the Crescent Moon》
初手にあるからこそ1~2T目に《吠えたける鉱山/Howling Mine》設置後のゲーム加速状態に突入する事を期待した構築が出来る。
手札が尽きにくいので雑にばらまける軽量カード、撃つだけで勝手にアドが取れる追加ターン。すべてゲームが加速している事を前提としたカードである。
☆もう1つのデッキ構築のとっかかり
ここまでで、「勝ち筋」「ジェネラル(および色)」という、デッキの背骨となる部分が決定した。
ここから実際の細かな構築に移っていく事となるのだが……その前に、この段階に行くためのもう1つのルートについて書いておく必要がある。
それが「ジェネラル選択から始めるデッキ構築」である。
ここまでは、「何らかの方法で勝利する」というデッキの最終目的を明確にしておく関係上、また、このジェネラル選択から始める構築時の説明で必要になる事が予想されていたため、直接的で分かりやすく先に説明も出来る「勝ち筋の選択」からデッキ構築を始める記事を書いていたのだが、実際にはこちらのルートで構築した方がデッキを組みやすい事が多い。
「このレジェンドを活躍させたい」「このレジェンドならこんな事が出来そうだ」というのは、1枚のカードを起点に思考が進んでいくので単純明快になりやすい。1万種類のカードから構築の手がかりを探していくよりも圧倒的に楽なのは明白だ。
そんな訳で、次回第3回は「ジェネラル選択から始めるデッキ構築」についての記事を書いていこうと思う。
第1.5回で勝ち筋の具体例を並べたようなジェネラルの具体例は、ジェネラルから始める構築の話も終わってからの、第3.5回になる予定。
コメント
赤:追加ターン、騙し討ち系
黒:憎悪
茶:Bコロ
を各色の役割に入れても良い気がしますね!
ローカルルール過ぎるwww
そういえば、そちらの環境を聞いていて《仲裁の契約/Intervention Pact》がちょっと便利そうだと思いました。
ワンパン系を躱しつつ、ライフを得て横並び型なら乗り切る準備をし、必要ならば契約コストを払わず不利な盤面からプラマイゼロで撤退できるので。
他にも各種契約とか呪文滑りは入れ得感があります。特に憎悪躱せる呪文滑り。
お守り的な扱いとは言え、「勝つ」ではなく「負けない」だから微妙ですかね?
ちょっと便利で、かつ本当に即座にインスタントタイミングで負けられるカードがあればいいのですが。《大霊堂の戦利品/Spoils of the Vault》とか勝つか負けるかその場でハッキリするのでパック取られず悪くないかも、と思いました。