EDHのプレイング 0
2013年5月16日 EDH環境考察真空圧くんから話を振られたので(http://4hinkuatsu.diarynote.jp/201305152319262062/)EDHのプレイングについて自分なりの考えを色々。
なんかゲームの流れの順を追って、それぞれでどんな思考をしているかを書いていたようなので、自分もそれに倣う形で。
なんか長くなりそうだから何回かに分けて書こうかと思う。
そんな訳で第0回。
0回なのは、自分の場合「まだゲームを始める前」である構築段階時点の事がプレイングに関わってくるから。
そんな訳ではじまりはじまり。
☆構築段階での思考 1
ハイランダー100枚デッキで構築されるEDHのデッキは、当然ながら同じカードは1枚しか入れられない。(※ただし基本土地と《執拗なネズミ/Relentless Rats》を除く)
例えばそれら100枚がすべて全く違う方向性を持つカードである場合、安定性が大きく損なわれるてしまう。そのため、ある程度安定して共通の動きを期待できるよう、デッキには似た性質のカードが何枚も投入される事になる。
《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と《Fyndhorn Elves》のような同型のものはもちろん、《極楽鳥/Birds of Paradise》も細かな違いはあるが「緑1マナで出せるマナ加速クリーチャー」にあたる。
特に「マナベース」や「ドローソース」といったゲームの基本をなす要素に関してはそれが重要で、例えば1マナ以下のマナ加速が15枚入っていれば大体の場合1ターン目の加速を手にした初手を期待出来、それによって2ターン目以降の行動が安定するようになるし、7ドローが10枚入っていれば序盤にどんなにアドを失う行動をしていても、マナさえあれば3ターン目くらいには手札を回復する目論見を立てる事が出来るだろう。
全く同じ効果でなくても、似た効果のカードを何枚も積む事によってデッキの安定性を増す構築は、はっきりと勝率に直結する。
これは、「小型マナクリーチャー」「追加ターン」が大量に投入されていて、どこから7枚引いても大体同じ手札になるという単純な構成の《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》デッキが代表となるだろう。
こういったデッキの勝率が上がる理由は、構築段階で目論んだカード同士のシナジーが発生しやすくなるからである。
例えば上に挙げたエドリックなら、追加ターンカードが顕著であろう。単体だと単なる重たいフリースペルの《探検/Explore》だが、例えばエドリックとクリーチャー2体がいればそれに《集中/Concentrate》が追加されたようなものとなる。
そうしてそんな状況を多発させるには「エドリックとクリーチャー2体」が追加ターンを撃つ時に安定して準備出来ている必要がある。また、逆に言うと「エドリックとクリーチャー2体」が並ぶ頃には手札に追加ターンが来ている必要がある。
撃てるだけのマナさえあれば、《時間操作/Temporal Manipulation》でも《悪名高き群れ/Notorious Throng》でも《明日の標/Beacon of Tomorrows》でも同じ。フリースペルの《探検/Explore》+《集中/Concentrate》となる。本来ならば重すぎる《明日の標/Beacon of Tomorrows》ですら、マナコストに見合った効果を得る事が出来ているといえよう。
そうしてそうなったのは、同じ役割のカードを大量にデッキに積み込み高確率で有効な盤面を作る事が出来るような構築になっていたからである。
☆構築段階での思考 2
ここまでが構築段階の基本。で、次にゲーム中のドローに対する期待の話。
同じような効果のカードを複数枚積む事により、数枚カードを引いた場合の状況をある程度安定させる事が出来る。
例えば「カウンター10枚」「除去10枚」「2枚と6マナ揃えば勝てるコンボパーツ10枚」「3枚引ける4マナのドローカード20枚」「マナ加速20枚」「土地30枚」という構成のデッキの場合、大雑把に、
・20枚引けばコンボが揃って勝ちを狙いに行けるし、
・そこまででカウンターと除去をそれぞれ2枚抱えられるし、
・その状況に至るまでにドローカードを4回撃って20枚引くまでのターンを短縮できているし、
・4枚のマナ加速でドローカード使用の開始とコンボスタートを早める事が出来ている。
という事が期待出来る。
1枚のカードを引く状況を見た場合でも、「次のターンには10%でカウンターが引ける。あるいは20%でカウンターに繋がる可能性を持つドローを引ける」というように考えられるため、先の行動計画を立てやすくなる。
これらの考えはゲーム中の行動によって成り立つものではなく、デッキを組み上げた時点ですでに成り立っているものである。
☆結論
つまり、構築段階ですでにプレイングに対する影響が大きく現れるのである。
構築時点でカードの配分をしっかり意識して置く事は非常に大事なのだ。
そんな訳で、この記事をプレイングに関する「第0回」と付けたのでした。
次回はゲームの初期段階。初手とかマリガンとかの話の予定。
☆おまけ
ついでに構築段階での役割が非常に重要な「サーチカード」について。
カードの種類と期待値や確率の話に混ぜ込んじゃうとややこしくなるから別枠で。
サーチカードは上の理論で考えると大分特殊なカードで、例えば《Demonic Tutor》なら、「カウンターでもあり除去でもありコンボパーツでもありドローでもありマナ加速でもあり土地でもある」というカードになる。
好きな種類のカードに変えられるという事は、デッキの安定性を”増したり””減らしたり”出来るという事。
上の理論だと「10枚引けばドローが2枚は引けるだろ」となるのだが、それはあくまで確率の話、実際には1枚も引けない事だってある。そんな確率のばらつきを抑える際にサーチは役立ってくれる。逆にドローが多い時には当然別のカードに役割を変える事だって可能だ。
サーチは、2色デッキにおける2色土地のようなデッキの動きを円滑にする潤滑油としての役割を果たしてくれるのである。
これにより、単純な期待値以上に期待値通りカードを揃える事が可能になり、デッキはより安定するようになる。
また、「安定性を故意に減らす事が可能である」というのも大きなメリット。
上のデッキの例で言うと、例えば初手にコンボパーツ1枚とマナ加速が偏って入ってきて、3ターン目に6マナ発生が期待出来る状況があるとしよう。
この場合、2枚目のコンボパーツが手に入るのを期待出来るのは、明らかに3ターン目よりもずっと先。ドローや土地やマナ加速なんかを引く確率の方がずっと高い。
しかしサーチがあれば、その確率を歪めて3ターン目時点で2枚のコンボを揃える事が出来てしまう。
極端な例を挙げるならむかつきデッキ。1枚しかない《むかつき/Ad Nauseam》を大量のサーチを用いる事によって擬似的に高確率で初手に入れようという意図で作られている。
もちろん、実際にはマナが余分にかかったりドローが遅れたりといったデメリットが存在するため、サーチはあるだけぶち込めば大安定、という訳にもいかないのだが。構築の難しい所である。
なんかゲームの流れの順を追って、それぞれでどんな思考をしているかを書いていたようなので、自分もそれに倣う形で。
なんか長くなりそうだから何回かに分けて書こうかと思う。
そんな訳で第0回。
0回なのは、自分の場合「まだゲームを始める前」である構築段階時点の事がプレイングに関わってくるから。
そんな訳ではじまりはじまり。
☆構築段階での思考 1
ハイランダー100枚デッキで構築されるEDHのデッキは、当然ながら同じカードは1枚しか入れられない。(※ただし基本土地と《執拗なネズミ/Relentless Rats》を除く)
例えばそれら100枚がすべて全く違う方向性を持つカードである場合、安定性が大きく損なわれるてしまう。そのため、ある程度安定して共通の動きを期待できるよう、デッキには似た性質のカードが何枚も投入される事になる。
《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と《Fyndhorn Elves》のような同型のものはもちろん、《極楽鳥/Birds of Paradise》も細かな違いはあるが「緑1マナで出せるマナ加速クリーチャー」にあたる。
特に「マナベース」や「ドローソース」といったゲームの基本をなす要素に関してはそれが重要で、例えば1マナ以下のマナ加速が15枚入っていれば大体の場合1ターン目の加速を手にした初手を期待出来、それによって2ターン目以降の行動が安定するようになるし、7ドローが10枚入っていれば序盤にどんなにアドを失う行動をしていても、マナさえあれば3ターン目くらいには手札を回復する目論見を立てる事が出来るだろう。
全く同じ効果でなくても、似た効果のカードを何枚も積む事によってデッキの安定性を増す構築は、はっきりと勝率に直結する。
これは、「小型マナクリーチャー」「追加ターン」が大量に投入されていて、どこから7枚引いても大体同じ手札になるという単純な構成の《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》デッキが代表となるだろう。
こういったデッキの勝率が上がる理由は、構築段階で目論んだカード同士のシナジーが発生しやすくなるからである。
例えば上に挙げたエドリックなら、追加ターンカードが顕著であろう。単体だと単なる重たいフリースペルの《探検/Explore》だが、例えばエドリックとクリーチャー2体がいればそれに《集中/Concentrate》が追加されたようなものとなる。
そうしてそんな状況を多発させるには「エドリックとクリーチャー2体」が追加ターンを撃つ時に安定して準備出来ている必要がある。また、逆に言うと「エドリックとクリーチャー2体」が並ぶ頃には手札に追加ターンが来ている必要がある。
撃てるだけのマナさえあれば、《時間操作/Temporal Manipulation》でも《悪名高き群れ/Notorious Throng》でも《明日の標/Beacon of Tomorrows》でも同じ。フリースペルの《探検/Explore》+《集中/Concentrate》となる。本来ならば重すぎる《明日の標/Beacon of Tomorrows》ですら、マナコストに見合った効果を得る事が出来ているといえよう。
そうしてそうなったのは、同じ役割のカードを大量にデッキに積み込み高確率で有効な盤面を作る事が出来るような構築になっていたからである。
☆構築段階での思考 2
ここまでが構築段階の基本。で、次にゲーム中のドローに対する期待の話。
同じような効果のカードを複数枚積む事により、数枚カードを引いた場合の状況をある程度安定させる事が出来る。
例えば「カウンター10枚」「除去10枚」「2枚と6マナ揃えば勝てるコンボパーツ10枚」「3枚引ける4マナのドローカード20枚」「マナ加速20枚」「土地30枚」という構成のデッキの場合、大雑把に、
・20枚引けばコンボが揃って勝ちを狙いに行けるし、
・そこまででカウンターと除去をそれぞれ2枚抱えられるし、
・その状況に至るまでにドローカードを4回撃って20枚引くまでのターンを短縮できているし、
・4枚のマナ加速でドローカード使用の開始とコンボスタートを早める事が出来ている。
という事が期待出来る。
1枚のカードを引く状況を見た場合でも、「次のターンには10%でカウンターが引ける。あるいは20%でカウンターに繋がる可能性を持つドローを引ける」というように考えられるため、先の行動計画を立てやすくなる。
これらの考えはゲーム中の行動によって成り立つものではなく、デッキを組み上げた時点ですでに成り立っているものである。
☆結論
つまり、構築段階ですでにプレイングに対する影響が大きく現れるのである。
構築時点でカードの配分をしっかり意識して置く事は非常に大事なのだ。
そんな訳で、この記事をプレイングに関する「第0回」と付けたのでした。
次回はゲームの初期段階。初手とかマリガンとかの話の予定。
☆おまけ
ついでに構築段階での役割が非常に重要な「サーチカード」について。
カードの種類と期待値や確率の話に混ぜ込んじゃうとややこしくなるから別枠で。
サーチカードは上の理論で考えると大分特殊なカードで、例えば《Demonic Tutor》なら、「カウンターでもあり除去でもありコンボパーツでもありドローでもありマナ加速でもあり土地でもある」というカードになる。
好きな種類のカードに変えられるという事は、デッキの安定性を”増したり””減らしたり”出来るという事。
上の理論だと「10枚引けばドローが2枚は引けるだろ」となるのだが、それはあくまで確率の話、実際には1枚も引けない事だってある。そんな確率のばらつきを抑える際にサーチは役立ってくれる。逆にドローが多い時には当然別のカードに役割を変える事だって可能だ。
サーチは、2色デッキにおける2色土地のようなデッキの動きを円滑にする潤滑油としての役割を果たしてくれるのである。
これにより、単純な期待値以上に期待値通りカードを揃える事が可能になり、デッキはより安定するようになる。
また、「安定性を故意に減らす事が可能である」というのも大きなメリット。
上のデッキの例で言うと、例えば初手にコンボパーツ1枚とマナ加速が偏って入ってきて、3ターン目に6マナ発生が期待出来る状況があるとしよう。
この場合、2枚目のコンボパーツが手に入るのを期待出来るのは、明らかに3ターン目よりもずっと先。ドローや土地やマナ加速なんかを引く確率の方がずっと高い。
しかしサーチがあれば、その確率を歪めて3ターン目時点で2枚のコンボを揃える事が出来てしまう。
極端な例を挙げるならむかつきデッキ。1枚しかない《むかつき/Ad Nauseam》を大量のサーチを用いる事によって擬似的に高確率で初手に入れようという意図で作られている。
もちろん、実際にはマナが余分にかかったりドローが遅れたりといったデメリットが存在するため、サーチはあるだけぶち込めば大安定、という訳にもいかないのだが。構築の難しい所である。
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