最近、どうにも環境がどんどん加速しているように思える。
その結果、加速の仕方、アドの稼ぎ方、勝ち筋、ジェネラル選択などなど、個別のカードに対する評価も、数か月前に比べると全体的に大きく変わっていっている、と自分は感じている。

という訳で今回は、この半年での打消し呪文に関する評価の変化を自分なりに考察していきたいと思う。まあ色々とここしばらくのおさらいみたいな話になりそうだけど。



☆打消し呪文全体の評価
まずは打消し呪文自体の価値について。

妨害しにくい《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》を勝ち筋に持つデッキが台頭して来たり、追加ターンを乱打して強引に殴り倒すエドリックや大渦の放浪者が出現した影響で、打消し呪文自体の評価は上がっていると感じている。

ウーズを止めるのはカウンターが最も汎用性が高くお手軽で、コンバット系のデッキは追加ターンをピンポイントで止められると大分猶予が出来る。


また、「1ターン目から全開で加速→《Timetwister》系で手札回復」という動きでアドを賄うデッキが増えて来た事も、評価が上昇している要因。

以前は《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》のような継続的に大きくアドを稼ぐカード以外のアドバンテージカードは、比較的優先度の低い脅威であった。
手札4枚から飛んできた《集中/Concentrate》を打ち消した所で、その対戦相手が機能不全を起こす訳でもなかった。ちょっとした減速にはなるだろうが、残りの3枚の手札でそれなりに動けるようなデッキが大勢だった。
そもそも、そんな状況で集中を打ち消していては、自分と集中撃ったプレイヤーの二人負け状態になる。
それならば直接的なコンボを打ち消すためにカウンターは温存、というのが当時のセオリーであったように思える。

しかし現在、上に書いたような「極端な加速→手札リセット」の動きの台頭によって、ゆっくりアドバンテージを重ねていくドロー類は大きく勢力を削がれている。
ゆっくりアドを稼いで手札の差を付けても、すぐに全員手札7枚の平等状態に戻ってしまう事が起こりがちなのだ。

そうして、そんな環境におけるドローカードは、打消しを使うだけの価値が出てくる。
無茶な加速で手札が1、2枚になっている状況からの手札リセットを打ち消されると、そのプレイヤーは他プレイヤーにアドの面で追いつくのが非常に困難になり、勝負から脱落してしまうからだ。
手札リセットに頼っているおかげでデッキ構成も軽め(=カードパワー弱め)になりがちである事も戦場復帰を困難にしている。

このように、「勝ち筋」に加え「一部タイミングでのドローカード」も打ち消すだけの価値のあるカードに上がったため、打消し呪文の価値も上がっていると自分は考える。




☆個別の打消し呪文について
◎評価が上がったカード
・《精神的つまづき/Mental Misstep》
元から強力なカードであったが、デッキの軽量化、環境の高速化が進んだ事により評価が大きく上がった。
「1マナのカードが環境に増え、しかも元から環境に跋扈していた教示者は、フィニッシャーに加えて起死回生の手札リセットを引っ張ってくる仕事が増えたためマスカン度が上がった」
「高速化により、特に序盤はマナカツカツ状態で動く事が増えたため、ピッチの価値が上がった」
という2点の環境変化にバッチリ合っている。


・《目くらまし/Daze》
精神的つまづきの項で書いていた環境変化に適応した打消し呪文。
しかし1マナ支払い強制は序盤は協力なのだが、中盤以降は逆に非常に弱い。「手札リセットと軽量加速大量、デッキが全体的に軽め」の環境であるため、序盤さえ乗り切ってしまえばむしろマナは余りがちになる。
よっぽど大きなアクションでもないと大概1マナ程度は捻出できるので、以前からの弱点は補い切れていない。
入るのならば、エドリックのような「どうせ序盤しかない」と言い切れるデッキ向きであろう。


・《誤った指図/Misdirection》《Force of Will》《撃退/Foil》《徴用/Commandeer》
精神的つまづきの項における後者の環境変化に適応して価値の上がったピッチスペル達。
特に後ろ二つは、手札リセット増加によってピッチコスト確保が比較的容易になった事が追い風。
徴用に至っては、フィニッシュとなるウーズを釣るスペルを奪う事により、時としてタップアウトからいきなり勝ちを拾えたりする可能性が増えたので期待大。デッキに入ってさえすれば、即死気配が見えてるのに自分ではどうしようもない時、全力でドローしてターンを返す動きで夢が見れる。


・《霊魂放逐/Remove Soul》《本質の散乱/Essence Scatter》
環境の高速化は、ジェネラル選択にも大きな影響を与えた。
高速環境に付いていくため、早いターンでキャスト出来る軽めのジェネラルが評価を上げ始めたのだ。
結果、ジェネラルがキャストされる機会が増え、これらクリーチャー打消しの価値が上昇した。


・《エレンドラ谷の大魔導師/Glen Elendra Archmage》
以前からよく使われている強力なカードであったのだが、手札リセットが増えた関係上、置物で牽制できるカウンターの価値は大きく上がった。
2/2飛行というスペックが注目株であるエドリックに対して非常に有効というのも大きい。


・《上位の空民、エラヨウ/Erayo, Soratami Ascendant》
環境の軽量化と高速化、さらには手札リセットの増加により、ナチュラルに反転する機会が増えた。
例え自分の手札が乏しい中盤に引いたとしても、「とりあえず置いておく→誰かが手札リセット→7枚の手札と中盤のマナベースがあれば反転できるよね!」というパターンの期待値が増えているのは美味しい。
環境に合わせて自分のデッキを手札リセット多め、軽めの構成にしているだけで、ナチュラルにエラヨウとの相性が良くなるのも〇。


・《遅延/Delay》
環境の高速化により、「3ターン」の重みが大きくなった。
元から多人数戦なおかげで3ターンの間に起こる戦況の変化は顕著であったのだが、昨今は以前以上に大きく戦況が変化する。というか下手すると3ターン後にはゲームが終わってる。
そんな環境でのコレはシングルシンボルのカウンターも同然。打消し自体が強くなっている事もあり、打消し呪文を打ち消す時にはまさに《対抗呪文/Counterspell》になる点も好評価の要因。


・《魔力の乱れ/Force Spike》《呪文貫き/Spell Pierce》《狼狽の嵐/Flusterstorm》《方向転換/Divert》
マナカツカツ環境により、1マナのカウンターは軒並み評価アップ。
どれもマナを支払え系のカウンターのため、中盤以降になると安定性に不安が出だすが、1マナであるというのは現環境に置いてそれ以上の大きなアドバンテージ。
対象の狭さや大量に1マナを突っ込んでもデッキパワーに問題が出る事もあり、対象の広さとパワーのアベレージが最も高い呪文貫き1枚以外はあまり現実的ではないか。
例によって「序盤しかない」なエドリックさんには複数積まれる可能性あり。



◎評価の落ちたカード
・3マナのカウンター全般
環境の高速化により、3マナのアクションが「中くらいのアクション」から「大きめのアクション」くらいに感覚が変化した結果、3マナ構える事に一苦労する状態に。
後半になればマナは余りがちになるので出番はあるが、そもそもその後半に持ち込まれる前に勝てちゃうデッキが増加しているのだから、序盤を耐えるカードを優先したくなる。


・《Mana Drain》《対抗呪文/Counterspell》
無茶な加速を必要とする環境になった結果、ダブルシンボルを構えてターンエンド、の動きが以前に比べると困難になった。
デッキが全体的に軽量化しているのも、マナドレで吸える量の期待値の減少につながっていてマイナス要素。
とは言え打消し自体の価値が上がっているので、カードプール全体で見た場合においてはむしろ評価が微アップしている。




《Arcane Denial》《否認/Negate》など、書かれていない他のカードに関しては、カウンターの価値上昇における評価アップを妥当な範囲で素直に受けている印象。
《呪文嵌め/Spell Snare》が軽量化環境になって評価アップかと思いきや、是非とも打ち消したい2マナのスペルが特に増えていないという残念状態。コイツに限っては評価据え置きな感じ。



大体こんな所で。
どうにか《徴用/Commandeer》を使いこなしてみたいと思う今日この頃です。
(※以上の評価はあくまで個人の感想であり、実際の効能には環境・対戦相手による個人差があります)

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