この前ピラミッドで遊んでた時に、cozaくんが
「2人でアド損になるだけだからって1:1の除去を渋るとか訳わかんない。どうせ7ドローで戻るんだからそんな1枚や2枚のカードでガタガタ細かい事言ってんじゃねえよ!」(意訳)
って言っていた事を受けて。


上記の意見にはおおむね賛成で、その場で聞いた時には「確かにそうだ。タイミング見計らってビシバシ除去は撃っていくべき」と思ったし、構築時にもそれなりのピン除去・カウンターを積んでいるし、実際にそんなデッキ運用していても「カウンターつええええ! 増やしてぇええええ!」と思う事はあるものの、逆に「ピン除去でアド損辛いわー。カウンター減らしたいわー」なんて事を思ったりもしない。


☆しかしよく考えてみれば、ピン除去を撃った時点で-1:-1:0:0になっているのは事実。
ならばなぜ、その微妙なアド損が全く気にならないのか。


それはcozaくんが話していた通り、「どうせ7ドローで戻る」から。
だから、手札の展開の邪魔にさえならないのなら、対戦相手の危険なパーマネントを撃ち落としていっても全く問題ない。
その場では-1:-1:0:0交換だったとしても、展開の邪魔にならないように余ったマナで妨害をした場合、パーマネントだけで考えれば0:-1:0:0。
もちろん手札的には-1:-1:0:0になっているのだが、7ドローを撃つ事によって0:0:0:0に戻す事が出来る。

結果として残るのは、0:-1:0:0というパーマネントの状況。
むしろアド的には得をしている形になるのである。



このあたり、往年の《天秤/Balance》の使い方に似ている。
《Zuran Orb》で土地をライフにリソース変換しておいて、一緒に土地を吹き飛ばしてしまったり、ノンクリーチャーで《神の怒り/Wrath of God》のように使って1対多交換をしたり。

しかし7ドローはこれより凄い。
7ドローの強い所は、天秤と違って相手にマイナスを強いる補填の仕方なのではなく、自分の手札にプラスを与える補填の仕方であるという事。
手札とパーマネントの量は選択肢の量。デッキの方向性自体が7ドローでアドを得るために「軽量コストで大量展開」に向いているのなら、それはそのまま引いた7枚を即座に使って次の7ドローでのアド得に備える行動となる。
それどころか、7枚も引くのだから次の7ドローが手札にやってくる事すら期待出来る。
これはリソースを減らすカードである天秤には不可能な動きだ。



そんな訳で、軽量のピン除去を大量に積んで他人を減速させる動きは、デッキの構成次第ではアド損どころかむしろアド得に繋がり得る行動となり得るのでは、と自分は考える。




☆また、アングリーハーミットのような高速コンボを用いるデッキに置いても、7ドローは優秀だ。

極端な話、このアーキタイプは「パーマネントや手札のアドをどれだけ捨てても、誰も追いつけないくらいに加速して「勝利」というアドを取れればそれでOK」という理論で構築されている。
だから「《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》と土地を置き、2ターン目直前に《Lim-Dul’s Vault》→《吸血の教示者/Vampiric Tutor》→《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》で引いて《隠遁ドルイド/Hermit Druid》」なんて超絶アド損ムーブ(例の場合はカード6枚でパーマネント3つ)も平気でするし、結果的にそれが脅威となる。

他のデッキが早くても5ターン6ターンかけて準備する「勝利アド」を2ターン目に出してくるのだから弱い訳がない。
しかし当然このプランにも弱点はあって、例えば上記の例であれば隠遁ドルイドを《猿術/Pongify》されるだけで1:3交換、さらには「勝利アド」の権利も失われてしまう。リスクが非常に高いのである。


そんな時、手札に7ドローが1枚あればそんな状況を救ってくれる。

高速で6枚カードを手から出して使った自分と、《島/Island》と《猿術/Pongify》を手から出しただけの相手。
この時点で手札アド的には-4:-1なのだが、パーマネント的には2(土地とモックス):1(島)。パーマネント的には微妙に有利を取っている事になる。

例えばそこで次ターン《Timetwister》を撃つ事により、「ごめん今のナシ」とばかりに高速で吐き出した手札を補填してハンドアドを取り戻すばかりではなく、コンボパーツを回復させて再び「勝利アド」に期待できる状況を作り、さらにはパーマネントの差により「一連の動きはアド得だった」という結果に書き換える事すら可能なのだ。



☆そんな訳で、パーマネントでアドを取っていくタイプだろうが高速で勝利を目指すデッキだろうが、構成によってはアドを気にしないでバンバン動くデッキにした方が良い結果をもたらす事が多いと自分は考える。







☆その上で、何も考えずに軽いピン除去積みまくっても勝てるようにはならないと自分は考えている。


・まずはそもそも7ドローがない白緑黒などのデッキであるというパターン。
これらの色で構成されるデッキの場合、地道にアドバンテージを稼いでいく事が要求されるので、細かなアドを大切にした丁寧な動きを心掛ける必要がある。

例えば黒いデッキの場合、場に《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》で毎ターン1枚のアドが確保されている状況の時、「この場で除去を1枚使った事がもたらす減速」を良く考える必要がある。
1枚の除去で結果的にゲームが2ターン減速すれば2枚のカードを引ける事になりアド得に繋がる。逆に減速に繋がらなければ、闘技場でカードを余分に引く事は出来ず、1枚の除去は使い損だ。

だから、ありとあらゆるデッキに「細かいアドなんか気にしないぜ」という動きが推奨される訳ではないのである。
そんな贅沢が許されるのは、赤と青を含むデッキだけだ。



・次に、青や赤のデッキではあるが、7ドローが引けない、または打ち消されるというパターン。

7ドローに依存し過ぎた構成にすると、そこを止められるだけで一気に減速してしまう。次の7ドローが引けるまで、「軽いけれど強さは微妙なカード」「デッキを過剰に加速させるカード」という、単体だとがっかりなカードが多く入ったデッキを使わされる羽目になってしまう。

そもそも、7ドローカードは十分な数存在していない。
フルで使ったとしても、即効性のあるものは《Timetwister》《意外な授かり物/Windfall》《先細りの収益/Diminishing Returns》《時の逆転/Time Reversal》《時のらせん/Time Spiral》《Wheel of Fortune》《魂の再鍛/Reforge the Soul》《記憶の壺/Memory Jar》程度。(8枚)
1~数ターン待つ事も許容するならば《ジェイスの文書管理人/Jace’s Archivist》《壺の大魔術師/Magus of the Jar》《命運の輪/Wheel of Fate》などが存在するが、それでも7ドロー後に安定して毎回手札に入る枚数には程遠い。

そのような状況を考慮する必要があるため、やたらめったらに軽い加速やピン除去を投入するのではなく、7ドローに繋げるための軽量ドロー(《渦まく知識/Brainstorm》や《信仰無き物あさり/Faithless Looting》など)や、単体でアドを稼ぐ事により7ドローを探しつつそれの仕事を軽減するカード(《集中/Concentrate》や《精神の眼/Mind’s Eye》)でデッキの枠をある程度埋める必要が出てくる。




いつも青や赤のデッキばかり使ってるから細かいアドを全く気にしていなかったのだが、考えてみればアド損はアド損なのだから気にするべき場面もちゃんとあるみたいだね、って話でした。
まあそういう神経使うプレイは白緑黒デッキの人とかに任せるとして、自分は変わらずアドバンテージ無視で贅沢にカードキャストさせてもらいますわwww

細かいアドを気にするべきデッキや場面ではちゃんとカードを節約し、気にしなくていい所では思い切ったアド損アクションを取れる。そんなプレイを自在に取れるようになりたいものである。



まとめ:ピッチ《Force of Will》と《Timetwister》のご利用は計画的に。

コメント

kafe
2012年11月10日21:32

自分のデッキのコンセプトの解説に近く感じました。
7ドローありきのデッキ構築理論ですね。

あえて、加える事があるとすれば、除去にマナを掛けるとテンポを失うことですね。
マナが掛からないなら、どんどん採用して良いと思います。

かっこかり
2012年11月10日22:27

>kafeさん
>除去にマナを掛けるとテンポを失う
おっしゃる通りです。
だからこそ、7ドローありき構成のデッキにおいては、乱射するピン除去は「手札の展開の邪魔にならない軽い除去」である事が必須だと思います。
また、《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》のようなアドを失いながらマナを増やすカードは必要なマナを気にしなくていい(むしろ増える)ので、除去と違ってタイミングを選ばない事もあり非常に相性が良いです。

ただ、そうなると反面7ドローがかなわなかった時に、記事に書いている通り「軽いけど微妙な除去」と「過剰な加速」を毎ターン1枚ずつ引く苦行を強いられる事になるので難しい所です。

その問題を緩和する、「1:過剰な加速を無駄なく使えるパワーカード」と、「2:手早く7ドローにアクセスして戦線に復帰するドロー・サーチ」は非常に重要なポイントだと思いました。

coza
2012年11月10日22:49

そこまでは言ってないwww

ピン除去(カウンター)を渋る場面て「ヤバいカードだけどそれで即死するわけではなく、他所のコンボを警戒したい」「妨害は出来るけど打つと後が面倒(否定の契約等)」「自分のコンボねじ込むのに使いたい」なんかの理由が大半で、1:1:0:0交換のアド損を気にしたことってあんまり無いんですよね。
最近は白黒緑のデッキですらカードをたくさん引くことを主眼においてデッキ構築してるので、それですらあんまりハンド枚数気にしてなかったり。

かっこかり
2012年11月10日22:55

>cozaくん
(意訳)って書いてあるから大丈夫だってwww
君が心優しい穏やかな人間である事はみんな知ってるってwwww

>アド損アド得
気になりにくいのは、多人数戦のおかげで1対1のアド差が曖昧になってしまう、ってのもあるかもね。
極端な話、聖スフィキャストなんかで1人が走れば6:12(残り3人の手札合計)とかの状態になるんだし。

ともちん
2012年11月11日0:31

常に1:1:1:1の戦いと思っているからこそアド損を感じるわけで、状況によって誰かと誰かが結託したり、例えば3:1になると、アドバンテージそのものの考え方が変わりますよね。
Timetwisterも全員の等しく手札アドを得るカードではなく、状況次第では7:21交換という最悪なカードになりえますし、逆に21:7になることだってあります。
ピン除去も同じだと思います。

かっこかり
2012年11月11日5:37

>ともちんさん
7:21は極端にしても(それだけ独走しているなら21枚使われる前にフィニッシュに入ってしまう、あるいは21枚が全部が自分に向く前に脅威を排除されて別の人の脅威に向かう事になるので)人やカードの「敵」が流動的に変わる面があるので、確かに単純なアドバンテージで考えるのは良くないのかもしれませんね。
おそらく、明確なアド得・アド損となるのは、「自分のスペル・パーマネントを潰される」「自分が多色の所に《血染めの月/Blood Moon》」のような自分視点での明らかなディスアドバンテージくらいでしょう。


もしかすると、将棋のように盤面全体で考えるのが良いのかも知れません。
(+で「見えない手札」という潜在的なリソースがありますが)

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