机上の空論デュエルコマンダー考察コーナー。

今回は、自分なりに考えたメタゲームについて。


☆緑が強い
他の色が《Mana Crypt》《太陽の指輪/Sol Ring》といった1T目の加速を失う中、《繁茂/Wild Growth》《極楽鳥/Birds of Paradise》といった独自のカードによって加速力を維持している緑。
他より速度があれば、それだけ優位にゲームを進められる。自分はこの色がメタゲームの中心になると考える。

緑は意外と器用で、ドローも除去も、クリーチャーに限るならサーチだってこなせる色だ。カウンター以外なら何でも出来る。
それゆえに単色である程度何でもこなせるだけのスペックがある。逆に言うと、他のどの色を足してもその持ち味を活かせる丸さがあるという事だ。
色の多さは選択肢の多さ。ハイランダー構築であるEDHではなおさらだ。
緑が多色化を得意としている色である事もあり、緑に1~2色加えた色が優勢となるだろう。

緑は遥か昔からクリーチャーの性能が高い色として扱われている。
それゆえ、緑中心=クリーチャー多いと考えていいだろう。また、緑はクリーチャーサーチも得意だ。
それゆえに、緑を軸にしたデッキはクリーチャーを軸にしたデッキ、(ビートダウンでも、クリーチャーコンボでも)が多くなるだろう。
恐らく世界はクリーチャー環境になると思われる。

クリーチャー環境という事は、逆に考えるとクリーチャー対処手段の評価も高いという事で、大量に除去を持つ赤と黒はそういう意味で優位に立つ事が出来そうだ。
また、「クリーチャーが多い≒デッキに殴り倒すルートを作りやすい」ので、逆にそれらの対策となる《プロパガンダ/Propaganda》《果たし合いの場/Dueling Grounds》などのカードの価値は上がるだろうと考えられる。



☆手札破壊の台頭
1対1になった事により、手札破壊をデッキに組み込む事に現実味が出て来た。

この事による影響としては、まずまっさきにコンボデッキの弱体化が挙げられる。
今までは打消しやコンボに合わせた除去が警戒すべき要素だったのだが、それに加えて手札に仕舞っている間の手札破壊も脅威として加わった。
コンボ、特にパーマネントを揃えてスタートするのではなく、手札を整えてスタートする系のコンボには不利な環境になったと思われる。

また、マリガンの様相も変わる可能性もある。
例えば初手に入ってきた1枚の《Timetwister》を頼ってマナ加速を集めに行くマリガンは、手札破壊を有する黒を前にしては頼りがいがないプランとなる。ある程度安定性を重視した初手作りとなりそうだ。

手札破壊の偉い所は、相手に手札さえあれば、序盤でも終盤でも軽めのマナで行動に影響を与えられるところだ。
初期ライフが通常レギュレーションの1.5倍もあり、しかも通常のレギュレーションに比べるとスペックの低いカードを採用しなければならない99枚ハイランダーであるEDHは、必然的に遅いゲームになりがちだ。
それゆえに強いデッキは手札の補充手段を持ち、またそういったデッキは手札が尽きる事も少ない。逆に言うといつでも手札破壊が有効になるという事だ。




☆青の弱体化と強化
・青はアーティファクトとの親和性が最も強い色だ。
それゆえに《Mana Crypt》や《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》を一番うまく使う事が出来る。
しかしそれはもう過去の話。この世界には《Mana Crypt》も《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》も存在しない。
青の弱体化は必至と言えよう。


・青はドローを最も得意とする色だ。
そうして、この1対1の環境だと1枚のカード引き増しの勝ちは上がっている。
今までは、自分がいくら引き増しても対戦相手が3人もいるせいでアド差を付けている実感が得られなかった(実際はアドを得ているのだが、差を付けるとそれだけこちらを押さえつけに来るカードの枚数が増える。《聖別されたスフィンクス/Consecrated Sphinx》クラスの3人がかりでも抑えられないようなアド差を付けないとアドを取る意味が薄い)が、これからは1対1だ。
1枚手札の差を付ける事は、そのまま1枚の差になる。単純な引き算の出来る事がなんと素晴らしい事か。
最もドローを得意とする青は、そういう意味で最も恩恵を受けていると言える。

ただ、注意しなくてはならないのは、《Timetwister》や《意外な授かり物/Windfall》のようなカードの扱いだ。
今までは、《Timetwister》は雑に手札をならしても他3人の思惑がある事によって大きなアド差が発生する事がなく、安定した強さを持っていたのだが、これからは1対1。対戦相手の手札が自分より少ない時の《Timetwister》は、そのまま不利に直結する。
《意外な授かり物/Windfall》に至っては、枚数基準となる参照すべき手札が2人分しか存在しないため、より安定性に欠けた動きとなるだろう。


・青の独自要素として、カウンターがある。
今までは1人を止めても他2名が攻めて来て損になる盤面も多かったこのカードだが、これからは1人を止めればそのまま次は自分のターンだ。後先気にせず存分に相手の嫌なカードを止めに行く事が出来る。
また、多人数戦ではカードタイプの都合上、相手の嫌なパーマネントカードを止める際に「カウンター→除去」という処理順になってしまうため、カウンター側が先に妨害を浪費してしまいがちになるというマイナス面があった。
しかしこれからはその心配はない。自分の代わりに的に対処してくれるなんていう優しいおじさんはもういない。自分で処理しなけりゃ即死するのだから、遠慮なくカウンターを使っていく事が出来る。



☆緑と組む色選び
・自分は、デュエルコマンダーで優位を取る色は、まず緑、続いて青と黒になるであろうと予想する。
しかし、ではこの3色で組めば強いデッキになるかと言えば、そうとは限らないと自分は考える。

青と黒の得意分野の1つであるカウンターと手札破壊の相性がイマイチなのがその理由だ。
これらは双方ともに事前に脅威を叩き落とす手段で、すでに戦場に現れた脅威に対する対処手段とはならない。それゆえに、手札破壊もカウンターもとデッキの妨害枠に詰め込んでいくと、うっかり通ってしまったパーマネントに対策がおろそかになる可能性が高い。
もちろん除去を追加で詰めばいい話ではあるのだが、そうなると今度は逆にコントロール要素が過剰になる。末永い優位を作るドローや、ゲームを終わらせるために必要な勝ち手段を薄くしてしまっては本末転倒だ。

また、カウンターは受動的な対処法、手札破壊は能動的な対処法で、基本的にソーサリーである手札破壊を撃つと、単純にカウンターのマナを構える事が出来なくなるというのも軽く相性の悪い部分である。
遥か昔から青黒の組み合わせは強いものだったが、それでも《対抗呪文/Counterspell》と《Hymn to Tourach》が同居していた例は極端に少ない。
双方軽くしてしまえば問題ないと《思考囲い/Thoughtseize》と《Force of Will》を採用するのも手なのだが、残念ながら両方1枚しか入れられない環境だ。レガシーのようにはいかないだろう。



・そのため、強いデッキの色は、青緑(+白か赤)や黒緑(+赤や白)となりそうだと予想する。

アクションが重くなりがちではあるが、速度とアドバンテージ力が強力な、パワーカード満載の青緑系と、
尖った早さを持ちながらも、墓地利用トップ2の色特長を活かした、領域全体をアドバンテージとする粘り強さもあるのが魅力の黒緑系がゲームの中心となるだろう。



☆クロックパーミッションは本当に強いのか?
個人的にはちょっと懐疑的。
レガシーのクロパーと言えばカナスレやBUGデルバー。これらが強いのは、少数の非常に優秀な軽量カードを用い、少ないリソースで相手の展開をしっかり抑えつつ、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》のような軽くてクロックの高いカードで速やかにゲームを終わらせられる点だ。
しかしながら、この環境ではデルバーも《不毛の大地/Wasteland》も《もみ消し/Stifle》もデッキに1枚しか入らないし、ライフは1.5倍の30だ。
盤面を固定するべき時間も長ければ、優秀なクロックを序盤に用意できる可能性も低い。
もちろんジェネラルが恒久的なクロックになるというのは魅力だが、それでも単純なクロパーは厳しそうに思える。

目指すべきは、どちらかと言えばスタンダードのミッドレンジではないかと自分は考える。
ある程度の速度を犠牲にしながらも、序盤から終盤までそこそこ安定した攻め手を準備出来、軽いコントロール要素とアドバンテージカードで相手の息切れを誘う、というタイプだ。
クロパーに比べれば相手の自由は効くが、その隙に自分でもアドを稼いで有利を得ようという考えのデッキだ。
これは、99枚ハイランダーであるルールとも好相性だ。コントロールやドロー要素をデッキに入れると、ドローカード、手札破壊やカウンター、除去と様々なカードタイプがデッキに有用になり、それぞれの上位カードを採用する事により弱いカードを入れずに済むからである。



☆ビートダウンは有利なのか?
1対1になった点を差し引いても、削るべきライフが10も減っているので、もちろん今までに比べれば有利になったとは思う。

しかし1対1になって有利になったのは、なにもビートダウン側だけではない。
ビートダウンデッキで4人戦をやっていて、2人を倒した直後に3人目からコンボを喰らって負けたようなパターンはなかっただろうか? 自分が誰かを殴っていたターンの返しで、誰かがコンボスタートし、それを別の誰かが止めた盤面はなかっただろうか?
今までは、コンボ側は3人がかりの妨害を気にする必要があったのだが、1対1になった事により気にすべき相手は1人になった。ビート側がタップアウトしていればかなり気楽にコンボをブッパ出来るし、そうでなくても妨害を気にする必要が薄くなった。

逆にコンボ側は、ある程度はコンボを止める要素を入れて速度を鈍らせる選択肢を取らなければならない場合も発生している。
もちろん逆に速度で押し切って倒すのも手だが、《Mana Crypt》などが落ちて全体的な速度は低下しているし、コンボ側が今まで積んでいたコントロール要素(これまでのEDHのデッキでも、サーチ・ドロー・パーツだけでは枠が余るのでコンボを守り、相手を妨害するカウンターや置物除去などがある程度デッキに入っている)が全部自分に向かって飛んで来るので牙城が崩しにくくなっている。
もちろん、他プレイヤーへの警戒のおかげで妨害が薄くなっている3人を殴り倒す事よりはずっとずっと楽だろうが、今までのEDHで1人を殴り倒していた時くらいの感覚で行けるとは思わない方がいいだろう。



☆コントロールは強いのか?
個人的には強いと思っている。
今までのEDHの感覚で居るからビート有利に見えるだけど、実際の所は「ライフが10増えたのでゲームが間延びする」「ハイランダーなので尖った高速コンボは揃えにくい」「同じくハイランダーなので攻め手となるカードのクロックが低い」「逆にコントロールカードはクロックよりスペック低下が緩いのでパワーダウンが小さい」「ジェネラルの存在のおかげで、大量のコントロール・アドバンテージに少量のフィニッシャーというコントロール的な構成が非常にやり易い」などなど、むしろ低速コントロールに追い風な要素の方が多いくらいなのだ。

それゆえに、ジェネラルをフィニッシャーに据えた形のコントロール寄りのデッキが優位に立つと思われる。
中でも、繰り返し使う事が期待されるものはそれだけでアド要素になるので評価が高い。
ここでいうフィニッシャーとは、何も盤面押さえつけて殴り倒すための生物というばかりではなく、《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》《不浄なる者、ミケウス/Mikaeus, the Unhallowed》のようにコントロールを取りかけた段階で速やかにゲームを終わらせるコンボパーツの1枚だったり、《幽霊の酋長、カラドール/Karador, Ghost Chieftain》《首席議長ゼガーナ/Prime Speaker Zegana》のようにアドバンテージ差を圧殺レベルに持ち上げられるカードだったりも含んだ話だ。
むしろこれの後者の方が、能動的にキャストして優位を進める事が出来るので優良であるとすら言える。



☆結論
そんな訳で、黒緑系か青黒系の、ジェネラルが能動的にキャスト出来るアド源となり得る、コントロール要素の強いデッキが強いんじゃないかという予想になりました。

青緑系だと《大渦の放浪者/Maelstrom Wanderer》《二つ反射のリクー/Riku of Two Reflections》《首席議長ゼガーナ/Prime Speaker Zegana》
黒緑系だと《光り葉のナース/Nath of the Gilt-Leaf》《幽霊の酋長、カラドール/Karador, Ghost Chieftain》

あたりが単純なアドバンテージジェネラル系として台頭してきそう。《ジラ・エリアン/Xira Arien》とかも悪くはないけど、アドを取るためにマナがかかり過ぎるので一段劣る印象。
それに加えて、コントロールとパンチ力を両立させるタイプのジェネラルである

《カーの空奪い、プローシュ/Prossh, Skyraider of Kher》《胞子の教祖、ゲイヴ/Ghave, Guru of Spores》

も目立ってくるかも知れない。

コメント

地割れ
2013年12月14日21:22

身内と話し合っただけなので机上論ばっかですが、

>クロパは強いのか?
私もこの部分は懐疑的です。
カウンターもウィル目くらましそれぞれ4積みとか出来るわけではないので、《魔力の乱れ/Force Spike》辺りの弱いパーツも入れざるを得ないため、デッキの地力は下がるのではないかと。フィッシュやデルバーみたいなデッキは、ポケット(4積み)が並んだ綺麗なリストが強いと思っているので、ハイランダーにするとどうしても攻めか守りのどっちかに粗が出るかと。
その辺りのホールの部分含めて、デカブツ通してしまうと厳しい気もしますね。

ハンデスもライブラリー送りも受け付けないジェネラルの重要性はかなり重要だと考えます。ジェネラルの地力に依る所が大きいんじゃないかなーと。アド稼げることが望ましいですね。
《戦争のアスラ、ジェナーラ/Jenara, Asura of War》とか《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》が強いと(主に海外で)言われていますが、こいつらはやっぱり単体の打点でアド稼がれる前にぶん回れば倒せるからでしょうか。ジェナーラは青緑込で色も悪くないですし、トラフトは緑も黒も無いけど対処出来ないと分回って潰せる可能性があるのはスタンで証明
されてます。素人考えなので今の私にはこの辺のクロパジェネラルが強いかは判断が付きませんが……

かっこかり
2013年12月15日19:37

>千代さん
実際対戦してみないと分からない所も多いのでしょうが、個人的にはトラフトはイマイチ信用がない感じです。
コンバット時は結局歩いている2/2なので、マメにブロッカーを排除するかプロテクションを付けるかしないといけないのが、ハイランダー環境では安定しなそうなので。逆にプロテクションや除去を大量投入すれば安定はするでしょうが、今度はトラフトをカウンターや火山の流弾系で丁寧に止められると、「プロテクション要素という無駄牌の妙に多いコントロール」という中途半端な状態に。

「強化なしなら5パンで倒せる除去耐性持ち」として考えると、《鷺群れのシガルダ/Sigarda, Host of Herons》や《霧を歩むもの、ウリル/Uril, the Miststalker》もいい勝負。単体での死ににくさならこれらの方がずっと上で、特にシガルダは回避能力・エディクト耐性持ちなので扱いやすそうに見えます。緑も入ってますし。
トラフトは、それらよりも2マナ軽い事にどれだけの価値を発揮するかにかかっているかと思います。

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